日韓首脳会談が奈良で実現、シャトル外交の新章始まる

by nicoxz

はじめに

2026年1月13日、高市早苗首相と韓国の李在明大統領が奈良市内のホテルで首脳会談を行いました。韓国大統領が二国間会談のために日本の地方都市を訪れるのは約14年ぶりのことです。

奈良は古代から朝鮮半島との交流が深い土地として知られています。会談場所として奈良が選ばれた背景には、両国の歴史的なつながりを象徴する意図がありました。本記事では、会談の経緯や成果、今後の日韓関係の展望について詳しく解説します。

会談実現の経緯と背景

李大統領からの提案

今回の奈良での会談は、李在明大統領から提案されたものです。2025年10月に韓国南東部の慶州で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の際に、両首脳が会談した機会がありました。その席上で李大統領が「奈良を訪れたい」と希望を伝え、高市首相がこれを快諾しました。

慶州は韓国における古都として知られ、日本の奈良・京都に相当する歴史的な都市です。李大統領は慶州から奈良への訪問を通じて、両国の文化的なつながりを示す意図があったと考えられます。

サプライズ出迎えが話題に

会談当日、高市首相は李大統領をサプライズで出迎えました。韓国大統領府によれば、この出迎えは事前の予定にはなかったものでした。

高市首相は「私の故郷にようこそいらっしゃいました。うれしいです」と述べました。これに対し李大統領は「慣例を破って歓迎してくれて、どうしていいか分からない」と笑顔で応じたと報じられています。このエピソードは両首脳の個人的な信頼関係構築に寄与したと評価されています。

奈良と韓国の深いつながり

渡来人がもたらした文化

奈良は古代において渡来人が多く居住した地域として知られています。3世紀末から6世紀にかけて、朝鮮半島から多くの人々が日本に移住し、農業技術、土器製造、絹織物などの技術を伝えました。

特に飛鳥時代から奈良時代にかけて、渡来人は政治、宗教、文学など日本社会の広い分野で活躍しました。815年に編纂された「新撰姓氏録」によれば、記載された1182氏のうち326が渡来系氏族であり、全体の約3割を占めていたとされています。

法隆寺と百済観音

会談翌日の14日には、両首脳が法隆寺を視察する予定が組まれていました。法隆寺は607年に推古天皇と聖徳太子によって建立され、1993年には世界文化遺産に登録されています。

法隆寺金堂の釈迦三尊像は、渡来系仏師「鞍作鳥」の作品です。その祖父は朝鮮半島から渡来した人物とされています。また法隆寺には「百済観音」と呼ばれる飛鳥時代の仏像があり、日韓の文化的つながりを象徴する存在となっています。

「ナラ」という言葉

会談中に地元・奈良の話題が出た際、高市首相は「ナラという言葉はもともと韓国語で国を意味する言葉で、奈良県民はよく知っている」と語ったとされています。奈良県内には「百済」という地名も残っており、渡来人が多く居住したことの証左となっています。

会談の主な成果

シャトル外交の継続確認

両首脳は、首脳同士が相手国を相互に訪問する「シャトル外交」の継続を確認しました。2026年上半期には高市首相のソウル訪問が予定されており、日韓関係の安定的な発展に向けた基盤が整いつつあります。

シャトル外交は、両国首脳が定期的に相互訪問することで対話チャンネルを維持する外交形式です。過去には関係悪化により途絶えた時期もありましたが、今回の会談でその完全復活が確認されました。

経済安全保障協力の推進

両首脳は経済安全保障分野での協力についても議論し、関係部局による議論を進めることで一致しました。中国によるレアアース輸出規制など、サプライチェーンをめぐる課題が顕在化する中、日韓両国の連携強化は戦略的に重要な意味を持ちます。

李在明大統領の外交姿勢

革新系政権の実用主義外交

2025年6月に就任した李在明大統領は、革新系政党「共に民主党」所属です。外交政策では「国益を最優先する実用主義」を掲げ、「堅固な韓米同盟を土台に韓米日協力を強固にする」と表明しています。

李大統領は就任前、対日関係について慎重な姿勢を示すとの見方もありました。しかし実際には首脳会談を積極的に推進し、日韓関係の安定化に取り組んでいます。

貧困から大統領への道のり

李在明大統領は韓国で「叩き上げ」の象徴とされる人物です。1964年に貧しい家庭に生まれ、経済的事情から中学校には通えず、13歳で工場労働を始めました。その後、働きながら中央大学法学部に合格し、弁護士資格を取得しました。

2010年に京畿道城南市長に当選して政界入りし、その後国会議員、京畿道知事を経て大統領に上り詰めました。2025年6月の大統領選挙では史上最多の1728万票を獲得しています。

今後の展望と注意点

歴史問題への対応

日韓関係には依然として歴史認識をめぐる課題が存在します。両国が前向きな関係を維持するためには、首脳間の信頼関係を土台としながら、慎重な外交的配慮が求められます。

今回の会談が奈良という歴史的な場所で行われたことは、両国の長い交流の歴史を確認する意味を持ちました。こうした文化的アプローチは、政治的な対立を緩和する効果が期待できます。

北朝鮮情勢への対応

李大統領は北朝鮮との関係について「強い抑止力で核と軍事挑発に備えるが、対話の窓口を開け、平和を築いていく」と述べています。朝鮮半島情勢への対応においても、日韓の緊密な連携が求められます。

経済協力の深化

両国は先端産業分野での協力を強化する方針です。半導体やAIなどの分野で、グローバルなサプライチェーン構築に向けた協調が期待されています。

まとめ

奈良での日韓首脳会談は、両国関係の新たな章の始まりを象徴するものとなりました。古代から続く交流の歴史を背景に、高市首相と李大統領は個人的な信頼関係の構築とシャトル外交の継続で一致しました。

今後は2026年上半期の高市首相訪韓が予定されており、経済安全保障を含む幅広い分野での協力が進む見通しです。両国が歴史的なつながりを大切にしながら、未来志向の関係を築いていけるかが注目されます。

参考資料:

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