日本株2月相場展望、衆院選と主力決算で振れやすい展開
はじめに
2月相場が始まりました。2月8日の衆院選投開票を控え、積極的な売買は控えられそうな一方、各社の情勢調査や為替動向を受けて一喜一憂する展開が見込まれます。
国内外で主力企業の決算発表が相次ぐことも大きなポイントです。日本ではトヨタ自動車が2月6日に決算を発表するほか、任天堂の業績にも注目が集まります。米国ではアルファベットなどテック大手の発表も控えています。
本記事では、2月の日本株相場の注目材料と見通しを整理します。
衆院選が最大の注目材料
「高市トレード」の行方
1月23日の衆議院解散以降、金融市場では「高市トレード」と呼ばれる円安・株高の動きが進行しています。積極財政への期待から日経平均先物が急騰する一方、財政悪化懸念から円は一時1ドル=158円台まで下落しました。
みずほ銀行のレポートでは「金融市場は少なくとも投開票当日までは第二次高市トレードを謳歌する可能性が高い」と分析しており、ドル円相場が160円台で値固めする可能性にも言及しています。
選挙結果による3つのシナリオ
2月8日の投開票結果によって、相場は大きく動く可能性があります。
シナリオ1:与党過半数維持 高市政権の安定が確認され、政策への信認から株高が続く展開です。政治的安定により日銀の利上げもやりやすくなり、3月または4月の利上げ観測が高まります。
シナリオ2:与党過半数割れ 高市首相が即座に退陣を表明しており、政治の不透明感から株安・円高に振れる可能性があります。「高市トレード」の巻き戻しが発生するリスクに注意が必要です。
シナリオ3:僅差の結果 開票速報のたびに相場が乱高下する展開が予想されます。結果確定まで方向感が定まらない不安定な相場になる可能性があります。
為替動向と日銀の利上げ
円安トレンドの持続性
2026年のドル円レートは150〜165円の円安トレンドで推移するとの予想が出ています。衆院解散報道を受けた円急落は、積極財政の加速による財政悪化懸念が主因です。
ただし、選挙後に日銀の追加利上げが意識されれば、円安に歯止めがかかる可能性もあります。為替介入への警戒感も高まっており、160円台での円安進行は当局の対応を誘発するリスクがあります。
輸出企業への影響
円安は輸出企業にとって追い風ですが、急激な変動はかえって経営計画の策定を難しくします。トヨタをはじめとする自動車メーカーは、為替前提を保守的に設定するケースが多く、実際のレートとの乖離が決算の上振れ・下振れ要因になります。
注目の企業決算
トヨタ自動車(2月6日発表予定)
トヨタの2026年3月期連結業績予想は、営業収益49兆円(前期比2.0%増)ながら、営業利益は3兆4,000億円(同29.1%減)と減益見込みです。米国トランプ政権の関税政策による減益影響として1兆4,500億円を織り込んでいます。
メキシコに25%の輸入関税が課された場合、メキシコで生産した自動車を米国に輸出しているトヨタへのダメージは大きく、関税の動向と対応策が決算説明会での最大の注目点となります。
任天堂
任天堂は2025年6月に発売した「Nintendo Switch2」が想定を上回るペースで販売されており、2026年3月期第1四半期の営業利益は前年同期比4.4%増の569億円と市場予想を大きく上回りました。ゲーム事業の収益力がどこまで拡大しているかが注目されます。
銀行セクター
日銀の追加利上げ観測を背景に、銀行セクターの決算にも関心が集まっています。利上げによる利ざや改善が銀行の収益を押し上げる期待があり、業績見通しの上方修正が出れば、セクター全体への買い材料になります。
相場全体の見通し
日経平均の予想レンジ
2月第1週の日経平均予想レンジは5万2,500〜5万4,500円とされています。2026年通年では、金融機関の年末予想は5万3,000〜6万1,000円と強気な見方が多い一方、年間の安値予想は3万3,000円から4万円台と幅広く、警戒感も同時に示されています。
市場関係者の馬渕治好氏は「2026年の早い段階で主要国の株価指数が直近高値から2割程度下落する」との見方を示しており、過去10年のアノマリーでも2月には急落の傾向があるとされています。
リスク要因
主なリスク要因として以下が挙げられます。
- 衆院選の結果と政治の不透明感: 与党過半数割れの場合の混乱
- 米国の関税政策: トランプ政権による追加関税の影響拡大
- 日銀の利上げタイミング: 急激な金利上昇による株式市場への悪影響
- AIバブル懸念: 米国テック株の調整に連動する下落リスク
まとめ
2月の日本株相場は、8日の衆院選投開票が最大のイベントです。選挙結果次第で「高市トレード」の継続か巻き戻しかが決まり、相場の方向性が大きく変わる可能性があります。
トヨタの決算発表(2月6日)も投開票直前の重要イベントであり、関税影響の見通しが注目されます。為替は円安基調が続いているものの、選挙後の政策運営や日銀の動向次第では変動が大きくなる可能性があります。投資家にとっては、選挙結果を見極めつつ、企業業績のファンダメンタルズに注目する姿勢が重要です。
参考資料:
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