鍵山優真が2大会連続銀、波乱の男子フィギュア
はじめに
2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪のフィギュアスケート男子シングルは、大波乱の展開となりました。ショートプログラム(SP)首位のイリア・マリニン(米国)がフリーでまさかの崩壊。SP2位の鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)は合計280.06点で2大会連続の銀メダルを獲得し、佐藤駿が銅メダル、金メダルはSP5位から逆転したカザフスタンのミハイル・シャイドロフに輝きました。
鍵山は通算4個のオリンピックメダルを手にし、フィギュアスケート日本勢最多記録を更新しました。本記事では、波乱に満ちた男子シングルの全容と、鍵山の挑戦を振り返ります。
SPでの好スタートと激しい上位争い
マリニンが首位、鍵山が2位発進
2月10日に行われたSPでは、世界王者のマリニンが108.16点で首位に立ちました。鍵山は103.07点で2位につけ、3位にはアダム・シャオ・イム・ファ(フランス)が102.55点で続きました。佐藤駿は9位、三浦佳生は22位でのスタートでした。
鍵山のSPは、安定した4回転ジャンプと音楽との一体感のある表現力が光る演技でした。マリニンとの5点差は、フリーでの逆転が十分に射程圏内と見られていました。
フリーで起きた大波乱
マリニンの信じがたい崩壊
2月13日のフリーは、フィギュアスケート史に残る波乱の展開となりました。SP首位のマリニンは、武器としてきた4回転ジャンプで2度の転倒を含むミスが相次ぎ、フリーは全体15位という衝撃的な結果に終わりました。総合8位まで順位を落とし、金メダル最有力候補のまさかの失速に、会場は静まりかえりました。
鍵山の果敢な4回転フリップ挑戦
鍵山はフリーで攻めの姿勢を貫きました。今季初挑戦となる高難度ジャンプの4回転フリップを演技構成に組み込み、オリンピックの大舞台で果敢に挑みました。
しかし結果は理想とは程遠いものでした。冒頭の4回転サルコーでわずかに軸が傾き、勝負をかけた4回転フリップでは着氷時に手をついて出来栄え点(GOE)で減点。さらに4回転トウループでも着氷でバランスを崩すなど、鍵山としてはめずらしいミスが続きました。
フリーの得点は176.99点で全体6位。合計280.06点は銀メダルを確保する得点でしたが、鍵山は演技後に笑顔を見せず、「安堵は全くない」と悔しさをにじませました。
シャイドロフの完璧な逆転劇
この日の主役は、SP5位から大逆転を果たしたカザフスタンのミハイル・シャイドロフ(21歳)でした。フリーで5本の4回転ジャンプを成功させる圧巻の演技を披露し、合計291.58点で金メダルを獲得しました。
カザフスタンのフィギュアスケートでのオリンピック金メダルは史上初の快挙です。シャイドロフは「自分の仕事をしただけ」と語りましたが、この金メダルは2018年に急逝した同国の英雄デニス・テンの遺志を継ぐものとして、多くのファンの涙を誘いました。マリニンからは「君が勝つにふさわしい」という言葉が贈られています。
日本勢3大会連続の複数メダル
佐藤駿の銅メダル
鍵山の幼なじみであり盟友の佐藤駿が、合計274.90点で銅メダルを獲得しました。SP9位からの巻き返しで、日本勢は3大会連続で男子シングルの複数メダルを達成しました。
鍵山は自身の演技には悔しさを見せましたが、佐藤のメダル獲得を知ると大喜びの表情を見せました。切磋琢磨してきた2人が同じ表彰台に立つ姿は、日本フィギュアスケートの層の厚さを象徴する光景でした。
鍵山が日本勢最多メダルを更新
鍵山はこれで北京2022での個人銀と団体銀、ミラノ2026での個人銀と団体銀を合わせ、通算4個のオリンピックメダルを獲得しました。これはフィギュアスケート日本勢として史上最多の記録です。
「まだまだ強くなれると実感できた」と鍵山は語っています。悔しさと達成感が交錯するなかで、さらなる高みを目指す姿勢を見せました。
注意点・展望
4回転時代の過酷さ
今大会の男子シングルは、4回転ジャンプの難易度が勝敗を左右する一方で、そのリスクの大きさも改めて浮き彫りになりました。マリニンの崩壊が象徴するように、最高難度のジャンプを本番で成功させることの過酷さは想像を超えるものがあります。
鍵山が4回転フリップに挑戦したことは、金メダルを目指すために必要な選択でした。「ジャンプだけのスポーツではない」と語る鍵山ですが、表現力だけでは届かないのが現在の男子フィギュアの現実です。
2030年に向けて
鍵山は2大会連続で銀メダルに終わりましたが、まだ24歳。2030年フランス・アルプス冬季五輪では金メダルへの挑戦が期待されます。4回転フリップの精度向上と、持ち味であるスケーティングの美しさ、表現力を武器に、世界の頂点に立てるかが注目されます。
まとめ
ミラノ五輪フィギュアスケート男子は、マリニンの崩壊とシャイドロフの逆転優勝という大波乱の展開でした。鍵山優真は4回転フリップへの挑戦を含む攻めの演技で2大会連続の銀メダルを獲得し、日本勢最多となるオリンピックメダル4個を達成しました。
悔しさと達成感が入り混じるなか、鍵山の「まだまだ強くなれる」という言葉は力強い決意表明です。佐藤駿との銀銅のダブルメダルも含め、日本フィギュアスケートの新たな歴史が刻まれた大会となりました。
参考資料:
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