日経平均が反発、AI関連株上昇と関税判決が追い風に
はじめに
2026年2月24日の東京株式市場で日経平均株価が反発し、午前終値は前週末比430円85銭(0.76%)高の5万7,256円55銭となりました。上げ幅は一時500円を超える場面もありました。
前週末に日経平均が600円あまり下落していたこともあり自律反発の動きが出たほか、AI関連株への買いと、米連邦最高裁がトランプ大統領の関税政策を違憲と判断したことが追い風となりました。本記事では、相場反発の要因と今後の注目ポイントを解説します。
反発の3つの要因
自律反発の買い
前週末の日経平均は600円を超える下落を記録していました。短期間での急落後には、割安感を意識した「自律反発狙い」の買いが入りやすくなります。24日はまさにこの典型的なパターンで、寄り付きから買いが先行する展開となりました。
特に、前週末に大きく売り込まれた銘柄を中心に、値ごろ感からの買い戻しが入りました。投資家心理が極端に悲観に傾いた後の反動として、テクニカル要因も相場を下支えしています。
AI関連株の上昇
相場をけん引したのがAI関連銘柄です。半導体テスト装置大手のアドバンテストをはじめ、AIインフラ関連として注目される電線株が大きく上昇しました。
特に目立ったのは、AIデータセンター向け光ファイバーを手がけるフジクラ、住友電気工業、古河電気工業といった電線メーカーです。世界的なAIインフラ投資の拡大を背景に、光ファイバーやケーブルの需要増加が期待されており、これらの銘柄には「AIの黒子株」として継続的な買いが入っています。
日本政府がトランプ大統領の関税に関する最高裁判決を踏まえた上で、米国への投融資を継続する方針を示したことも、AIインフラ投資関連の日本企業への追い風材料となりました。
米最高裁の関税違憲判決
2月20日、米連邦最高裁判所は国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づくトランプ大統領の包括的な関税政策について、大統領の権限を逸脱しているとする判決を6対3で下しました。この歴史的な判決は、世界の貿易環境に対する不透明感を一部払拭するものとして、株式市場に安心感をもたらしました。
ただし、トランプ大統領は判決後も「代替的な法的手段」で関税政策を継続すると表明しており、完全なリスク解消とはいえない状況です。また、21日には世界各国に対する新関税を10%から15%に引き上げると表明しており、朝方は下落する場面もありました。
セクター別の動向
半導体・AI関連
アドバンテストや東京エレクトロンなどの半導体関連銘柄は、前週末の下落からの反発が顕著でした。世界的なAI投資競争が加速する中、日本の半導体関連企業は引き続き注目セクターです。
AIに対する過度な期待と失望が交互に来る相場環境の中で、実際にAIインフラを支える電線・光ファイバー・電力機器などの「実需」関連銘柄への注目度が高まっている点が、今回の相場の特徴です。
輸出関連
米最高裁判決による関税リスクの後退は、輸出関連銘柄にもプラスに働きました。自動車や機械など米国向け輸出比率の高い銘柄に買いが入り、相場全体の押し上げに寄与しています。
一方、銀行セクターは高市首相の利上げ難色報道を受けて売られる展開となり、セクター間の明暗が分かれる一日となりました。
日経平均5万7,000円台の位置づけ
2026年の相場推移
2026年の日経平均は、年初に一時5万1,000円台まで下落する場面があったものの、その後は回復基調が続いています。特に2月に入ってからは、米最高裁の関税判決やAI関連投資の期待を背景に上昇ピッチを速め、5万7,000円台を回復しました。
翌25日には日経平均が一段高となり、終値で5万8,583円と史上最高値を更新しています。利上げ観測の後退による円安進行も、輸出企業の業績押し上げ期待として株価にプラスに作用しました。
相場の注目材料
今後の相場を左右する材料として、以下が挙げられます。まず、トランプ政権が最高裁判決後にどのような代替的な関税措置を講じるかです。次に、日銀の金融政策の行方です。高市首相の利上げ難色報道は、銀行株にはネガティブでしたが、株式市場全体には緩和的な環境の継続として支援材料ともなっています。
注意点・展望
今回の反発は力強いものでしたが、関税問題は完全に解決したわけではありません。トランプ大統領は代替手段での関税維持を表明しており、新たな関税措置の発表によって再び市場が動揺する可能性があります。
AI関連株も、期待先行で買われている側面があります。実際の企業業績がAI投資の恩恵を反映するまでにはタイムラグがあり、期待と現実のギャップが生じた際には調整リスクがあります。
中間選挙を控えたトランプ政権の政策動向、日銀の金融政策、そして企業決算の行方が、今後の相場の方向性を決める重要な要素となるでしょう。
まとめ
日経平均の反発は、自律反発の動き、AI関連株への資金流入、米最高裁の関税違憲判決という複合的な要因が重なった結果です。翌日には史上最高値を更新するなど、相場の地合いは強い状態にあります。
ただし、関税問題や金融政策の不透明感は残っており、投資家は短期的な材料に過度に反応するのではなく、ファンダメンタルズに基づいた冷静な判断が求められます。
参考資料:
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