2025年ノートPC出荷が過去最高、2026年は値上げで急減か
はじめに
2025年の国内ノートパソコン市場が、過去最高の出荷台数を記録しました。電子情報技術産業協会(JEITA)の発表によると、Windows 10のサポート終了に伴う買い替え需要とGIGAスクール構想第2期の端末更新が重なり、市場は大きく拡大しました。
しかし、2026年は状況が一変する可能性があります。世界的なメモリ価格の高騰により、PC価格の大幅な値上げが避けられない状況です。この記事では、2025年の市場動向を振り返りながら、2026年以降のPC市場の見通しについて詳しく解説します。
2025年PC市場が過去最高を記録した背景
Windows 10サポート終了による買い替え需要
2025年10月14日、MicrosoftはWindows 10のサポートを正式に終了しました。サポート終了後はセキュリティ更新プログラムが提供されなくなり、ウイルス感染やサイバー攻撃のリスクが高まります。
この期限に向けて、企業や個人の間で買い替え需要が急増しました。MM総研の調査によると、2025年度上期(4月〜9月)の国内PC出荷台数は前年同期比60.7%増の965万5,000台となり、半期ベースで過去最高を更新しています。
Windows 11には厳格なシステム要件が設定されており、古いPCではアップグレードできないケースも多くありました。そのため、OSのアップグレードではなく、新しいPCへの買い替えを選択するユーザーが増加したことも、出荷台数増加の要因となっています。
GIGAスクール構想第2期の影響
2019年に始まったGIGAスクール構想では、全国の小中学校の児童生徒に1人1台のタブレット端末が配布されました。第1期で導入された端末の多くが2024〜2025年度に耐用年数を迎え、大規模な更新需要が発生しています。
MM総研の分析によると、GIGAスクール端末の更新は2025年度に集中しており、調査対象となった652万台のうち68%にあたる約443万台が2025年度に更新される予定です。2026年度の更新は21%の約135万台にとどまる見込みとなっています。
GIGAスクール需要とWindows 10サポート終了に伴う法人需要を合わせると、2025年度の国内PC出荷台数は合計で約1,519万台に達すると予測されていました。これは2019年度以来の高水準です。
ノートPCが市場をけん引
JEITAの統計によると、2025年度上期のノートPC出荷台数は前年同期比67.8%増と大幅に伸びました。特にモバイルノートのカテゴリでは、前年同期比110.3%増と2倍以上の成長を記録しています。
PC出荷全体に占めるノートPCの構成比は88.3%に達しており、デスクトップPCからノートPCへのシフトが続いています。テレワークの定着やモバイルワークの普及により、持ち運びやすいノートPCへの需要が高まっていることが背景にあります。
2026年に予想されるメモリ価格高騰の影響
なぜメモリ価格が高騰しているのか
2025年後半からメモリ価格が急騰しています。業界筋の情報によると、主要なDRAM部品の価格は前年比で70%上昇し、一部では170%もの急騰を記録しています。
高騰の主な原因は、AIブームによるデータセンター向け需要の急増です。AIを動かすための巨大なデータセンターには、超高性能なメモリと膨大なストレージが不可欠です。半導体メーカー各社は利益率の高いAIサーバー向けの製造を優先しており、その結果、一般的なPC向け部品が後回しにされています。
DDR5メモリはAI特需でサーバー向けが中心となり、個人向けは品薄状態が続いています。DDR4メモリは製造終了が進み、こちらも枯渇気味です。このような状況が、PC用メモリの価格を押し上げています。
PCメーカーの値上げ動向
世界PC市場シェアトップ3のDell、Lenovo、HPは、相次いで製品の値上げを予告しています。HPのエンリケ・ロレスCEOは「2026年下半期は特に厳しい状況になる」と述べ、値上げの可能性を示唆しました。
データ分析企業IDCは、2026年の平均PC価格が最大で8%上昇すると予測しています。一部の業界関係者は、10%以上の値上げもあり得ると見ています。
PCメーカーへのアンケート調査では、4割弱のメーカーが11%〜20%の値上げ率を想定していることが明らかになりました。2026年春までに2桁以上の値上げが実施される可能性が高いとされています。
市場縮小の見通し
JEITAは、Windows 10サポート終了による買い替え需要の反動で、2026年のPC市場はマイナスに転じると予測しています。2026年のPCの世界生産額は前年比1%減を見込んでいます。
メモリ価格の高騰が加わることで、市場縮小はさらに加速する可能性があります。需要の反動減と価格上昇が重なれば、出荷台数が大幅に落ち込むことも考えられます。JEITAの長期予測では、国内PC市場は2028年には873万台まで縮小し、2025年の約3分の2の規模になると見ています。
消費者と企業が取るべき対応策
購入タイミングの検討
メモリ価格の本格的な高騰は2026年前半に訪れると予測されています。現時点でPCの購入を検討している場合、価格が上がる前の「今」が買い時である可能性が高いです。
専門家によると、メモリ価格が落ち着くのは2027年下旬以降と見られています。新しい工場が稼働し、市場に十分な量のメモリが供給されるようになるのは、早くても2027年から2028年頃になる見込みです。
企業の対応策
企業がWindows 10からの移行をまだ完了していない場合、早急な対応が必要です。Microsoftは有償の延長サポート(ESU)を提供しており、最長3年間セキュリティ更新を受けることができます。ただし、価格は1年目61ドル、2年目122ドル、3年目244ドルと、年々上昇する設計になっています。
ESUはあくまで一時的な延命措置であり、提供されるのはセキュリティ更新のみです。新機能や機能改善は含まれないため、最終的にはWindows 11への移行が必要になります。
スペック選びのポイント
2026年以降にPCを購入する場合、メモリ容量の選択が重要になります。メモリ価格の高騰により、大容量メモリを搭載したモデルは割高になる可能性があります。
業務内容に応じて必要最低限のスペックを見極め、コストパフォーマンスの良い選択をすることが求められます。また、メモリの増設が可能なモデルを選んでおけば、将来的に価格が下がった際に増設するという選択肢も残せます。
まとめ
2025年の国内ノートPC市場は、Windows 10のサポート終了とGIGAスクール構想第2期の端末更新が重なり、過去最高の出荷台数を記録しました。
一方、2026年はメモリ価格の高騰によるPC価格の上昇と、特需の反動減が重なり、市場が大幅に縮小する可能性があります。PCの購入を検討している場合は、価格動向を注視しながら、適切なタイミングでの購入判断が求められます。
メモリ価格の高騰は2026年半ばまで続く見込みですが、その後は徐々に改善に向かうと予測されています。短期的な価格変動に惑わされず、自身の業務やライフスタイルに合ったPCを選ぶことが重要です。
参考資料:
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