ロボティクスETFで日本株比率3割、ダイフク・ファナックが存在感

by nicoxz

はじめに

日経平均株価が連日で最高値を更新する中、ロボット関連銘柄が上昇を牽引しています。特に注目すべきは、世界のロボット関連企業に投資するETF(上場投資信託)において、日本企業の組み入れ比率が約3割に達するものがあるという点です。

ダイフクやファナックといった日本の産業用ロボット・自動化企業は、海外投資家からも高い評価を受けています。AIを搭載したヒト型ロボット(ヒューマノイド)が話題を集める中でも、産業用途での主役の座は揺るがないとの期待が株価を支えています。

この記事では、なぜ日本のロボット関連企業がグローバルに評価されているのか、その背景と今後の展望について解説します。

日本ロボット企業の強さ

世界市場での圧倒的なプレゼンス

産業用ロボット市場は「4強」と呼ばれるメーカーが大部分のシェアを占めており、その中に日本企業が2社入っています。ファナックと安川電機です。

ファナックは工作機械用CNC装置で世界シェア首位(国内7割、世界5割)を誇り、産業用ロボットでも世界首位(世界シェア約2割)の地位にあります。産業用ロボットの累積販売台数では世界最大とされています。

安川電機も約15%の世界シェアを持ち、サーボモータ技術を核とした高精度ロボットが強みです。2024年度の売上高は約2,374億円に達しています。

日本は稼働台数で世界2位

国際ロボット連盟(IFR)の推計によると、2023年の世界の産業用ロボット稼働台数は約428万台で、4年連続で過去最高を更新しました。

国別では中国が175万5132台でトップ、日本は43万5299台で世界2位となっています。日本は長年にわたり産業用ロボットの開発・製造・導入で世界をリードしてきた実績があります。

ダイフクの強み

マテハン世界首位の実力

ダイフクはマテリアルハンドリング(マテハン)機器と物流システムで世界トップシェアを誇る企業です。1966年に日本初の立体自動倉庫を開発して以来、自動倉庫市場を牽引してきました。

自動倉庫、無人搬送車、仕分けシステム、ピッキングシステムなど、物流センターや工場の効率化に役立つ製品を幅広く展開しています。

AI・ロボット技術への投資

ダイフクは2024年に「ビジネスイノベーション本部」を設立し、ロボティクスやAI、画像処理といった先端技術の開発を集約して効率化を図っています。

「AIやロボティクスは大きな変化点で、次の新しい物流システムをつくるのが我々の責任だ」と同社は表明しており、技術革新への積極的な姿勢がうかがえます。

グローバル展開の加速

2025年4月にはインド・ハイデラバードで新工場が本格稼働を開始。自動倉庫や高速搬送台車、コンベヤなどの製造を行い、急成長するインド市場の自動化ニーズに応えています。

北米でも2025年10月に約2万5千m²を増床した新工場が稼働予定で、生産能力を2倍に増やす計画です。移民政策やインフレによる人手不足、Eコマース拡大による自動化需要の高まりに対応します。

導入実績

ファーストリテイリング(ユニクロ)は東京有明の物流倉庫にダイフクの最新自動化設備を導入し、業務の90%以上を自動化。従来100名必要だった人員がわずか10名で対応可能になりました。

ファナックの存在感

8年ぶり高値の背景

ファナック株は2025年12月に約8年ぶりの高値を記録しました。きっかけは12月1日に発表された米半導体大手エヌビディアとの協業です。

AIがロボットや機械を自律的に制御する「フィジカルAI」関連銘柄として買いが集まり、株価上昇が続いています。

業績も好調

2026年3月期の連結純利益は前期比7%増の1,573億円になる見通しです。従来の減益予想から一転して増益に上方修正されました。

特にロボット事業の受注が好調で、2025年7〜9月期のロボット受注は918億円と前年同期比39%増加しています。UBS証券は「米国内で投資が再開した場合、ファナックが特に恩恵を受ける」と分析しています。

技術革新への取り組み

ファナックは産業用ロボットのオープンプラットフォーム対応を強化しており、ROS 2上でファナックロボットを駆動する専用ドライバをGitHubで公開しています。

NVIDIA Isaac Simを用いた「デジタルツイン仮想工場」環境もサポートしており、次世代の工場自動化を見据えた技術開発を進めています。

フィジカルAI時代の展望

ヒューマノイド市場の急成長

2025年1月、NVIDIAのCEOであるJensen Huang氏が「フィジカルAI」のコンセプトを提唱し、ヒューマノイドロボットへの期待が世界中で高まりました。

ヒューマノイド市場は2025年の29.2億ドル(約4,300億円)から2030年には152.6億ドル(約2兆2,500億円)まで成長し、年平均成長率39.2%という驚異的な拡大が予測されています。

ゴールドマン・サックスは2035年までに380億ドル規模に達すると予測し、Morgan Stanleyは2050年に10億台が展開され、収益が4.7兆ドル規模になるとの見通しを示しています。

産業用ロボットの優位性

ヒューマノイドへの注目が高まる一方で、産業用途では従来型ロボットが引き続き主役を担うとの見方が優勢です。

産業用ロボット市場は2025年に219.4億ドル、2032年には555.5億ドルへと拡大すると予測されており、安定した成長が見込まれています。年平均成長率は14.19%と、他の産業機器市場と比較しても高い水準です。

特定用途に最適化された産業用ロボットは、汎用性を追求するヒューマノイドよりも効率性とコストパフォーマンスで優れています。工場の自動化や物流システムでは、当面は産業用ロボットが中心的な役割を果たし続けるでしょう。

日本企業の今後

日本市場は成熟期に入りつつありますが、協働ロボットの安全対策技術では世界をリードしています。少子高齢化に伴う労働力不足や品質向上の要求が高まり、産業用ロボットの導入が今後さらに進むと予測されます。

ダイフクやファナックは、長年培った技術力と実績を武器に、フィジカルAI時代においても競争力を維持できる可能性が高いといえます。

投資家への示唆

ロボティクスETFの特徴

世界のロボット関連企業に投資するETFでは、日本企業の組み入れ比率が高いものがあります。「Global X Japan Robotics & AI ETF(2638)」は日本のロボティクスおよびAI関連企業に投資するETFで、産業用・非産業用ロボット、IoT関連企業が対象です。

「First Trust Nasdaq AI & Robotics ETF(ROBT)」は純資産総額の90%以上をAIおよびロボティクス分野の企業に投資しており、グローバルな分散投資が可能です。

注目ポイント

投資にあたっては、以下の点に注目するとよいでしょう。

まず、AIとロボットの融合による新たな成長機会です。エヌビディアとの協業を進めるファナックのように、AI技術を取り込む動きが加速しています。

次に、グローバルな生産拠点の拡大です。ダイフクのインド・北米への投資のように、成長市場への進出が業績を左右します。

最後に、労働力不足への対応ニーズです。先進国を中心に自動化需要は構造的に増加しており、長期的な成長ドライバーとなります。

まとめ

世界のロボティクスETFで日本企業の組み入れ比率が約3割に達する背景には、ダイフクやファナックといった企業の高い技術力と実績があります。

AIを搭載したヒューマノイドが注目を集める中でも、産業用途では効率性とコストパフォーマンスに優れた従来型ロボットが主役であり続けるとの見方が優勢です。日本企業は長年の蓄積を活かし、フィジカルAI時代においても競争力を発揮できるポジションにあります。

労働力不足や自動化需要の高まりを背景に、ロボット関連市場は今後も成長が見込まれます。投資対象として、日本のロボット関連企業への注目は続くでしょう。

参考資料:

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