米国民6割超がトランプ氏「加齢で不安定」と回答
はじめに
ロイター通信と調査会社イプソスが2026年2月24日に公表した世論調査で、米国人の61%がトランプ大統領について「加齢に伴い不安定になっている」と回答しました。与党・共和党の支持層でも30%が同様の見方を示しており、党派を超えた懸念が広がっています。
この調査は2月18日から23日にかけて4,638人の米国成人を対象に実施されました。調査期間の最終日は、79歳のトランプ大統領が一般教書演説を行う前日にあたります。関税政策への最高裁違憲判決、DOGE(政府効率化省)による連邦職員大量解雇など、政権運営をめぐる混乱が続く中で実施された調査であり、米国の政治状況を映し出す注目のデータです。
世論調査が示す「トランプ不安」の実態
「加齢で不安定」の党派別内訳
ロイター・イプソス調査の結果を党派別に見ると、トランプ大統領が「加齢に伴い不安定になっている」と回答した割合は、民主党支持者で89%、無党派層で64%、共和党支持者でも30%に達しました。特に注目すべきは共和党支持層の3割が身内の大統領に懸念を示している点です。
「頭脳明晰」の評価も急落
同調査では、トランプ大統領を「頭脳明晰で課題に対処できる」と評価した回答者は45%にとどまりました。2023年9月の同種調査では54%だったため、約2年半で9ポイント低下しています。
党派別では、共和党支持者の81%が「頭脳明晰」と評価する一方、民主党支持者では29%から19%に、無党派層では53%から36%に大きく低下しました。無党派層の評価が17ポイントも下がっている点は、中間選挙を見据えた共和党にとって深刻な数字です。
CNN調査でも無党派層の支持が過去最低
CNNとSSRSが2月17日から20日に実施した別の世論調査でも、無党派層におけるトランプ大統領の支持率は26%と、両任期を通じた過去最低を記録しました。2025年2月の43%から17ポイントの急落で、不支持率は73%に達しています。支持と不支持の差は47ポイントにまで開きました。
支持率低下の背景
関税政策への最高裁違憲判決
支持率低下の大きな要因の一つが、関税政策をめぐる司法判断です。米連邦最高裁は2月20日、トランプ大統領がIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づいて課した大規模関税について、大統領権限の逸脱にあたるとして効力を認めない判決を下しました。
トランプ大統領は一般教書演説で「4日前に不幸な判決があった」と言及しつつ、別の法的根拠に基づく代替関税を課す方針を表明。「関税は最終的に所得税に取って代わる」とも述べましたが、法的裏づけを失った関税政策への信頼は揺らいでいます。
DOGE問題と連邦職員の大量解雇
イーロン・マスク氏が主導するDOGE(政府効率化省)による連邦職員の大量解雇も、国民の不満を高めています。在宅勤務の禁止に従えない職員への退職勧奨を進め、2025年中に最大37万人が削減される可能性が指摘されています。
注目すべきは、トランプ大統領が一般教書演説でDOGEにほとんど触れなかった点です。就任当初は政権の目玉政策として打ち出していたにもかかわらず、演説での言及を避けたことは、政策への世論の反発を意識した可能性があります。
幅広い層での支持離れ
白人福音派の支持率も2025年2月の66%から2026年には58%に低下しました。「トランプ氏が倫理的に行動すると確信している」との回答は55%から40%へと15ポイント急落しています。若年層の離反はさらに顕著で、2026年2月時点でのトランプ大統領の純支持率(支持率から不支持率を引いた値)はマイナス31.8に達しました。
一般教書演説と政権の今後
演説の内容と反応
2月24日に行われた一般教書演説で、トランプ大統領は経済的成果を強調し、国際問題での役割をアピールしました。関税の違憲判決については代替措置で対応する姿勢を示し、「関税は外国が支払うもので、国民の負担を軽減する」との持論を繰り返しました。
民主党の反論演説を担当したバージニア州のスパンバーガー知事は「トランプ氏はいつも通り嘘をつき、スケープゴートを作り、注意をそらし、国の差し迫った課題に対する本当の解決策を何一つ示さなかった」と厳しく批判しています。
ホワイトハウスの反論
ホワイトハウスのイングル報道官は世論調査の結果について「必死で作り上げられた虚偽の物語だ」と反発。トランプ大統領の「鋭さ、比類なきエネルギー、歴史的な親しみやすさ」を強調し、バイデン前大統領とは「一線を画している」と主張しました。
注意点・展望
世論調査の読み方
世論調査の結果を解釈する際には、いくつかの注意点があります。ロイター・イプソス調査の誤差範囲は2ポイントです。また、「加齢で不安定」という質問は主観的な評価を求めるものであり、医学的な診断とは異なります。
ただし、複数の調査機関が類似した傾向を示している点は重要です。ロイター・イプソス、CNN・SSRS、ワシントン・ポストなどの調査がいずれも支持率の低下を示しており、一時的な揺れではなく構造的なトレンドである可能性が高いです。
2026年中間選挙への影響
無党派層の支持率が26%まで落ち込んでいることは、2026年11月の中間選挙に向けて共和党にとって深刻な警告です。中間選挙は通常、政権与党に不利に働く傾向がありますが、現在の支持率水準が続けば、共和党は上下両院で議席を大幅に失うリスクがあります。
関税政策の行方、DOGEの連邦職員削減の影響、物価動向が今後の支持率を左右する重要な変数となります。
まとめ
ロイター・イプソスの世論調査は、トランプ大統領の2期目における支持基盤の変化を浮き彫りにしています。61%が「加齢で不安定」と回答し、無党派層の支持率は過去最低の26%に落ち込みました。
関税政策への最高裁違憲判決、DOGE主導の連邦職員大量解雇など、政権運営をめぐる混乱が支持離れの主因とみられます。一般教書演説を経てもこの流れが変わる兆しは見えず、2026年中間選挙に向けた政治的な駆け引きが激しさを増すことが予想されます。今後の政策動向と支持率の推移を注視していく必要があります。
参考資料:
- Most Americans Say Trump Is Growing Erratic With Age - U.S. News
- Trump’s approval rating with independents hits a new low - CNN
- 6 in 10 disapprove of Trump ahead of State of the Union - Washington Post
- 6割超「トランプ氏加齢で不安定」ロイター世論調査 - 時事通信
- 米世論調査、6割がトランプが「加齢で不安定化」と回答 - Newsweek日本版
- トランプ離れが加速 関税訴訟・解説 - 時事通信
- State of the Union 2026 recap - CNBC
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