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by nicoxz

新START失効、トランプ氏が核軍縮の新枠組み提唱

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はじめに

2026年2月5日、米国とロシアの間で唯一残っていた核軍縮の枠組みである「新戦略兵器削減条約(新START)」が期限切れを迎え、失効しました。1972年以来、半世紀以上にわたって維持されてきた米ロ間の核兵器管理体制が、初めて完全に消滅する事態です。

トランプ米大統領は失効当日、新STARTに代わる「新しく改良・近代化された条約」の策定に意欲を示しました。一方で、核戦力を急速に増強する中国は交渉への参加を拒む構えです。

本記事では、新STARTの経緯と失効の背景、トランプ大統領の狙い、そして中国の核戦力増強の実態について詳しく解説します。

新START条約とは何だったのか

米ロ核軍縮の最後の砦

新STARTは2010年、オバマ米大統領とメドベージェフ・ロシア大統領の間で締結された二国間条約です。両国が配備する戦略核弾頭の上限を1,550発、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などの運搬手段を800基に制限する内容でした。

この条約の意義は核弾頭の数の制限だけにとどまりません。相互査察制度を通じて、両国が互いの核戦力を検証し合うことで信頼を醸成する仕組みが組み込まれていました。年間最大18回の現地査察が可能で、核兵器の「透明性」を確保する数少ない手段でした。

失効に至る経緯

米ロ関係の悪化が条約の命運を左右しました。2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受けて、両国関係は冷戦後最悪の水準に陥りました。ロシアのプーチン大統領は2023年2月、新STARTの履行を一方的に停止すると発表しました。

その後も延長に向けた交渉は行われず、2026年2月5日の期限到来をもって条約は失効しました。これにより、1972年のSALT I(第1次戦略兵器制限交渉)以来、初めて米ロ間に核兵器を制限する法的枠組みが存在しない状況が生まれました。

トランプ大統領の新枠組み構想

「ひどい合意」への批判と新提案

トランプ大統領は失効当日の2月5日、SNSで「新STARTはひどい合意だった」と批判した上で、「延長よりも、将来にわたり長く続く新しく改良・近代化された条約の策定に取り組むべきだ」と投稿しました。

トランプ氏の構想の核心は、中国を交渉に引き込むことにあります。現行の新STARTは米ロ二国間の枠組みであり、急速に核戦力を拡大する中国をカバーしていませんでした。世界の核弾頭の約90%を米ロ両国が保有しているとはいえ、中国の核増強は従来の二国間の枠組みでは対処しきれない新たな課題を突きつけています。

実現への高いハードル

しかし、新たな核軍縮枠組みの構築には多くの障壁があります。まず、米ロ関係そのものが極度に悪化しており、ウクライナ紛争の停戦なくして本格的な核軍縮交渉は困難です。また、ロシアは戦術核兵器の優位性を交渉カードとして温存したい意向を示してきました。

さらに、従来の二国間交渉でさえ数年を要するのが通常であり、中国を含めた多国間交渉となれば、合意形成の難易度は格段に上がります。

中国の核戦力増強の実態

急ピッチで進む核弾頭の増産

中国の核戦力増強は、米国の国防当局が強い警戒感を示すペースで進んでいます。中国が保有する核弾頭の数は2024年1月時点の約500発から、2025年1月には約600発に増加しました。年間80〜100発の核弾頭を新たに製造する能力を獲得しており、米国防総省は「2030年までに1,000発を超える」と予測しています。

核弾頭の製造を支える基盤も着実に整備されています。高速増殖炉(CFR600)が稼働を開始し、もう1基の高速増殖炉も2026年の稼働を目指して建設中です。2基が稼働すれば、年間最大330キログラム超の兵器用プルトニウムを生産できる能力を持つことになります。

交渉参加を拒む中国の論理

中国は核軍縮交渉への参加を一貫して拒否しています。その根拠として、中国の核弾頭数は米ロ両国と比較して依然として大幅に少なく、同じ土俵で交渉すべき段階にないと主張しています。

中国は核兵器に関する白書で、核戦力の規模に関する表現を「最小限度」から「国家戦略安全が必要とする最低レベル」へと変更しました。この微妙な表現の変化は、中国が核戦力の拡大を正当化する余地を広げたことを意味しています。

注意点・今後の展望

「核なき世界」からの後退

新START失効により、核兵器の数と配備を法的に制限する唯一の国際枠組みが消滅しました。これは核不拡散体制(NPT)の信頼性にも影響を及ぼしかねません。核保有国が自らの軍縮義務を果たさない中で、非核保有国に核兵器の取得を思いとどまるよう求める説得力が低下するためです。

日本への影響

日本にとっても、この問題は他人事ではありません。米国の「核の傘」に安全保障を依存する日本は、米国の核戦略の変化に直接的な影響を受けます。また、中国の核増強は東アジアの安全保障環境を根本的に変える可能性があり、日本の防衛戦略にも再考を迫る要因です。

今後の焦点は、トランプ大統領がプーチン大統領との首脳会談で核軍縮をどのように議題に載せるか、そして中国を交渉のテーブルにつかせるための具体的な方策が見いだせるかにあります。

まとめ

新START失効は、半世紀以上続いた核軍縮の枠組みが崩壊したことを意味します。トランプ大統領は中国を含む新たな条約を提唱していますが、中国は参加を拒み、米ロ関係の悪化も交渉を困難にしています。

核弾頭の増産を続ける中国、戦術核の優位を維持したいロシア、新枠組みを模索する米国。三者の思惑が交錯する中、「制限なき核軍拡競争」の時代に突入するリスクが高まっています。国際社会がどのように核管理の新たな秩序を構築できるかが、今後の世界の安全保障を左右する最重要課題です。

参考資料:

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