旧統一教会の海外送金9割が韓国へ、高裁が指摘
はじめに
2026年3月4日、東京高裁は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令を支持する決定を下しました。この決定の中で注目されているのが、教団が日本から韓国へ巨額の海外送金を行っていたという指摘です。
教団は2018年から2022年度にかけて年間約83億円から179億円を海外に送金し、その9割超が韓国向けだったとされています。韓国に本部を置く教団の「過度な送金要求」が、日本の信者に対する高額献金問題の根本的な原因になっていたという見方が示されました。
この記事では、旧統一教会の海外送金の実態と、その構造が日本の信者にもたらした影響について詳しく解説します。
韓国本部への巨額送金の実態
送金の規模と推移
旧統一教会の日本から韓国への送金は、長年にわたり巨額に上ることが指摘されてきました。全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)によると、日本から韓国への送金は年間数百億円規模とされています。
東京高裁の決定では、教団が2018年度から2022年度にかけて年間約83億円から179億円を海外に送金していた事実が認定されました。送金先の9割超は韓国であり、教団の韓国本部が日本の信者から集めた資金の大部分を吸い上げていた構造が浮き彫りになっています。
過去にはさらに大きな金額が送金されていたとの指摘もあります。報道によれば、安倍元首相銃撃事件以前は金融機関を通じて「海外宣教援助協力費」などの名目で年間300億円から500億円規模の送金が行われていたとされています。最盛期には毎年1000億円が韓国へ送金されていたとする調査もあります。
送金要求の背景にある教義
東京高裁の決定は、教団の創始者である故・文鮮明氏の教義にも言及しています。文鮮明氏は「日本はたとえ飢えたとしても世界の国々を保護し、経済的援助をしていくのだ」と説いていたとされます。
この教義が、日本の信者に対する過剰な献金要求の正当化に使われてきました。韓国本部からの「過度な送金要求」と結びつき、日本の信者が生活に支障をきたすほどの高額献金を強いられる構造が形成されていたのです。
全国弁連などの関係者は、こうした送金構造こそが日本における高額献金問題の根本原因であると長年指摘してきました。
送金構造が生んだ被害の実態
被害者数と被害額
東京地裁が2025年3月に認定した被害規模は、少なくとも1500人超、総額約204億円に達しています。教団は1973年以降、全国で「先祖の因縁」などと信者の不安をあおり、生活に支障が生じるほどの過大な寄付を勧誘する不法行為を繰り返していたと認定されました。
被害の特徴として、信者個人の経済状況を無視した献金要求が挙げられます。住宅ローンの返済が困難になるほどの献金を行った信者や、家族の生活費まで献金に充てたケースが多数報告されています。
「霊感商法」との関連
旧統一教会の資金集めの手法として、1980年代から社会問題となってきたのが「霊感商法」です。壺や印鑑などの物品を「先祖の因縁を断ち切るため」として高額で販売する手法で、多くの消費者被害を生みました。
全国弁連は霊感商法を「集金マシンの一部にすぎない」と指摘しています。物品販売による収益だけでなく、信者に対する直接的な高額献金要求を含めた、複合的な資金収集の仕組みが韓国への送金を支えていた構造です。
事件後も続いた送金の疑い
2022年7月の安倍元首相銃撃事件を契機に、旧統一教会の活動に社会的な注目が集まりました。一部報道では、事件後に金融機関を通じた従来の送金方法が困難になった後も、別の方法で韓国への資金移動が続いているとの指摘があります。
ジャーナリストの鈴木エイト氏は、信者が大量に韓国へ渡航する形で資金を移動させる「合法的マネーロンダリング」の可能性を指摘しています。こうした手法により、表面上は送金が減少しても実質的な資金流出が続いている疑いが持たれています。
注意点・展望
今回の東京高裁決定では、海外送金の問題が解散命令の判断を支える重要な根拠の一つとなりました。教団の活動が「宗教」の範囲を逸脱し、信者の財産を不当に吸い上げる構造だったことが司法に認定された形です。
教団側は最高裁への特別抗告を表明していますが、特別抗告には執行停止の効力がないため、清算手続きはすでに開始されています。清算人として弁護士が選任され、教団の保有資産(1000億円超とされる)の処分が進められます。
今後の焦点は、清算手続きの中で被害者への賠償がどの程度実現するかです。海外送金によって日本国内の資産が大幅に減少している可能性があり、「財産を隠す可能性が高い」との懸念も出ています。被害者救済の実効性が問われる局面が続くでしょう。
まとめ
東京高裁の決定は、旧統一教会が韓国本部の「過度な送金要求」のもとで日本の信者から高額献金を集め、年間数十億円から数百億円を韓国へ送金していた実態を明らかにしました。この送金構造が、信者の生活を破壊するほどの献金被害を生んだ根本原因であると位置づけられています。
解散命令の確定により清算手続きは進みますが、被害者への実質的な救済には長い道のりが予想されます。今後は清算手続きの進捗と、教団資産の透明性確保に注目が集まります。
参考資料:
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