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by nicoxz

米イラン核協議が26日再開へ:オマーン仲介の行方

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はじめに

2026年2月22日、オマーンのバドル・アルブサイディ外相は、米国とイランの核協議が26日にスイス・ジュネーブで開催されると正式に発表しました。これは2月6日のオマーン・マスカットでの第1回協議、2月17日のジュネーブでの第2回協議に続く、3回目の交渉となります。米国側はイランに対し、24日までに具体的な提案を提出するよう求めているとされています。

今回の協議は、トランプ政権が中東に2003年のイラク戦争以来最大規模の軍事力を展開するなかで行われます。外交と軍事圧力が交錯するこの局面で、核問題の行方は国際社会の最重要関心事となっています。本記事では、これまでの交渉経緯と第3回協議の焦点を整理し、今後の展望を探ります。

オマーン仲介による交渉の経緯

第1回協議:マスカット(2月6日)

米国とイランの間接協議は、2月6日にオマーンの首都マスカットで始まりました。オマーンは以前から米イラン間の外交チャンネルとして重要な役割を果たしてきた国です。この協議では、米国のスティーブ・ウィトコフ中東特使とイランのアッバス・アラグチ外相がそれぞれ別室に入り、オマーンの仲介者がメッセージを往復させる「間接協議」形式が採用されました。

注目すべきは、米国側が初めて中東軍司令官のブラッド・クーパー海軍大将を交渉の場に同席させた点です。これは軍事的な選択肢も視野に入れた交渉姿勢の表れと見られています。イラン側はこの第1回協議について「良いスタート」と評価しました。

第2回協議:ジュネーブ(2月17日)

2回目の協議は場所をスイス・ジュネーブに移して開催されました。オマーン大使館が会場として使用され、引き続きオマーンの仲介のもとで間接交渉が行われました。この回では双方が「進展があった」と評価しています。

イランのアラグチ外相は協議後、「指針となる原則」について合意に達したと明らかにしました。また、今後両国が合意文書の草案作りに着手する方針を示しました。イラン側は2週間以内に詳細な提案を用意して協議に戻ると表明しています。一方、バンス米副大統領は「レッドラインは守られていない」と不満を示し、米国側の厳しい姿勢もうかがえます。

第3回協議に向けた動き

バドル・アルブサイディ外相は第3回協議の開催を確認する際、「合意の最終段階に向けて一歩踏み込む前向きな姿勢がある」と述べました。米国側からはウィトコフ特使に加え、ジャレッド・クシュナー氏もジュネーブに赴く予定とBloombergが報じています。交渉の格上げが図られている様子がうかがえます。

核問題をめぐる主要争点

ウラン濃縮:最大の対立軸

現在の交渉における最大の争点は、イランのウラン濃縮活動の扱いです。米国は「ゼロ濃縮」、すなわちイランによるウラン濃縮の完全停止を基本方針としています。ウィトコフ特使は2月22日、イランが核爆弾1発分の高濃縮ウランを製造するまで「あと1週間程度」だと警告しました。

一方、イランは濃縮活動を行う権利を主張しています。アラグチ外相はCBSの取材に対し、核拡散防止条約(NPT)のもとでイランにはウラン濃縮の権利があると述べました。ただし、イラン側も一定の譲歩姿勢を見せており、2月9日には「すべての制裁が解除されれば、60%濃縮ウランの希釈に応じる」との提案を行っています。

現在、イランは約440キログラムの60%濃縮ウランを保有しているとされます。60%の濃縮は、兵器級(90%以上)に到達するまでの作業の90%以上を完了していることを意味します。国際原子力機関(IAEA)の事務局長は、イランが保有する高濃縮ウランは「数発から十数発の核装置を製造するのに十分な量」との見解を示しています。

制裁解除と安全保障の交換条件

イラン側は核開発の制限と引き換えに、経済制裁の全面解除を求めています。2015年のJCPOA(包括的共同行動計画)では、イランが濃縮レベルを3.67%に制限する代わりに制裁緩和が行われましたが、2018年のトランプ第1期政権による離脱後、この枠組みは事実上崩壊しました。

米国側はウラン濃縮の放棄に加え、弾道ミサイル開発の制限や中東各地の親イラン武装組織への支援停止も求めているとされます。イラン側はこうした要求を「過剰」と見なしつつも、2015年の合意を「上回る内容」の新合意にも応じる用意があると示唆しています。

軍事的緊張の高まり

交渉の背景には、かつてないレベルの軍事的緊張があります。トランプ大統領は1月26日に空母エイブラハム・リンカーンの打撃群を中東に派遣し、2月13日にはさらに空母ジェラルド・フォードの派遣を命じました。地中海とアラビア海の両方に空母を配置する態勢で、120機以上の航空機が展開されています。

トランプ大統領は2月20日、イランに対し「10日から15日以内に合意しなければ、本当に悪いことが起きる」と警告しました。これに対しアラグチ外相は「解決策は手の届くところにある。軍事的増強の必要はない」と応じ、外交解決への意欲を示しつつも、「あらゆるシナリオに備えている」と付け加えました。イラン革命防衛隊もホルムズ海峡で軍事演習を実施しており、双方の軍事的示威行動が続いています。

注意点・展望

第3回協議の成否は、イランが提出する具体的な提案の内容にかかっています。米国が求める「ゼロ濃縮」とイランが主張する「濃縮の権利」の溝は依然として深く、短期間での完全合意は困難と見られます。

しかし、いくつかの前向きな兆候もあります。双方が「進展」を認めていること、イランが60%濃縮ウランの希釈を条件付きで検討していること、そして交渉の場にクシュナー氏が加わるなど米国側が外交的投資を拡大していることです。

一方で、軍事衝突のリスクも無視できません。トランプ大統領が設定した期限が迫るなか、交渉が決裂すれば2003年以来最大の軍事力が実際に行使される可能性があります。原油市場もこの動向に敏感に反応しており、協議再開の報道を受けて原油価格は下落しました。

まとめ

2月26日のジュネーブ協議は、米イラン核問題の今後を左右する重要な転換点です。オマーンの仲介のもと、これまで2回の協議で「原則的な合意」の土台が築かれましたが、ウラン濃縮や制裁解除をめぐる根本的な対立は解消されていません。軍事的圧力と外交努力が並行して進むなか、第3回協議でイランがどのような提案を示すかが最大の注目点です。国際社会は、この交渉の行方を固唾を飲んで見守ることになるでしょう。

参考資料

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