アムジェン好決算で株価急伸、ディフェンシブ株に資金回帰
はじめに
2026年2月4日の米国株式市場では、製薬大手アムジェン(AMGN)が好決算を受けて一時6%高となり、投資家の注目を集めました。
同日のNYダウ工業株30種平均は反発し、ディフェンシブ株や景気敏感株に買いが入る一方、ハイテク株の一部には売りが続く展開となりました。この動きは、関税政策への懸念や景気減速リスクを背景に、投資家が安定性を求めてポートフォリオを見直している姿を映し出しています。
本記事では、アムジェンの決算内容とディフェンシブ株への資金シフトの背景を解説します。
アムジェンの2025年第4四半期決算
予想を上回る好業績
アムジェンは2026年2月3日夕方に2025年第4四半期決算を発表しました。売上高は前年同期比9%増の99億ドルとなり、アナリスト予想を4.65%上回る結果でした。
非GAAPベースの1株当たり利益(EPS)は5.29ドルに達し、市場予想の4.73ドルを大幅に超過しました。通期でも好調さは明らかで、2025年通年の売上高は前年比10%増の368億ドルを記録しています。
18製品が過去最高売上を達成
決算で特に注目されたのは製品ポートフォリオの強さです。18製品が過去最高の売上を達成し、14製品が年間売上高10億ドルを超えました。さらに13製品が2桁成長を記録しており、特定の大型製品に依存しない分散されたビジネスモデルが功を奏しています。
2026年のガイダンスも堅調
アムジェンは2026年の業績見通しについても強気の姿勢を示しました。売上高は370億〜384億ドル、非GAAP EPSは21.60〜23.00ドルを見込んでいます。営業利益率は45〜46%を維持する計画で、収益性の高いビジネス構造が継続する見通しです。
肥満治療薬「MariTide」への期待
GLP-1市場への参入
アムジェンの株価を押し上げているもう一つの要因が、肥満治療薬パイプラインへの期待です。同社が開発中の「MariTide」は、GLP-1受容体作動薬とGIP受容体拮抗薬を組み合わせた二重作用型の長時間作用型ペプチド抗体複合体です。
2025年のフェーズ2試験では、肥満患者で最大20%、2型糖尿病を併発する肥満患者で最大17%の体重減少を達成しました。月1回投与という利便性も、毎週投与が必要な競合製品に対する優位点となり得ます。
フェーズ3試験が進行中
アムジェンは2025年からフェーズ3臨床試験プログラム「MARITIME」を開始しています。72週間の慢性体重管理試験では、肥満または過体重の患者を対象にMariTideの安全性、有効性、忍容性を評価します。
さらに、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)や心不全(HF)、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)を対象としたフェーズ3臨床試験の開始も計画されており、肥満関連疾患全体をカバーする製品戦略が明確になっています。
ディフェンシブ株への資金シフト
ハイテク株からの逃避
2月4日の市場では、セクター間で明暗が分かれました。ダウ平均が0.53%上昇する一方、ナスダック総合は1.51%下落しました。セクター別では、エネルギーが2.25%高、素材が1.80%高と堅調だった一方、情報技術は1.90%安、コミュニケーション・サービスは1.67%安と売られました。
半導体大手AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)は、第4四半期の業績は予想を上回ったものの、次期売上ガイダンスが投資家の高い期待に届かず17.31%の大幅安となりました。
ディフェンシブ銘柄の魅力
ディフェンシブ銘柄とは、景気変動の影響を受けにくく、提供する製品・サービスに常に一定の需要が見込める企業を指します。電力・ガスなどの公益企業、食品や家庭用品といった生活必需品、ヘルスケアや通信といった業界がこれに該当します。
これらの銘柄は「好財務体質」「高配当」「低ボラティリティ」という特徴を持ち、景気後退局面でもポートフォリオの安定性を高める役割を果たします。
景気減速懸念が追い風に
米国では関税発動に伴う景気減速懸念が広がっており、安定的な業績拡大が期待できるディフェンシブ株が脚光を浴びています。2月4日発表の1月ADP民間雇用統計が2.2万人増と市場予想を下回ったことも、景気の先行きに対する警戒感を強めました。
注意点・展望
投資家が意識すべきリスク
ディフェンシブ株への過度な期待は禁物です。2026年後半には米国景気が緩やかに加速し、景気回復期待が強まるのに合わせて景気敏感株や中小型株、バリュー株に物色が広がっていくとの見方もあります。
FRBの利下げ、大型減税法の効果、対米直接投資の積極化などが米国景気を下支えすると予想されており、ディフェンシブ株のアウトパフォーマンスが続くとは限りません。
アムジェン固有のリスク
アムジェンについては、MariTideのフェーズ3試験結果が今後の株価を左右します。肥満治療薬市場にはイーライリリーやノボノルディスクといった先行企業が存在し、競争は激化しています。
また、バイオ医薬品業界全体に対する薬価引き下げ圧力も、長期的なリスク要因として意識されます。
まとめ
アムジェンの2025年第4四半期決算は、売上高・利益ともに市場予想を上回る好内容でした。18製品の過去最高売上、14製品の10億ドル超えという実績は、同社のビジネスモデルの堅牢さを示しています。
さらに、肥満治療薬MariTideの開発進展は、成長市場への参入という新たな成長ドライバーとして期待されています。
足元では景気減速懸念を背景にディフェンシブ株への資金シフトが進んでおり、ヘルスケアセクターの代表格であるアムジェンはその恩恵を受けています。ただし、景気回復局面ではセクターローテーションが起こる可能性があり、投資家は市場環境の変化に注意を払う必要があります。
参考資料:
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