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by nicoxz

アップルがAI専用端末を開発中、眼鏡型は2027年発売か

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はじめに

米ブルームバーグ通信のマーク・ガーマン記者が2026年2月17日に報じたところによると、アップルがAI(人工知能)専用のウェアラブル端末3種類の開発を加速させています。眼鏡型、ペンダント型、カメラ搭載AirPodsという3つの形態が検討されており、いずれもiPhoneと連携して動作する設計です。

MetaのRay-Banスマートグラスの成功や、OpenAIによるAIデバイス開発の報道を受け、アップルがウェアラブルAI市場への本格参入を急いでいる構図が見えてきます。この記事では、各デバイスの詳細と競合状況、そしてアップルのAI戦略全体について解説します。

3種類のAI専用ウェアラブル端末の全容

眼鏡型デバイス(コードネーム:N50)

アップルが最も開発を進めているのが、眼鏡型のスマートグラスです。社内のハードウェアエンジニアリング部門にはすでに幅広いプロトタイプが配布されており、2026年12月の生産開始を目標に、2027年の一般発売を目指しています。

このスマートグラスには、スピーカー、マイク、カメラが搭載されます。ユーザーは電話の発着信、Siriへの話しかけ、周囲の状況に基づいたアクション実行、音楽再生、写真撮影などが可能です。機能的にはMetaのRay-Banスマートグラスに近い設計ですが、アップル独自のエコシステムとの統合が差別化ポイントとなります。

ペンダント型AIデバイス

2つ目はクリップやネックレスのように身につけるペンダント型デバイスです。iPhoneのアクセサリーとして機能し、常時オンの低解像度カメラとマイクを搭載します。カメラは写真や動画の撮影には使えず、AIに視覚的な情報を提供するためだけに使用されます。

2025年初頭に事業を終了したHumane社のAI Pinと似たコンセプトですが、アップルの端末はiPhoneとの連携が前提であり、単独動作を目指したAI Pinとは根本的にアプローチが異なります。ただし開発は初期段階にあり、プロジェクトが中止される可能性も残っています。順調に進めば2027年の発売が見込まれます。

カメラ搭載AirPods

3つ目のデバイスは、カメラを内蔵したAirPodsの新モデルです。ブルームバーグは2024年初頭にはすでにアップルがカメラ搭載イヤホンを検討していると報じており、最も開発が進んでいるプロジェクトの一つです。早ければ2026年中の発売も視野に入っています。

AirPodsに内蔵されるカメラは、AIが装着者の周囲を「見る」ことを可能にします。ユーザーが目にしているものについてAIに質問したり、状況に応じた情報を得たりといった使い方が想定されています。

背景にあるアップルのAI戦略

Gemini搭載の新Siri

アップルはこれらのウェアラブル端末を、進化するSiriと連携させる計画です。2026年1月、アップルとGoogleは複数年にわたる提携を発表し、SiriとApple Intelligence機能の基盤としてGoogleのGeminiモデルとクラウド技術を採用することを明らかにしました。この提携は年間10億ドル規模とされています。

Gemini搭載の新Siriは2026年春のiOS 26.4で提供開始が予定されており、会話形式での質問応答、感情的サポート、旅行予約などのタスク支援、ドキュメント自動生成など7つの新機能が搭載されます。さらに2026年6月のWWDCでは「完全に会話的」な人間らしいペルソナが発表される見通しです。

ウェアラブルとAIの融合

これらの新デバイスは、進化するSiriの「目」と「耳」を拡張するための装置として位置づけられます。現在のiPhoneやApple Watchでは得られない、常時身につけて周囲の情報をAIにインプットし続けるという新しい使い方を提案するものです。

競合他社との争い

Meta:先行するスマートグラス市場

MetaはRay-Banブランドとの提携で展開するスマートグラスで先行しています。Meta AIとの統合により、装着者が見ているものについてAIに質問できる機能はすでに実用化されており、この成功がアップルの開発加速の一因となりました。

OpenAI:ジョナサン・アイブとの協業

OpenAIはアップルの元デザイン責任者であるジョナサン・アイブ氏と協力し、AIに特化したデバイスを開発中です。早ければ2026年中のデビューが見込まれており、アップルにとって最大の脅威となる可能性があります。元アップルの人材が競合のデバイスを設計するという構図は、業界の注目を集めています。

Humane AI Pinの教訓

2024年に発売されたHumane社のAI Pinは、AIウェアラブル市場の先駆けとなるはずでした。しかしパフォーマンスの問題や使い勝手の悪さから酷評を受け、Humane社は2025年初頭に事業を終了しました。この失敗は、AIウェアラブル端末がスマートフォンの代替ではなく、あくまでスマートフォンとの連携デバイスであるべきという教訓を業界に残しました。

注意点・今後の展望

開発段階の不確実性

現時点では3つのデバイスすべてが開発段階にあり、最終的な仕様や発売時期は変更される可能性があります。特にペンダント型デバイスは初期段階にあり、プロジェクト自体が中止される可能性も報じられています。アップルは過去にも、開発中のプロジェクトを最終段階で中止した実績があります。

プライバシーへの懸念

常時カメラやマイクが作動するウェアラブル端末は、プライバシーの問題を避けて通れません。特にペンダント型の「常時オンカメラ」は、装着者の周囲にいる人々のプライバシーに関わる課題を提起します。アップルがこの問題にどのような技術的・制度的対策を講じるかは、製品の社会的受容に大きく影響します。

まとめ

アップルが3種類のAI専用ウェアラブル端末の開発を加速させていることは、同社がiPhone依存からの脱却を模索していることを示しています。Gemini搭載の新Siriと組み合わせることで、AIが常に装着者の周囲を把握し、状況に応じたサポートを提供するという新しい体験を目指しています。

最も早い製品化が見込まれるカメラ搭載AirPodsは2026年中、眼鏡型とペンダント型は2027年の発売が予想されます。MetaやOpenAIとの競争が激化する中、アップルがどのような差別化を打ち出すのか、今後の発表に注目が集まります。

参考資料:

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