アップル過去最高益6.4兆円、iPhone17好調と注目AI買収
はじめに
米アップルが2026年1月29日に発表した2025年10〜12月期(2026年度第1四半期)決算は、売上高・純利益ともに過去最高を記録しました。売上高は前年同期比16%増の1437億5600万ドル(約22兆円)、純利益は同16%増の420億9700万ドル(約6兆4600億円)に達しています。
iPhone 17シリーズの販売が好調だったことに加え、苦戦が続いていた中国市場での販売が大きく回復したことが成長を牽引しました。同日には、イスラエルのAI開発スタートアップQ.aiの買収も明らかになり、アップルのAI戦略にも注目が集まっています。
iPhone 17が過去最高の売上を記録
驚異的な販売実績
iPhone部門の売上高は前年同期比23%増の852億7000万ドルとなり、過去最高を大幅に更新しました。これは、2022年に記録した716億ドルの従来記録を大きく上回る数字です。
ティム・クックCEOはCNBCのインタビューで「iPhoneへの需要はまさに驚異的だった」と語っています。2025年9月に発売されたiPhone 17シリーズが、AIを活用した新機能やカメラ性能の向上により消費者の支持を集めた結果です。
Apple Intelligenceの効果
iPhone 17シリーズには、アップル独自のAI機能「Apple Intelligence」が本格的に搭載されています。テキストの要約や画像生成、高度なSiri機能などが利用可能となり、買い替え需要を喚起しました。
アップルのアクティブデバイス数は25億台に達し、前年の23億5000万台から増加しています。このインストールベースの拡大は、サービス部門の収益基盤としても重要な意味を持ちます。
中国市場の回復とサービス部門の成長
中国での売上が38%急増
長らく苦戦が続いていた中国市場(台湾・香港を含む)では、売上高が前年同期比38%増の255億3000万ドルと大幅に回復しました。中国国内でのHuaweiとの競争が続く中、iPhone 17のAI機能が差別化要因として機能したとみられます。
中国政府による消費刺激策の効果もあり、高価格帯のスマートフォン市場でアップルが存在感を取り戻した格好です。
サービス部門も好調を維持
サービス部門の売上高は前年同期比14%増の300億ドルとなり、こちらも過去最高を更新しました。App Store、Apple Music、iCloud、Apple TV+などのサブスクリプションサービスが安定的に成長しています。
粗利益率は48.2%と、前年同期の46.9%から改善しました。ハードウェアとサービスの両輪で収益性が向上していることを示しています。
Q.aiの買収とAI戦略の加速
約20億ドルの大型買収
決算発表と同日、アップルはイスラエルのAI開発スタートアップQ.aiの買収を発表しました。買収額は約20億ドル(約3000億円)とされ、2014年のBeats買収(30億ドル)に次ぐ同社史上2番目の大型買収となります。
Q.aiは2022年にテルアビブで設立された企業で、CEOのアヴィアド・マイゼルス氏は、かつてアップルに買収されたPrimeSense(3Dセンサー技術)の創業者でもあります。
「サイレントスピーチ」を実現する技術
Q.aiが開発した技術は、顔の微細な動き(マイクロムーブメント)を解析し、声を出さずにコミュニケーションを可能にするものです。特許情報によると、ヘッドフォンやメガネ型デバイスに搭載し、「非言語的な対話」を実現する用途が想定されています。
アップルのハードウェア技術担当上級副社長であるジョニー・スルージ氏は、Q.aiについて「画像処理と機械学習の新しい創造的な活用法を開拓する注目すべき企業」と評価しました。
ウェアラブルAI競争への布石
この買収は、MetaやOpenAIとのAIウェアラブル競争における重要な布石と位置づけられています。Vision ProやAirPodsなどのウェアラブル製品にQ.aiの技術を統合することで、新たなユーザー体験の創出を目指すとみられます。
注意点・展望
アップルの業績は過去最高を記録しましたが、いくつかの注意点があります。まず、iPhone 17の販売好調が一時的な買い替えサイクルの結果である可能性は否定できません。AI機能の充実が今後も持続的な需要を生むかは、今後数四半期の動向で見極める必要があります。
今後の見通しとして、アップルは2026年1〜3月期について前年同期比13〜16%の増収を見込んでいます。粗利益率は48〜49%を予測しており、高い収益性の維持に自信を示しています。
また、Q.aiの技術がアップルの製品にどのように統合されるかも今後の注目点です。2026年後半に予想される新製品発表で、その成果が明らかになる可能性があります。
まとめ
アップルの2025年10〜12月期決算は、売上高・純利益ともに過去最高を更新する好決算となりました。iPhone 17シリーズの好調な販売、中国市場の回復、サービス部門の安定成長が三拍子そろった形です。
さらに、Q.aiの買収によりAI・ウェアラブル分野での競争力強化にも動いています。投資家にとっては、この成長が持続可能かどうかを見極めるために、今後の四半期決算とAI関連製品の進展を注視することが重要です。
参考資料:
関連記事
AIが加速するSIer業界再編と住商SCSK統合の全貌
住友商事がSCSKを約8820億円で完全子会社化。NTTデータに続く大型再編の背景にあるAI時代の「資本の壁」問題と、今後のIT業界の行方を解説します。
iPhone 17eが示すApple垂直統合の価格破壊力
iPhone 17eの発売で注目されるAppleの垂直統合戦略。自社チップA19搭載で10万円切りを実現した背景と、春商戦でのコスパ路線への転換を解説します。
iPhone 17e発表:価格据え置きで実質値下げの狙い
AppleがiPhone 17eを3月11日に発売。A19チップや自社製C1Xモデム搭載で性能向上しつつ、256GBで9万9800円の価格据え置きにより実質値下げを実現。競合との戦略を解説します。
NVIDIA好決算でも急落、AI不安が米国株を圧迫
NVIDIAが市場予想を大幅に上回る好決算を発表したにもかかわらず株価が5%急落。AI投資への懸念が広がり、マグニフィセント7全銘柄がS&P500をアンダーパフォームしています。
NVIDIA好決算でも株価5%安、AI投資に懸念広がる
2026年2月26日の米国株式市場でNVIDIAが決算発表後に一時5%超下落。売上高73%増の好決算にもかかわらず「売られた」理由と、ダウ平均の失速が示す投資家心理の変化を解説します。
最新ニュース
アクティビストの標的が変化、還元から再編へ
割安株の減少でPBR1倍超え企業も標的に。アクティビストの投資戦略が株主還元から事業再編へとシフトする背景と今後の展望を解説します。
アームが初の自社製チップ発表、AI半導体市場に本格参入
ソフトバンクグループ傘下の英アームが35年の歴史で初めて自社製チップ「AGI CPU」を発表。メタやOpenAIを顧客に迎え、5年で年間150億ドルの売上を目指す戦略転換の全容を解説します。
Armが半導体自前開発に参入、AI向けCPUで事業転換
ソフトバンク傘下の英Armが35年間のIPライセンスモデルを転換し、自社開発チップ「AGI CPU」でメタやオープンAIにAI半導体を直接供給する戦略の背景と影響を解説します。
イビデン大幅続伸の背景と半導体銘柄上昇の全貌
2026年3月25日、イビデンが特別利益491億円の計上発表で大幅続伸。半導体関連銘柄が軒並み上昇した背景には、米イラン停戦期待による原油下落と投資家心理の改善がありました。
イラン強硬派「3人組」の実権と米15項目和平案の行方
ハメネイ師亡き後のイランで実権を握る革命防衛隊出身の強硬派3人組と、トランプ政権が提示した15項目の和平案の内容・交渉の行方を詳しく解説します。