AIグラス2026年日本上陸へ:次世代デバイスの可能性と活用法
はじめに
人工知能(AI)を搭載したメガネ「AIグラス」が、ビッグテック企業の新たな競争領域として急速に注目を集めています。2026年は、このAIグラスブームが日本にも本格上陸する年になりそうです。
AIグラスとは、スマートフォンを開かずとも、音声やグラスを活用してさまざまな情報をAIが教えてくれるデバイスです。Metaが同領域で先行しており、GoogleやApple、Snapなども参入を予定しています。
この記事では、AIグラスの最新動向、具体的な活用シーン、そして日本市場への影響について詳しく解説します。
AIグラスとは何か:基本と最新製品
スマートフォンに代わる新たな生活接点
AIグラスは、従来のスマートグラスにAI機能を統合した次世代ウェアラブルデバイスです。カメラ、マイク、スピーカー、そしてAI処理機能を眼鏡型のデバイスに搭載することで、ハンズフリーでの情報取得やコミュニケーションを可能にします。
Metaのグローバルビジネスグループ責任者ニコラ・メンデルソン氏は、AIグラスを「スマートフォンに替わる新たな生活接点」と位置づけ、2026年に日本で発売予定であることを明らかにしました。
Meta Ray-Ban Display:AIグラスの最前線
2025年9月のMeta Connect 2025で、マーク・ザッカーバーグCEOは「Meta Ray-Ban Display」を発表しました。この製品は、AIグラスの進化形として以下の特徴を持っています。
- フルカラー高解像度ディスプレイ搭載: マイク、スピーカー、カメラ、そしてコンピューティングとAIを統合した初の製品
- Meta Neural Band: 筋肉の動きによる自然な信号を感知し、わずかな手の動きだけで直感的に操作可能なEMGリストバンド
- 価格: セットで799米ドルから
発売直後から想定以上の需要が集中し、在庫不足が続いている状況です。2023年のリリース以来、Metaスマートグラスの販売台数は累計200万台を達成しています。
他社の参入状況
AIグラス市場には複数の大手企業が参入を計画しています。
- Google: Android搭載のスマートグラスを計画中。Gemini AIサポートで、メッセージやナビゲーション、リアルタイム翻訳などをレンズに表示。2025年から2026年にリリース予定
- Snap: Snap Specsを2026年リリース予定
- Apple: Appleグラスの噂があり、2026年に市場投入の可能性
中国でもアリババグループなど各社が新製品を投入し、主導権争いが激化しています。
市場規模と成長予測
急成長するスマートグラス市場
調査会社IDCによると、2025年の世界のスマートグラス出荷台数は1,451万8,000台に達し、2029年には4,000万台を突破すると予測されています。
また、スポーツAI市場も2024年に約89億ドル(約1.3兆円)と評価され、2030年までに約608億ドル(約9兆円)に達する見込みです。年平均成長率は21.1%と、他業界と比較しても極めて高い水準です。
2025年が「スマートグラスの年」に
業界関係者の間では、2025年がスマートグラスの普及元年になるという見方が広がっています。XREALやRay-Ban Metaなどの軽量なグラス型デバイスが日常に浸透し始めており、XR業界にとって「多様化」と「進化」が加速しています。
スポーツ観戦での活用可能性
新しい観戦体験の創出
AIグラスはスポーツ観戦に革命をもたらす可能性があります。AIは、リアルタイムの試合状況や選手のパフォーマンスに対して独自の分析結果を視聴者に提供できます。
具体的には以下のような活用が期待されます。
- サッカー: 選手の走行距離やシュートの数、成功率などのデータを瞬時に分析して表示
- フィギュアスケート: 選手のジャンプした高さや回転数など、目視では確認できないデータをリアルタイムで表示
- 野球: 球速、球種、打球角度などの詳細データを視界に重ねて表示
VR/AR技術との連携
AIカメラとVR/AR技術を連携させることで、観戦者はまるで現場にいるかのような臨場感を体験できます。また、選手やコーチが練習中にリアルタイムでデータやアドバイスを受け取ることも可能になります。
業務利用への期待
製造業・物流での活用
スマートグラスはビジネスシーンでの効率化を促進するウェアラブルデバイスとして、すでに多くの現場で活用されています。
主な活用シーン:
- 製造現場: 作業指示の確認、マニュアルの参照
- 物流: 在庫管理、ピッキング作業の効率化
- 医療: 患者情報の確認、遠隔手術支援
- 保守点検: 遠隔からの技術指導、作業記録の自動化
作業者はスマートグラスに映るマニュアルを参照しながら作業でき、管理者は遠方から複数の作業者を監視しリアルタイムで指示や管理を行えます。
コスト削減効果
業務用スマートグラスの導入により、以下のコスト削減が期待できます。
- 出張費の削減: 遠隔からの技術支援により現場派遣が不要に
- 作業人数の削減: 一人の熟練者が複数現場をサポート可能
- 作業時間の削減: リアルタイム指示により作業効率が向上
- 教育コストの削減: AR技術を活用したトレーニングによる習熟期間短縮
日本企業の取り組み
日本国内でもスマートグラスに関わる企業は増加しています。総合電機メーカー、モバイル通信事業者、複写機・複合機大手、眼鏡・コンタクトレンズ専門店など、幅広い業種が参入を検討しています。
HappyLifeCreators株式会社は、メガネに取り付けて使用するスマートディスプレイ「GUIDE01」を発表しました。重量約10gと軽量で、片眼のみに情報を表示するシンプルな構造が特徴です。
注意点と今後の展望
普及に向けた課題
AIグラスの普及にはいくつかの課題があります。
- プライバシーへの懸念: カメラ搭載デバイスの社会的受容性
- バッテリー持続時間: 終日利用には充電の課題
- 価格: 一般消費者にとってはまだ高価格帯
- コンテンツ・サービス: 日本語対応やローカライズの必要性
MetaのCPOクリス・コックス氏は「まずはヨーロッパ系の言語からスタートし、その後に広げていきたい」と述べており、日本市場への本格展開には言語対応が鍵となります。
2026年以降の展望
2026年に向けて、AIグラス市場は以下の方向に進化すると予想されます。
- 軽量化・小型化: より日常使いしやすいデザインへ
- AI機能の高度化: リアルタイム翻訳、視覚支援、ナビゲーションの精度向上
- エコシステムの拡大: アプリやサービスの充実
- 価格競争: 中国企業の参入による価格低下
まとめ
AIグラスは、スマートフォンに次ぐ次世代デバイスとして大きな注目を集めています。2026年の日本市場への本格上陸により、以下の変化が期待されます。
- 消費者向け: 新しい情報取得手段、エンターテインメント体験の革新
- スポーツ観戦: データ可視化による観戦体験の向上
- 業務利用: 製造・物流・医療などでの効率化、コスト削減
Metaを筆頭に、Google、Apple、Snapなど大手企業が参入する中、AIグラス市場は今後数年で急速に拡大する見込みです。日本企業にとっても、この新市場への対応が競争力を左右する重要な要素となるでしょう。
スマートフォンが私たちの生活を変えたように、AIグラスが新たな生活様式を生み出す日は、もうすぐそこまで来ています。
参考資料:
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