立憲・公明、多党化時代で埋没の危機 新党で無党派層獲得なるか
はじめに
2026年1月15日、立憲民主党と公明党が新党結成で合意しました。野党第1党と第3党という大きな勢力が手を組んだこの決断の背景には、多党化が進む日本政治の中で「埋没」への強い危機感があります。
国民民主党や日本維新の会、れいわ新選組など「第三極」政党の台頭により、既存の野党は存在感を失いつつあります。特に、高市早苗政権の高支持率と保守化路線に対して、中道・リベラル層の受け皿が不在という状況が、両党を新党結成へと突き動かしました。
本記事では、両党が抱える危機感の実態と、新党が無党派層の受け皿となるための条件について分析します。
多党化が進む日本政治
第三極政党の台頭
2024年の衆院選以降、日本の政党構図は大きく変化しました。従来の自民党対野党という二項対立の構図は崩れ、複数の「第三極」政党が存在感を増しています。
国民民主党の躍進 2024年衆院選で国民民主党は議席を公示前から4倍に伸ばしました。「手取りを増やす」というシンプルなスローガンが若年層を中心に支持を集め、無党派層の受け皿として存在感を示しています。
2025年7月の参院選では、出口調査で無党派層の15%が比例代表で国民民主党に投票。自民党や立憲民主党を上回ってトップとなりました。
日本維新の会 維新は大阪・関西を基盤に、「改革」を前面に打ち出した政策で一定の支持を維持しています。2025年10月からは自民党との閣外協力に入り、与党側に接近しています。
れいわ新選組・参政党 れいわ新選組や参政党といった新興政党も、それぞれの支持層を獲得しています。特にSNSを活用した発信力は既存政党を上回る場面も見られます。
政党支持率の分散
2025年6月の調査によると、政党支持率は以下のように分散しています。
- 自民党:12.9%
- 立憲民主党:7.8%
- 国民民主党:6.5%
- 日本維新の会:5.3%
- れいわ新選組:2.8%
野党の支持が複数の政党に分散し、「野党第一党」としての立憲民主党の求心力が低下していることが読み取れます。
立憲民主党の苦境
支持率の長期低迷
立憲民主党の支持率は長期にわたって低迷しています。2025年7月の参院選では、比例代表の得票数で国民民主党、参政党に次ぐ3番手に甘んじました。野党第一党でありながら、比例票では第三極政党に後れを取るという屈辱的な結果でした。
ネット戦略での後れ
立憲民主党はインターネット上の支持獲得で苦戦しています。若年層の支持率が高いとされる高市政権に対し、SNSなどを使った発信力の強化で後れを取っています。
野田佳彦代表は党に批判的な「アンチ」の広がりに危機感を示していますが、効果的な対策を打てていない状況です。党幹部が「どぶ板」重視の姿勢を崩さない中、デジタル戦略の強化は進んでいません。
「高市人気」による埋没懸念
高市内閣の支持率は発足以来70%台を維持しており、歴代内閣の中でも高水準です。この「高市人気」の中で、立憲民主党の主張は有権者に届きにくくなっています。
政権批判だけでは支持を集められず、独自の政策ビジョンを示す必要性が高まっていますが、党内の路線対立もあり、明確なメッセージを打ち出せていません。
公明党の危機
連立解消後の苦境
公明党は2025年10月に自民党との連立を解消しました。26年間の連立で得てきた与党としての存在感を失い、単独での戦いを余儀なくされています。
2024年の衆院選、2025年の参院選と連敗が続いており、党の参院選総括では「党存亡の危機」という厳しい表現が使われました。
組織票の活かし方
創価学会を支持母体とする公明党は、約600万票の組織票を持っています。しかし、連立解消後は、この組織票をどう活かすかが課題となっています。
単独で戦った場合、小選挙区での勝利は困難です。比例代表に注力する選択肢もありますが、それでは政治的な影響力が限定されてしまいます。
「中道」路線の再確認
公明党は連立解消を機に、「中道」路線を再確認しています。自民党との連立で曖昧になっていた党のアイデンティティを取り戻し、平和主義や福祉政策を前面に打ち出す姿勢を示しています。
この路線転換は、高市政権の保守化に反発する有権者へのアピールにもなると期待されています。
新党結成の狙い
危機感の共有
立憲民主党と公明党は、多党化時代における「埋没」への危機感を共有しています。両党とも単独では次期衆院選を戦い抜く自信がなく、協力することで生き残りを図る形です。
党関係者は「自民を捨てて野党と組むのは覚悟が必要だが、もう腹は決めた」と述べており、背水の陣の覚悟がうかがえます。
高市政権への対抗軸
高市政権の保守化路線に対して、「中道」を掲げることで有権者に選択肢を提示する狙いがあります。
安全保障政策、憲法改正、選択的夫婦別姓など、高市政権と立場が異なる政策分野で対抗軸を明確にし、政権批判票の受け皿となることを目指しています。
無党派層の獲得
両党が最も期待しているのは、無党派層の獲得です。2025年参院選では無党派層の8割強が野党に投票しており、この層を取り込むことができれば、大きな議席増が期待できます。
「中道改革」という党名案は、改革志向の無党派層にアピールする狙いがあると考えられます。
課題と懸念
「野合」批判への対応
立憲民主党と公明党という組み合わせには、「野合」という批判が避けられません。政策の異なる政党が選挙目当てで組んだという見方に対して、共通政策を明確に示す必要があります。
連合傘下の労組からも「政策を前面に出してほしい」という声が上がっており、内部からの圧力もあります。
政策面での調整
原発政策や安全保障政策では、両党に温度差があります。立憲民主党が「原発ゼロ」を掲げる一方、公明党はより現実的なエネルギー政策を志向しています。
これらの相違点をどう調整するかが、新党の結束力を左右します。選挙後に対立が噴出すれば、新進党の二の舞になりかねません。
国民民主党の不参加
玉木雄一郎代表率いる国民民主党は、新党への参加を否定しています。「選挙を政治家の就職活動にしない」と述べ、政策本位での選挙戦を強調しています。
無党派層の支持を集めている国民民主党が不参加となることで、「中道勢力の結集」という看板は十分に実現できない可能性があります。
立憲民主党内の異論
立憲民主党内には、公明党との新党結成に異論を唱える議員もいます。「他の宗教団体と仲良くしてきたのに」「共産党にどんな顔すれば」といった声が漏れており、党内の結束が乱れる懸念があります。
今後の展望
短期決戦への対応
高市首相は1月27日公示・2月8日投開票という短期決戦を想定しています。この短い期間で、新党がどこまで選挙態勢を整えられるかが課題です。
党名の決定、共通政策の策定、候補者調整など、やるべきことは山積しています。時間的な制約の中で、どこまで準備を整えられるかが試されます。
選挙結果が新党の命運を決める
新党の命運は、2月の衆院選の結果によって大きく左右されます。一定の議席を確保できれば求心力が高まりますが、期待を下回る結果となれば、内部対立が表面化する可能性があります。
新進党がわずか3年で解党に追い込まれた教訓を活かし、選挙後を見据えた党運営の準備が求められます。
まとめ
立憲民主党と公明党の新党結成は、多党化時代における「埋没」への危機感から生まれた決断です。両党とも支持率が低迷し、単独では次期衆院選を戦い抜く見通しが立たない中、協力して生き残りを図る形です。
「中道」を掲げて高市政権への対抗軸を打ち出し、無党派層の受け皿となることを目指していますが、「野合」批判への対応、政策面での調整、国民民主党の不参加など、課題も山積しています。
2月の衆院選は、新党の真価が問われる最初の試練となります。有権者としては、各党の政策を冷静に比較し、日本政治の将来を見据えた判断をすることが重要です。
参考資料:
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