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by nicoxz

中国半導体が生産能力で世界首位に迫る全貌

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はじめに

中国の半導体産業が、かつてない規模で拡大を続けています。米国による輸出規制の強化にもかかわらず、中国は国策ファンド「国家集成電路産業投資基金(大基金)」を中心に巨額の投資を行い、半導体の生産能力で世界トップクラスの地位を築きつつあります。

特に注目すべきは、半導体受託生産の中芯国際集成電路製造(SMIC)、メモリーの長江存儲科技(YMTC)、同じく長鑫存儲技術(CXMT)の3社です。この「製造3強」が中国半導体産業のけん引役となり、製造装置の国産化も急速に進んでいます。本記事では、中国半導体産業の現在地と今後の展望を、最新データをもとに解説します。

中国半導体の生産能力はどこまで伸びたのか

300mmウェーハ工場の急増

中国の半導体生産能力は、過去5年間でほぼ倍増しました。TechInsightsの分析によると、中国の半導体生産能力は今後5年間でさらに40%の成長が見込まれています。新規の半導体工場(ファブ)の建設数でも、2022年から2026年にかけて中国は26の新施設を稼働させる計画であり、台湾の19施設を上回ります。

中国のグローバルな生産能力シェアは、特に成熟ノード(20nm以上)で顕著です。20〜45nmプロセスでは世界の27%、50〜180nmプロセスでは30%のシェアを占めています。成熟ノードにおける中国のシェアは、2023年の31%から2027年には39%に拡大すると予測されています。

ファウンドリ最大手SMICの躍進

SMICは中国最大のファウンドリであり、2024年にはGlobalFoundriesやUMCを抜いて世界第3位の受託生産企業となりました。TSMCとサムスンに次ぐ地位です。

SMICのウェーハ販売量(8インチ換算)は2024年に前年比36.7%増の約801万枚に達しました。毎年約5万枚/月の生産能力を増強しており、拡大ペースは衰えていません。プロセス技術では14nmのFinFET量産を2019年に開始し、7nm相当のプロセスも実現しています。ただし、EUV露光装置の入手が制限されているため、5nm以下の最先端ノードへの進出には依然として課題が残ります。

メモリー分野で存在感を増すYMTCとCXMT

YMTCのNANDフラッシュ攻勢

長江存儲科技(YMTC)は、NAND型フラッシュメモリーの世界シェアで10%を突破しました。これは中国のメモリー企業として初めての快挙です。武漢に本拠を置くYMTCは、3D NANDの技術開発でも急速に進歩しており、232層NANDの量産を実現しています。

YMTCは現在、武漢で第3工場の建設を進めており、2027年頃の稼働開始を目指しています。同社の製品は中国国内のスマートフォンやパソコン向けに広く採用されており、価格面でも競争力を高めています。2025年末にはNAND製品の価格を競合大手並みに引き上げ、収益性の改善も図っています。

CXMTのDRAM生産拡大

長鑫存儲技術(CXMT)は、中国唯一のDRAM量産企業です。安徽省合肥市に本拠を置き、DDR4やLPDDR4Xなどの汎用DRAMを生産しています。2026年時点での月産能力は約28万枚(ウェーハベース)に達し、さらに30万枚への増強が進んでいます。

さらに注目すべきは、CXMTが上海に新たな大規模工場を計画していることです。この新工場は合肥本社の2〜3倍の規模になるとされ、2027年頃の量産開始が見込まれています。実現すれば、サムスン、SKハイニックス、マイクロンの「ビッグ3」との差を大きく縮めることになります。

製造装置の国産化が加速する背景

7兆円超の「大基金3期」が始動

中国の半導体国産化を支える最大の原動力が、国家集成電路産業投資基金です。2014年に第1期(約1,400億元)、2019年に第2期(約2,000億元)が設立され、2024年には過去最大の第3期(約3,440億元、約7兆4,500億円)が始動しました。

第3期は中央政府に加え、中国工商銀行などの国有企業からも出資を受けています。投資先は製造だけでなく、製造装置や材料にも広がっており、サプライチェーン全体の国産化を目指す姿勢が鮮明です。

装置メーカーの急成長

中国の半導体製造装置の国産化率は、2020年比で62.5%上昇し、2023年に11.7%、2024年には13.6%に達しました。総生産額は50億米ドルを超えたとみられています。2025年には国産化率が2〜3割に達したとの見方もあります。

その中心にいるのが北方華創(NAURA)です。NAURAの2024年12月期の売上高は約298億元で、2018年比で約9倍に急成長しました。これは日本の東京エレクトロンの約4分の1の規模に相当します。エッチング装置やCVD装置、さらに2025年にはイオン注入装置の量産も開始しています。

一方、露光装置の分野では上海微電子装備集団(SMEE)がDUV露光装置の商用化を進めていますが、ASMLのEUV露光装置に匹敵する技術の実現にはまだ時間がかかる状況です。

注意点・展望

最先端ノードへの壁は依然として高い

中国の半導体産業が急成長しているとはいえ、最先端ノード(5nm以下)での量産には大きな技術的ハードルがあります。EUV露光装置の入手が困難な状況は変わっておらず、この制約が中国の技術的天井となっています。

米国規制の影響と今後

米国は2022年以降、対中半導体規制を段階的に強化しています。先端装置の輸出制限に加え、日本やオランダとの協調規制も進んでいます。ただし、こうした規制がかえって中国の国産化を加速させた面もあり、規制の実効性には疑問の声もあります。

今後は、成熟ノードでの中国の圧倒的な生産能力が、世界の半導体市場に価格面で大きな影響を与える可能性があります。特に自動車向けやIoT向けなど、成熟ノードの需要が大きい分野では、中国製チップの存在感がさらに高まるでしょう。

まとめ

中国の半導体産業は、国策ファンドの巨額投資と「製造3強」の積極的な設備増強により、生産能力で世界トップクラスの地位を確立しつつあります。メモリー分野ではYMTCとCXMTが世界大手に迫り、製造装置の国産化率も着実に上昇しています。

最先端ノードでの技術的課題は残るものの、成熟ノードを中心とした大量生産体制は、世界の半導体サプライチェーンに構造的な変化をもたらす可能性があります。日本の半導体産業にとっても、装置・材料分野での競争激化は避けられない課題です。今後の米中間の技術覇権争いの行方とともに、中国半導体産業の動向から目が離せません。

参考資料:

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