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by nicoxz

中国太陽光パネル7社が巨額赤字、供給過剰の出口見えず

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はじめに

中国の太陽光パネル業界の苦境が一段と深刻化しています。主要7社の2025年12月期決算は全社が最終赤字を計上し、赤字額の合計は最大392億元(約8,900億円)に達する見込みです。2024年12月期に初めて赤字に転落して以降、過剰生産による市況悪化から抜け出せていません。

世界の太陽光パネル生産の約90%を占める中国メーカーの危機は、世界のエネルギー転換にも影響を及ぼす可能性があります。本記事では、業界の現状と今後の見通しを解説します。

主要メーカーの業績悪化

2025年上半期の赤字拡大

中国の太陽光パネル大手4社(LONGi、ジンコソーラー、トリナソーラー、JAソーラー)は2025年上半期に合計約110億元(約1,540億円)の純損失を計上しました。前年同期比で約2.5倍の赤字拡大です。

各社の業績を見ると、深刻な状況が鮮明になります。

  • LONGi: 売上高328億元(前年同期比14.8%減)、純損失25.7億元
  • JAソーラー: 売上高239億元(前年同期比36.0%減)、純損失25.8億元
  • トリナソーラー: 売上高311億元(前年同期比27.7%減)、純損失29.2億元
  • 通威(トンウェイ): 純損失50億元と主要企業の中で最大規模

ジンコソーラーの純損失も26億元に達し、前年上半期のわずか8,700万元から大幅に拡大しました。

大量のリストラと企業淘汰

業績悪化に伴い、大規模なリストラも進んでいます。LONGi、トリナソーラー、ジンコソーラー、JAソーラー、通威の5社だけで合計約8万7,000人が削減されました。平均で従業員の31%に相当する規模です。

さらに、2024年以降、40社以上の太陽光関連企業が上場廃止、破産、または買収されています。業界の淘汰が急速に進んでいる状況です。

供給過剰の構造的問題

需要の2倍を超える生産能力

中国の太陽光パネル業界が苦境に陥った最大の原因は、極端な供給過剰です。中国の太陽光パネル生産能力は年間約1テラワット(1,000ギガワット)に達しており、中国以外の全世界の生産能力の約5倍に相当します。

2025年の世界の太陽光パネル需要に対して、メーカーの生産能力はその2倍以上あるとされています。この圧倒的な供給過剰が、パネル価格の崩壊的な下落を招きました。

価格の暴落

太陽光パネルの価格は2024年末時点で1ワットあたり約9セントとなり、2022年初めと比べて約70%も下落しました。多くのメーカーが原価割れの状態で販売を続けており、価格競争が止まらない「チキンレース」の様相を呈しています。

各社が市場シェアを維持するために赤字覚悟で販売を続けた結果、業界全体が共倒れの危機に直面しています。

中国政府の対応と業界再編

過剰生産能力の抑制策

中国政府は太陽光パネル業界の過剰生産能力を抑制する方針を打ち出しています。新規の生産設備投資の制限や、品質基準の引き上げなどの施策が検討されています。

政府の介入の動きを受けて、中国の太陽光関連企業の株価が一時的に急伸する場面もありました。しかし、すでに過剰となった生産設備の削減には時間がかかり、短期的な業績改善は難しい状況です。

海外市場との貿易摩擦

中国の過剰生産問題は、国際的な貿易摩擦にもつながっています。欧米諸国は中国製太陽光パネルの「ダンピング輸出」を問題視しており、関税引き上げや輸入規制を強化しています。

特に米国はトランプ政権下で中国製パネルへの関税を大幅に引き上げており、中国メーカーの海外販路が狭まっています。

注意点・展望

中国の太陽光パネル業界の供給過剰問題は、短期的には解消が困難です。業界の本格的な回復には、生産能力の大幅な削減と需給バランスの改善が必要ですが、各社とも市場シェアの維持を優先しており、自主的な減産は進みにくい構造です。

一方で、パネル価格の下落は太陽光発電のコストを大幅に低下させ、世界のエネルギー転換を加速する側面もあります。消費者や発電事業者にとっては恩恵となる面もあることを見落とすべきではありません。

今後は、中国政府の産業政策や米中貿易摩擦の行方が業界の命運を左右する見通しです。生き残りをかけた企業間の統廃合が加速する可能性が高く、業界地図が大きく変わることが予想されます。

まとめ

中国の太陽光パネル主要7社が2025年12月期に全社赤字となる見通しは、過剰生産問題の深刻さを象徴しています。年間生産能力が世界需要の2倍以上という構造的な問題に加え、70%のパネル価格暴落が業界を追い詰めています。

8万7,000人超のリストラや40社以上の淘汰が進む中、業界の本格的な回復には生産能力の削減と需給バランスの改善が不可欠です。中国政府の対応と国際的な貿易環境の変化に注目する必要があります。

参考資料:

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