中国「脱NVIDIA」加速、ファーウェイ・カンブリコンが独自路線

by nicoxz

はじめに

2026年の中国半導体業界では、「脱NVIDIA」の動きが本格化しています。通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)を中心に、AI半導体の内製化が加速。生成AI向け半導体市場を寡占する米NVIDIAの牙城に、ファーウェイや新興の中科寒武紀科技(カンブリコン)が挑む構図が鮮明になってきました。

米国の圧力下で独自の半導体供給網を模索する中国企業は、2026年も存在感を高める見通しです。一方、日本にとっては半導体製造装置分野で商機が生まれています。

ファーウェイとカンブリコンの攻勢

出荷台数が倍増へ

米銀行最大手JPモルガン・チェースは、ファーウェイとカンブリコンによるAI半導体の出荷個数が2026年に計100万個を超えると予測しています。2024年の出荷実績予測と比べて2倍以上の規模であり、急成長が見込まれています。

両社の躍進は、中国国内でのAI需要の高まりと、NVIDIA製品の入手困難という二つの要因が重なった結果です。

ファーウェイの次世代製品

ファーウェイは中国国内で次世代のAI向け半導体を相次いで投入しています。2025年5月には「アセンド910C」、2025年後半には「アセンド920」の提供を開始し、NVIDIA製品の代替として採用が進んでいます。

ファーウェイはAI半導体だけでなく、サーバーやデータセンター向けソリューションまで一貫して提供できる体制を構築しており、中国国内での競争力を高めています。

「中国版NVIDIA」カンブリコンの急成長

カンブリコンは2016年に設立された中国を代表するAIチップメーカーで、「中国版NVIDIA」とも呼ばれています。2025年1〜6月期の売上高は前年同期比46倍の28億7,000万元(約600億円)に急拡大しました。

海外製GPUの対中供給制限が続く中、同社のクラウド向けAIチップが国産代替需要を取り込んでいます。2025年7〜9月期には売上高が前年同期比1,300%増を記録するなど、驚異的な成長を遂げています。

中国政府の「国産で代替可能」判断

性能が規制下のNVIDIA製品に追いつく

中国当局(CAC)は最近、ファーウェイやカンブリコンといった国内半導体メーカーを呼び出し、その性能をヒアリングしました。その結果、「中国のAIプロセッサーは、輸出規制下で許可されているNVIDIA製品と同等か、それを上回るレベルに達した」と結論づけています。

この判断を受け、中国政府はNVIDIA製AI半導体の調達を全面的に禁止する方針に転換しました。「国産で代替可能」という自信が、政策転換の背景にあります。

巨大テック企業の動き

アリババやバイドゥなど中国の巨大テック企業も、AI半導体の独自開発に乗り出しています。共通するのは、AIデータセンター向けに「NVIDIA以外」の選択肢を模索する姿勢です。

米国の輸出規制強化を見据え、サプライチェーンの脱米国化が中国ハイテク産業全体で進んでいます。

NVIDIAの危機感

7兆円市場からの遮断

NVIDIAはファーウェイの台頭に危機感を強めています。米政府がAI半導体の対中輸出規制を強化したあおりで、7兆円規模になると見込む中国市場に最新技術を投入できない状況が続いています。

規制下で許可されているスペックダウン版の製品では、ファーウェイやカンブリコンの国産製品と競合する際に優位性を発揮しにくくなっています。

米中技術覇権の断層

今回の中国による「脱NVIDIA」の動きは、米中技術覇権争いにおける決定的な断層を象徴しています。米国の規制が中国の技術自立を加速させるという皮肉な結果を招いており、半導体産業のグローバルなサプライチェーンは分断の方向に向かっています。

日本への商機

半導体製造装置で存在感

中国の半導体内製化が進む中、日本企業にとっては半導体製造装置分野で商機が生まれています。中国がAI半導体の生産能力を拡大する過程で、日本製の製造装置への需要が高まっているためです。

ただし、米国の対中規制の動向によっては、日本企業も取引制限の対象となる可能性があり、慎重な対応が求められます。

技術流出リスクへの対応

日本政府も半導体製造装置の輸出管理を強化しており、先端技術の流出防止と商業機会の確保のバランスが課題となっています。

今後の展望

2026年以降も中国の「脱NVIDIA」の動きは加速する見通しです。ファーウェイとカンブリコンを中心に、中国独自のAI半導体エコシステムが形成されつつあります。

一方、技術力ではNVIDIAが依然として世界をリードしており、最先端のAI開発では性能差が残るとの見方もあります。米中の技術デカップリングが進む中、グローバルな半導体産業の構図は大きく変わりつつあります。

まとめ

中国半導体業界の「脱NVIDIA」が2026年に本格化しています。ファーウェイとカンブリコンを中心に、AI半導体の出荷は前年比2倍以上に拡大する見通しです。

中国政府が「国産で代替可能」と判断したことで、米国製半導体からの脱却が加速しています。日本には製造装置分野での商機がある一方、米中対立の狭間での慎重な対応が求められます。

参考資料:

関連記事

最新ニュース