国民民主、立憲・公明新党に不参加 「政策より政局」と批判
はじめに
立憲民主党と公明党が次期衆議院選挙に向けて「中道新党」の結成で合意する中、国民民主党の玉木雄一郎代表は2026年1月15日、新党への参加を明確に拒否しました。
玉木代表は「与党と野党に分かれていた政党が一緒になる。その結集軸が極めて曖昧で、国民の理解が得られるのか」と疑問を呈し、「政策を脇においてまとまる動きにはくみしない」と断言しました。
本記事では、国民民主党が新党参加を拒否した背景、同党の政策的立場、そして今後の野党情勢について解説します。
新党参加拒否の経緯
立憲からの参加要請
玉木代表によると、立憲民主党の安住淳幹事長から国民民主党の榛葉賀津也幹事長に対し、新党への参加要請がありました。しかし、国民民主党は即座にお断りの連絡を入れたといいます。
野田佳彦代表と斉藤鉄夫代表は、国民民主党を含む他党にも参加を呼びかけていましたが、国民民主党はこれに応じませんでした。
「結集軸が曖昧」と批判
玉木代表は新党構想に対し、厳しい批判を展開しました。「協力して選挙を戦うのであれば、何を実現するのかを先に決めるべきだ」と述べ、政策の一致点が不明確なまま選挙協力を優先する姿勢を問題視しました。
また、「たとえ選挙で不利になっても、政局や選挙最優先ではなく、国民生活最優先、経済最優先、政策最優先でやっていく」と強調。2020年9月の結党以来の理念を貫く姿勢を示しました。
参政党も独自路線
参政党も立憲・公明の新党とは一線を画す方針です。同党は「経済成長」と「令和の所得倍増戦略」を掲げ、減税や規制緩和を重視する独自の政策を展開しています。
参政党の神谷宗幣代表は「違いを出しやすくなる」と述べ、新党結成によって野党間の政策の違いがより明確になるとの見方を示しました。
国民民主党の政策的立場
「手取りを増やす」が核心
国民民主党は2020年の結党以来、「まじめに働く人の手取りを増やす」政策を一貫して訴えてきました。日本の最大の課題は長年手取りが増えていないことだと位置づけ、減税と経済成長を軸にした政策を展開しています。
具体的には、所得税や消費税の減税、社会保険料の軽減、ガソリンや電気代の値下げなどを掲げています。手取りが増えることで消費が伸び、さらなる賃上げにつながり、年金も増えるという好循環を目指しています。
「103万円の壁」引き上げ
国民民主党の看板政策の一つが、いわゆる「103万円の壁」の引き上げです。2025年12月には、高市早苗首相(当時自民党総裁)との会談で「178万円」への引き上げで合意に達しました。
この引き上げは、物価高での手取り増加と、「働き控え」の解消という2つの政策目的を持っています。給与所得者の約8割をカバーする形で手取りを増やすことを目指しています。
積極財政の姿勢
国民民主党は名目賃金上昇率が一定水準(物価上昇率+2%)に達するまで、積極財政と金融緩和による「高圧経済」で賃金デフレからの脱却を目指すとしています。それまでの間、増税や社会保険料アップ、給付削減による家計負担増は行わないという立場です。
財源については「増税なき税収増」を主張し、経済成長に伴う自然増収で賄う方針です。2035年に名目GDP1000兆円、税収120兆円を実現し、債務残高の対GDP比率も大幅に改善させるという長期ビジョンを掲げています。
野党各党の反応と今後の展望
維新は静観の構え
日本維新の会の吉村洋文代表は「他党にどういう動きがあったとしても、自分の政党の訴えを正面から国民に訴えていくことに尽きる」と述べ、静観の構えを示しました。
維新は大阪ダブル選挙と衆院選のトリプル選挙に注力しており、野党間の連携よりも独自路線での戦いを選択しています。
共産党は慎重姿勢
共産党の田村智子委員長は、立憲・公明の新党との連携について「政策がわからない時点では判断のしようがない」と答え、慎重な姿勢を示しました。
新党が掲げる政策が明確になった段階で、協力の可否を判断する考えとみられます。
野党勢力の分散化
立憲・公明の新党結成により、野党勢力は「新党」「国民民主党」「維新」「共産・れいわ・社民」などに分散する形となります。中道票の奪い合いが激化し、結果として与党に有利に働く可能性も指摘されています。
一方で、各党の政策の違いが明確になることで、有権者にとっては選択肢が広がるという見方もあります。
国民民主党の選挙戦略
「政策実現」を前面に
国民民主党は次期衆院選でも「手取りを増やす」政策を前面に打ち出す方針です。「103万円の壁」引き上げでの実績をアピールし、経済政策を重視する有権者の支持獲得を目指します。
特に若年層や現役世代への訴求を強化し、「働く人の味方」というイメージの確立を図っています。
与党との是々非々
国民民主党は野党でありながら、与党との政策協議にも応じる「是々非々」の姿勢を維持しています。「103万円の壁」引き上げでの自民党との合意は、この姿勢の表れといえます。
ただし、この姿勢が「与党寄り」と見なされ、野党支持層から批判を受けるリスクもあります。
まとめ
国民民主党の新党不参加は、「政策より政局」を批判し、独自路線を貫く同党の姿勢を明確に示しました。「手取りを増やす」という明確な政策軸を持ち、選挙での不利を覚悟してでも結党の理念を貫くという玉木代表の決意は、日本の政党政治において一定の存在感を示しています。
次期衆院選では、立憲・公明の新党、維新、国民民主党がそれぞれ異なる政策を掲げて競い合う構図となります。有権者にとっては選択肢が増える一方、野党票の分散により与党に有利に働く可能性も否定できません。
政策本位の政治を訴える国民民主党が、選挙でどれだけ支持を集められるかが注目されます。
参考資料:
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