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by nicoxz

群馬県が移住希望地2年連続首位、人気の理由を徹底解説

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はじめに

公益社団法人ふるさと回帰・移住交流推進機構(ふるさと回帰支援センター)が2026年2月に発表した2025年の移住希望地ランキングで、群馬県が2年連続の首位を獲得しました。2位には栃木県、3位には長野県が続いています。

2025年の移住相談件数は7万3,003件にのぼり、前年の6万1,720件から18.3%増加しました。5年連続で過去最多を更新しており、地方移住への関心がますます高まっています。本記事では、群馬県が支持を集める理由と、上位にランクインした各県の取り組みを詳しく解説します。

2025年移住希望地ランキングの全体像

過去最多の相談件数が示す移住トレンド

ふるさと回帰支援センターが集計した2025年の移住相談件数は、面談・電話・メール・見学・セミナー参加を合わせて7万3,003件でした。前年比18.3%増という大幅な伸びを記録しています。

この背景には、都市部における住宅価格の高騰が大きく影響しています。特に東京都心部のマンション価格は上昇を続けており、家賃負担の軽減を求めて地方移住を検討する層が拡大しました。さらに、2025年夏の記録的な猛暑も、自然豊かな地方での暮らしに目を向けるきっかけとなったと分析されています。

移住相談会やセミナーの開催数は年間658回にのぼりました。開催方法は対面が288回(43.8%)、オンラインが245回(37.2%)、ハイブリッド形式が125回(19.0%)となっており、多様なチャネルで情報提供が行われています。

窓口相談とセミナーの二つのランキング

移住希望地ランキングには、窓口相談部門とセミナー参加者部門の二つがあります。窓口相談部門では、1位が群馬県(2年連続)、2位が栃木県(前年3位から上昇)、3位が長野県(前年4位から上昇)という結果でした。

セミナー参加者部門でも群馬県が3年連続で1位を獲得しています。2位は長野県、3位は和歌山県となりました。群馬県が両部門で首位を独占したことは、幅広い層から安定した支持を得ている証拠です。

特筆すべきは、群馬県が窓口相談の年代別ランキングで20代以下から70代以上まで、すべての年代において1位を獲得した点です。世代を問わず圧倒的な人気を誇っています。

群馬県が首位を維持する理由

全35市町村が一体となった「オールぐんま」の支援体制

群馬県の強みは、県内全35市町村がふるさと回帰支援センターの支援会員に登録している点にあります。山本一太知事のリーダーシップのもと、「オールぐんま暮らしサポートチーム」を組織し、県と市町村が一体となった受け入れ体制を構築しました。

東京・有楽町にある「ぐんま暮らし支援センター」では、専任の移住相談員3名と就職相談員1名が常駐しています。年間60回以上のセミナーも開催しており、移住希望者が気軽に相談できる環境を整備しました。

各市町村レベルでもオンライン相談やメール・電話での対応が可能です。林業相談、起業相談、地域おこし協力隊に関する専門相談にも対応しており、移住後の生活設計まで包括的にサポートする体制が整っています。

東京通勤圏としての優位性と生活コスト

群馬県が移住先として選ばれる最大の理由は、首都圏へのアクセスの良さです。新幹線を利用すれば東京駅まで約50分で到着します。テレワークと出社を組み合わせたハイブリッドワークが定着するなか、週に数日の東京通勤を前提とした移住が現実的な選択肢となっています。

生活コストの安さも大きな魅力です。家賃の平均相場(3部屋)を比較すると、東京都が約10万2,118円であるのに対し、群馬県は約5万5,139円と、およそ半額で住むことが可能です。物価の安さも全国3位と、家計への負担が小さい県として知られています。

相談者の中心は30代の子育て世帯で、東京への通勤を前提とした物件探しや、都市部の家賃高騰を背景にした相談が目立ちました。子育て環境の面でも、群馬県は人口あたりの医師数が多く、一般・救急医療の体制が充実しています。2024年度の移住者数は過去最多の1,560人を記録しており、実際に移住を実行に移す人も着実に増加しています。

上位県に学ぶ移住促進の取り組み

栃木県:オーダーメイド型ツアーと女性相談者の増加

2位にランクインした栃木県は、独自の「移住促進コンシェルジュ」制度で成果を上げています。この制度は、移住先が明確に決まっていない希望者を対象に、個別のニーズに合わせたオーダーメイド型の現地案内ツアーを提供するものです。

県北エリアは一般社団法人「nasu lab.(ナスラボ)」が、県南エリアは合同会社「Walk Works(ワクワークス)」がそれぞれ担当しています。住まいや交通、託児所など相談者の希望に合った生活環境を案内するほか、先輩移住者との交流機会も創出しています。個人旅行では得られない地域とのつながりを体験できる点が好評です。

栃木県で特筆すべきは女性相談者の増加です。2024年に男女の相談割合が逆転して以降、2025年もその傾向が拡大しました。女性が主体的に移住を検討するケースが増えていることは、移住の裾野が広がっていることを示しています。

長野県:10年の蓄積と教育移住への注目

3位の長野県は、ふるさと回帰支援センターにブースを設置してから10年を迎えました。「長野の移住相談はセンターへ」という認知が定着しており、安定した相談実績を誇っています。

2025年は移住相談員を3名体制へ増員し、就職相談員も新たに配置しました。この体制強化により、11月の相談件数が過去最多を記録するなど、窓口利用がさらに活発化しています。なお、総務省の「令和6年度移住相談調査」では、長野県が移住相談件数で全国1位を獲得しており、全国的に見ても移住先としての存在感は際立っています。

長野県では近年、「教育移住」への関心が高まっています。佐久地域の私立校や、伊那市に配置された教育移住の担当者など、子どもの教育環境を重視した移住支援が注目を集めています。住宅コストの削減を目的とした相談に加え、特に20代の若い世代が結婚前から堅実な生活設計を立てる傾向が強まり、相談件数の増加につながっています。

注意点・展望

移住希望地ランキングはあくまで「希望」段階の調査であり、実際の移住者数とは必ずしも一致しません。ランキング上位の県が移住者数でも上位とは限らない点には注意が必要です。移住を検討する際は、ランキングの順位だけでなく、自身のライフスタイルや仕事環境に合った地域を選ぶことが重要です。

今後の展望としては、都市部の住宅価格高騰やリモートワークの定着が続く限り、地方移住への関心は引き続き高まると見込まれます。群馬県のように県と市町村が一体となった支援体制や、栃木県のオーダーメイド型ツアー、長野県の教育移住支援など、各県の独自施策が移住実現のカギを握っています。

一方で、移住後の定着率の向上も課題です。移住前の期待と移住後の現実のギャップを埋めるためには、住居や仕事だけでなく、地域コミュニティへの参加支援や子育て環境の継続的な整備が求められます。

まとめ

2025年の移住希望地ランキングでは、群馬県が2年連続で首位を獲得しました。全35市町村による「オールぐんま」体制、東京まで新幹線約50分というアクセスの良さ、そして生活コストの低さが総合的に評価されています。

移住相談件数が過去最多の7万3,003件を記録するなど、地方移住への関心は年々高まっています。移住を検討している方は、まずふるさと回帰支援センターの窓口やオンラインセミナーを活用し、複数の候補地を比較検討することをおすすめします。各県が用意している現地体験ツアーや移住支援金制度も、移住先選びの参考になるでしょう。

参考資料:

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