維新が連立合意の信を問う姿勢、国会冒頭解散で焦点に

by nicoxz

はじめに

2026年1月11日、日本維新の会の吉村洋文代表は、高市早苗首相が23日召集予定の通常国会冒頭で衆院を解散する案について、「維新と自民党の連立合意の内容は国民の信をまだ得ていない」との認識を示しました。自民党との連立政権を発足させてわずか3カ月、国民の信任を得ないまま政策を進めることへの懸念が背景にあります。一方で公明党は政治空白への懸念から解散に慎重な姿勢を見せており、政局は緊張感を増しています。本記事では、維新の主張の背景、高市政権の解散判断、各党の思惑について詳しく解説します。

維新の吉村代表が示した「信を問う」姿勢

連立合意への国民信任が未取得との認識

吉村代表は11日のNHK番組で、「首相が解散の判断をするのであれば正面から国民に問いたい」と強調しました。この発言の背景には、2025年10月20日に自民党と維新が締結した連立政権合意が、まだ国民の審判を受けていないという事実があります。

連立合意には「日本再起への12本の矢」として、暫定税率の廃止、物価高対策、企業団体献金の扱いなど、重要な政策が盛り込まれています。しかし、この合意は総選挙後の国会内の調整によって成立したものであり、有権者が直接この枠組みを選択したわけではありません。

吉村氏は9日の政府・与党連絡会議の終了後、首相と話した際に「冒頭という具体的な時期の話はなかった」としながらも、11日には「一段ステージが変わったやり取りがあった」と明かしており、首相の解散判断が具体化しつつあることを示唆しています。

「いつでも戦う準備は整っている」

吉村代表は「解散は総理の専権だから、もし総理が解散するというふうに判断すれば、いつでも戦う準備は整っている」とも述べました。この発言からは、維新が解散に反対しているのではなく、むしろ連立合意の内容を国民に問う機会として前向きに捉えている姿勢がうかがえます。

実際、維新は「それほど驚いたものではない」と冷静に受け止めており、解散の可能性を事前に想定していたことが分かります。党としては、連立政権の正当性を国民に問うことで、より強固な政治基盤を築きたい考えがあると見られます。

高市首相の解散判断をめぐる動き

高い内閣支持率が背景に

高市早苗首相が早期解散を検討する最大の理由は、内閣支持率の高さにあります。読売新聞の世論調査では、2025年10月の政権発足時に71%を記録し、12月時点でも73%と7割台を維持しています。この高支持率を背景に、早期に選挙を実施して政権基盤を固めたいとの思惑があると見られます。

首相は23日召集予定の通常国会の冒頭で解散する選択肢について、自民党幹部に「選択肢のひとつ」と伝えたとされています。衆院選の日程としては「2月3日公示―15日投開票」や「1月27日公示―2月8日投開票」が候補になっています。

「真冬の決戦」で野党の準備不足を突く狙いか

通常国会冒頭での解散は、野党の選挙準備が整っていない時期を狙った戦略とも指摘されています。真冬の2月に選挙を実施することで、野党の組織的な選挙活動を制限し、与党に有利な状況を作り出す狙いがあると分析されています。

しかし、国会冒頭での解散となれば、所信表明演説も行われないまま選挙に突入します。物価高対策を最優先課題と掲げながら、その効果を国民が実感する前に「信を問う」形となり、「大義なき解散」との批判が出る可能性があります。

慎重な発言にとどまる首相

高市首相自身は11日、23日召集予定の通常国会で衆院を解散する選択肢はあるかと問われたのに対し、「国民に物価高対策の効果をちょっとでも早く実感していただきたい。今は目の前の課題に懸命に取り組んでいる」と述べるにとどめ、明言を避けています。

また、高市首相は連立拡大に意欲を示しており、現在の自民・維新の枠組みをさらに拡大する可能性も模索していると見られます。

公明党の強い懸念と政治空白への批判

予算成立への深刻な影響

公明党の斉藤鉄夫代表は11日のNHK番組で、通常国会冒頭で衆院解散になった場合は予算案の3月中の成立はほぼ不可能になるとして「なぜ今解散なのか。政治空白をつくるのは果たしてどうなのか」と疑問を呈しました。

通常、政府予算案は年度内(3月末まで)の成立を目指しますが、国会冒頭で解散すれば、選挙、特別国会の召集、新内閣の組閣などで少なくとも1カ月以上の時間がかかります。その結果、予算成立が4月以降にずれ込み、新年度の行政運営に支障が出る恐れがあります。

「解散だけは絶対に認められない」

斉藤代表は1月7日、石破茂首相(当時)と2日に会食した際「衆院解散だけは絶対に認められない」と伝えたことを明らかにしました。この時点では石破首相であり、その後高市政権に移行したわけですが、公明党の解散反対の姿勢は一貫しています。

公明党は2025年10月に自公連立政権から離脱し、現在は野党の立場にありますが、政治の安定と予算執行の重要性を重視する立場から、解散による政治空白を強く懸念しています。

「今の状況では与党に不利」との指摘も

斉藤氏は石破首相との会談で、政治空白を招くことや「今の状況では与党に不利だ」との理由をあげたとも報じられています。これは、公明党の視点では、高支持率が続いているとはいえ、連立の枠組みが不安定な中での解散は、必ずしも与党側に有利な結果をもたらさないとの判断があることを示しています。

LDP-維新連立の構造的な課題

「信任と供給」の暫定的な枠組み

自民党と維新の連立は、「信任と供給」(confidence and supply)と呼ばれる形態です。維新は内閣に参加せず、重要法案や予算案の賛成を約束することで政権を支える仕組みです。この形態は、完全な連立政権よりも緩やかな協力関係であり、暫定的な性格が強いとされています。

現状、高市政権は衆議院で233議席とかろうじて過半数を確保していますが、参議院では自民・維新のブロックでも過半数に届いていません。この「ねじれ」状態は、重要法案の成立に困難をもたらす可能性があります。

議席削減法案の行方

高市首相と維新の吉村代表は、衆議院の議席を10削減する法案を12月中旬に提出し、2026年の通常国会での成立を目指すことで合意しています。この議席削減は維新が連立の条件として提示した重要政策の一つです。

しかし、この法案が通常国会で審議される前に解散となれば、法案は廃案となります。解散後の選挙結果次第では、連立の枠組み自体が変わる可能性もあり、議席削減の約束が実現するかは不透明です。

公明党との関係修復の可能性

かつて25年以上にわたって自民党と連立を組んでいた公明党との関係修復も、今後の政局の焦点となります。公明党は2025年10月に連立を離脱しましたが、政策的には自民党と共通する部分も多く、選挙結果次第では再び連立の枠組みに戻る可能性もあります。

ただし、公明党は現在、自民党の「傲慢政治」を批判して離脱した経緯があり、簡単に関係修復が進むとは限りません。

各党の思惑と2026年政局の行方

維新の戦略:改革政党としての存在感

維新にとって、連立合意の内容を国民に問うことは、改革政党としての存在感を示す絶好の機会です。暫定税率の廃止や企業団体献金の完全禁止など、維新が主張してきた政策を前面に打ち出すことで、支持拡大を図る狙いがあります。

また、維新は大阪を基盤とする地域政党から全国政党への転換を目指しており、国政での連立政権参加は重要なステップです。選挙で一定の成果を上げれば、政権内での発言力をさらに強めることができます。

自民党のジレンマ:支持率維持と政策実現

自民党にとっては、高い支持率を維持しながら、いかに議席を伸ばすかが課題です。しかし、「大義なき解散」との批判を招けば、かえって支持を失うリスクもあります。

また、物価高対策などの重要政策を実現する前に選挙に突入すれば、公約の実現能力を疑問視される可能性もあります。予算成立の遅れは、国民生活に直結する問題であり、慎重な判断が求められます。

公明党の立場:安定重視と野党としての役割

公明党は現在野党ですが、政治の安定を重視する姿勢は変わりません。解散による政治空白を批判することで、責任ある政党としての姿勢をアピールできます。

一方で、選挙結果次第では再び連立に参加する可能性もあり、自民党との関係を完全に断ち切ることは避けたいとの思惑もあると見られます。

今後の展望と注目ポイント

1月23日までの動向が焦点

通常国会召集日である1月23日までに、高市首相が解散を決断するかどうかが最大の焦点です。23日の冒頭で解散するか、所信表明演説を行ってから解散するか、あるいは当面解散を見送るか、いくつかの選択肢があります。

首相は「選択肢のひとつ」と述べるにとどめており、党内や連立パートナーの意見、さらには世論の動向を見極めながら最終判断を下すと見られます。

選挙結果が連立の枠組みを左右

仮に解散・総選挙となった場合、その結果が今後の連立の枠組みを大きく左右します。自民党が単独過半数を回復すれば、維新との連立を解消する可能性もあります。逆に、自民党が議席を減らせば、維新の発言力がさらに増すことになります。

また、公明党や国民民主党など他の政党の動向も重要です。多党化が進む中で、どのような連立の組み合わせが生まれるかは予測困難です。

物価高対策の実績が問われる

選挙の争点としては、物価高対策が中心になると見られます。高市政権は電気・ガス料金の補助金などを含む補正予算案の成立を目指していますが、その効果を国民が実感する前に選挙となれば、実績を問われることになります。

維新が主張する暫定税率の廃止も、ガソリン価格の引き下げにつながる政策として注目されます。各党がどのような物価高対策を掲げるかが、有権者の判断を左右するでしょう。

まとめ

日本維新の会の吉村代表が示した「連立合意の信を問う」姿勢は、暫定的な連立政権の正当性を国民に問うという意味で理にかなっています。一方、公明党が指摘する政治空白への懸念も、予算成立という国民生活に直結する問題として無視できません。

高市首相の解散判断は、高い支持率という追い風と、「大義なき解散」という批判のリスクの間で揺れ動いています。1月23日の通常国会召集までの動向が、2026年政局の行方を大きく左右することになるでしょう。

維新、自民、公明、そして他の野党がそれぞれの思惑を抱える中で、最終的に国民の利益を最優先する政治判断が求められています。選挙となれば、各党の政策と理念が問われる重要な機会となります。

参考資料:

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