菅義偉元首相が政界引退、連立政権への思いを語る
はじめに
2026年1月の衆議院解散を機に、菅義偉元首相が政界を引退しました。秋田の農家に生まれ、地縁も血縁もない横浜で政治の世界に飛び込んだ「たたき上げ」の政治家は、官房長官として歴代最長の7年8カ月を務め、第99代内閣総理大臣として新型コロナ対応の最前線に立ちました。
引退を前にした1月26日、菅氏はインタビューに応じ、自民党と日本維新の会の連立政権への評価や、26年間続いた公明党との関係について語りました。
この記事では、菅義偉氏の政治家としての歩みと引退インタビューの内容を解説します。
引退表明の経緯
「喜寿を迎え、後進に道を譲る」
菅義偉氏は2026年1月16日、第51回衆議院議員総選挙に出馬せず政界を引退する意向を固めました。翌17日、横浜市内で記者団の取材に応じ、「70代になってから政治家としての引き際を常に考えていた。喜寿を迎え、後進に道を譲ることを実行する」と語りました。
産経新聞の取材には「体力面を考えた」と説明しています。1996年の衆院選で初当選以来、当選10回を重ねてきた政治家人生に幕を下ろしました。
後継者への引き継ぎ
菅氏は自身の下で首相秘書官や地元秘書を務めた新田氏に後事を託しました。長年の地元・神奈川県の政治基盤を次世代に引き継ぐ形となります。
インタビューでの発言
維新との連立を評価
1月26日、国会内で行われたインタビューで、菅氏は自民党と日本維新の会の連立政権について言及しました。維新が改革に取り組んでいることを評価し、連立政権合意書を念頭に「約束したことはしっかりと実行に移していくことを忘れてはならない」と訴えました。
2025年10月に公明党が連立を離脱した後、自民党は維新との連立に踏み切りました。菅氏は政治改革を重視する立場から、維新の姿勢を肯定的に受け止めているようです。
公明党との関係を重視
一方で、26年間にわたって続いた公明党との関係についても触れました。公明党の政権離脱を「大変つらいこと」と振り返り、「どんなに長い年月があっても違う政党だからコミュニケーションは大事だ」と強調しました。
また「これからも大事にしていくべきだ」との見解を示し、連立解消後も両党の関係を継続することの重要性を訴えました。
自公連立解消の背景
26年間の協力関係に終止符
自民党と公明党の連立は1999年10月に発足し、民主党政権時代を除いて26年間続きました。しかし2025年10月、高市早苗総裁と斉藤鉄夫代表の党首会談で決裂し、公明党は連立離脱を表明しました。
決裂の原因は「政治とカネ」問題への対応でした。公明党は企業・団体献金の規制強化を求めましたが、自民党との間で溝が埋まりませんでした。また、斉藤代表は高市総裁の政治姿勢について「容認できない」と厳しい見解を示しました。
維新との新たな連立
公明党離脱後、衆院の過半数を得るため自民党は新たな協力相手を模索しました。結果として日本維新の会が閣外協力という形で連立政権に加わることに合意しました。
連立政権合意では「12本の矢」として、副首都構想や現役世代の社会保険料引き下げなどが掲げられています。しかし、議員削減への異論や選挙区競合など、両党間には複数の課題も指摘されています。
菅義偉氏の政治家としての軌跡
たたき上げの政治家人生
菅氏はX(旧ツイッター)で自身の政治家人生を振り返り、「雪深い秋田の農家に生まれ、地縁、血縁のない横浜で、政治の世界に飛び込みました。ゼロからのスタートだった私が衆議院議員として30年、内閣官房長官、内閣総理大臣を務めることができました」と回想しています。
総務大臣在任中にはふるさと納税を提唱し実現にこぎつけました。地方分権改革推進法など19本の法案を成立させた実績もあります。
官房長官としての7年8カ月
第2次安倍政権では官房長官を歴代最長の7年8カ月にわたって務めました。「官邸官僚」として霞が関を掌握し、縦割り行政の打破に取り組みました。
菅氏は「縦割りを打破して、これまでできなかった政策を実現させ、次の時代の日本への道筋をつけることができた」と自負しています。
首相としての実績
2020年9月に第99代内閣総理大臣に就任。デジタル庁の新設、不妊治療の保険適用、携帯電話料金の値下げ、2050年カーボンニュートラル宣言など、在任約1年の間に多くの政策を実現しました。
特に印象に残っていることとして新型コロナウイルス対応を挙げ、「首相として、ワクチンの1日100万回接種を国民に約束して実行に移した」と強調しました。
注意点・今後の展望
自維連立の課題
菅氏が評価した自維連立ですが、順調とは言い切れない面もあります。維新が入閣を固辞したことに高市首相が「ありえへん」と反応するなど、「閣外連立」特有の難しさが露呈しています。
選挙区が競合する地域も多く、衆院選後の関係がどうなるかは不透明な部分があります。
次世代への期待
菅氏は「次の世代の議員に伝えたいこと」を問われ、首相時代に道筋をつけたカーボンニュートラルの実現などを列挙しました。「自分は国民にとって当たり前の政治を心掛けてきた。後に続く人たちには『未来を見据えて必ずとらなければならない道』を見極めて政治家として実践してほしい」と語っています。
まとめ
菅義偉元首相は30年間の政治家人生に幕を下ろしました。秋田の農家出身という「たたき上げ」の政治家として、縦割り行政の打破やデジタル化推進など、数々の改革を実現してきました。
引退インタビューでは自維連立への期待と、公明党との関係継続の重要性を語りました。連立政権のあり方が問われる中、菅氏の言葉には長年の政治経験に裏打ちされた重みがあります。
衆院選後の日本政治において、菅氏が残した改革路線がどのように引き継がれていくのかが注目されます。
参考資料:
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