香川アリーナ開館1年で稼働率9割|地方創生の新モデル
はじめに
2026年2月24日、香川県立アリーナ(愛称:あなぶきアリーナ香川)が開館から1年を迎えました。2025年末までの約10カ月間で来場者数は60万人に達し、ライブ公演や物販などを含む施設稼働率は9割に及んでいます。
建設費202億円を投じた中四国最大級のアリーナは、サザンオールスターズのこけら落とし公演で華々しくスタートし、2026年にはMr.ChildrenやB’zなどの大型公演も予定されています。地方都市に建設された大型アリーナが、これほどの成功を収めた要因はどこにあるのでしょうか。本記事では、香川アリーナの初年度を検証します。
施設の概要と特徴
中四国最大級の1万人収容アリーナ
香川県立アリーナは、2014年に閉館した旧県立体育館の後継施設として、香川県が202億円を投じて建設しました。高松市のサンポート地区に位置し、JR高松駅から徒歩圏内という好立地です。
メインアリーナは最大約1万人を収容でき、中四国地方では最大級の規模です。施設設計は世界的に有名な建築ユニットSANAA(妹島和世+西沢立衛)が手がけ、その建築デザインは高い評価を受けています。2025年にはユネスコのベルサイユ賞で最優秀賞を受賞しました。
命名権とスポーツ・エンタメの両立
穴吹興産が命名権を取得し、「あなぶきアリーナ香川」の愛称で親しまれています。命名権の契約金額は年額5,550万円で、2032年3月までの長期契約です。
施設は大規模コンサートやスポーツイベントに対応するだけでなく、地域の部活動やコミュニティ利用との両立を図る設計が特徴です。エンターテインメント施設としての収益性と、公共施設としての地域貢献を両立させるモデルとして注目されています。
サザンが切り開いた新時代
41年ぶりの香川公演
香川アリーナのこけら落とし公演に選ばれたのは、サザンオールスターズでした。2025年3月1日・2日の2日間で延べ約1万4,000人が来場し、周辺のホテルはほぼ満室となりました。
サザンオールスターズが香川県内でコンサートを開催するのは、1984年の旧高松市民会館以来、実に41年ぶりのことです。大規模な会場がなかったために実現しなかった大型アーティストの地方公演が、アリーナの誕生によって可能になったことを象徴する出来事でした。
ライブエンタメの「地方様変わり」
高松市の大西市長は、サザンのライブについて「宿泊客としてホテルに泊まり、夕食を楽しんでもらえた。かなりの経済効果があったのは間違いない」と述べています。
従来、中四国地方に住むファンは大阪や広島まで遠征する必要がありました。しかし、1万人規模の会場が高松に誕生したことで、大型アーティストが四国でツアーを組み込むようになりました。これはライブエンタメ市場の地図を塗り替える変化です。
稼働率9割の背景
多様なイベントの集積
稼働率9割という数字は、大型コンサートだけで達成されたものではありません。スポーツイベント、展示会、企業イベント、地域の催し物など、多様な用途での利用が積み重なった結果です。
特にバスケットボールBリーグの香川ファイブアローズがホームアリーナとして使用しているほか、バレーボールや格闘技などのスポーツイベントも定期的に開催されています。平日は地域のスポーツ利用にも開放されており、稼働率の底上げに寄与しています。
大阪城ホールとの比較
類似規模の施設である大阪城ホールと比較しても、香川アリーナの稼働率は遜色ありません。むしろ、人口約40万人の高松市という地方都市での実績としては驚異的な数字です。
その要因として、JR高松駅からの好アクセス、瀬戸内海を望む立地の魅力、そしてSANAA設計による建築としての集客力が挙げられます。アリーナそのものが「目的地」となり得る施設としての付加価値が、高い稼働率を支えています。
地域経済への波及効果
宿泊・飲食・交通への恩恵
大型公演が開催されるたびに、高松市内のホテルは満室状態となり、飲食店や土産物店の売上も増加しています。特に県外からの来場者が多いイベントでは、周辺の繁華街への人流増加が顕著です。
人流データの分析によれば、サザンオールスターズのコンサート開催時には、高松市中心部の夜間人口が通常の週末と比べて大幅に増加したことが確認されています。
アリーナ経済の可能性
全国では「アリーナ改革」と呼ばれるムーブメントが進行中です。横浜のKアリーナ、長崎のピーススタジアムなど、各地で大型アリーナの建設が相次いでいます。香川アリーナの成功は、地方都市でもアリーナ経済が成立することを実証した重要な事例です。
注意点・展望
香川アリーナの初年度の成功は目覚ましいものですが、持続性には課題もあります。開館初年度は話題性もあり注目度が高かったことを考慮する必要があります。2年目以降も安定した稼働率を維持できるかが真価を問われるポイントです。
また、大型公演の誘致は会場間の競争が激しく、近隣の広島や岡山の施設との差別化が重要です。SANAAの建築デザインという唯一無二の付加価値をどう活かしていくかが鍵となります。
2026年はMr.ChildrenやB’zなどの大型公演が予定されており、勢いを維持できる見通しです。地方創生の新しいモデルケースとして、引き続き注目に値します。
まとめ
香川県立アリーナは、開館1年で来場者60万人・稼働率9割という目覚ましい成果を上げました。サザンオールスターズのこけら落とし公演に象徴されるように、大型アーティストの地方公演を可能にし、ライブエンタメの「地方様変わり」を実現しています。
地域経済への波及効果も大きく、地方都市におけるアリーナ経済の成功モデルとして全国から注目を集めています。2年目以降の持続性が問われるなか、今後の展開に期待が高まります。
参考資料:
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