韓国・尹錫悦大統領を罷免、戒厳令から142日で弾劾成立

by nicoxz

はじめに

2025年4月4日、韓国の憲法裁判所は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾を妥当とする判断を下し、罷免を決定しました。2024年12月3日の突然の戒厳令宣布から142日。韓国憲政史上、現職大統領が罷免されるのは朴槿恵(パク・クネ)元大統領に続き2人目となりました。

裁判官8人全員一致で「憲法守護の責務を放棄し、国民の信任を著しく裏切った」と判断。尹氏は任期を約2年残して即時失職し、60日以内に大統領選挙が実施されることになりました。

本記事では、戒厳令宣布から罷免に至るまでの経緯、憲法裁判所の判断、そして今後の韓国政治の展望について解説します。

戒厳令宣布から弾劾まで

突然の戒厳令

2024年12月3日午後10時23分、尹錫悦大統領は緊急のテレビ演説を開始しました。そしてわずか5分後の10時28分、「非常戒厳」を宣布しました。韓国で戒厳令が発令されるのは約40年ぶりのことでした。

尹大統領は、野党勢力を「反国家勢力」と呼び、国会の予算案審議を妨害する行為に対抗するために戒厳令が必要だと主張しました。しかし、その真の目的は政治的な窮地からの脱出だったとの見方が大勢です。

国会が戒厳解除を議決

戒厳令発令後、軍や警察が国会に投入されました。しかし、国会議員らが国会に集結し、わずか数時間後に戒厳解除を議決。憲法の規定に基づき、尹大統領は戒厳令の解除を余儀なくされました。

この一連の出来事は韓国社会に大きな衝撃を与え、尹大統領への批判が一気に高まりました。

弾劾訴追案の可決

2024年12月14日、韓国国会は尹錫悦大統領の弾劾訴追案を可決しました。野党のみならず与党の一部議員も賛成に回り、圧倒的多数での可決となりました。

弾劾訴追案の可決により、尹大統領の職務は停止され、憲法裁判所での弾劾審判が始まりました。

憲法裁判所の判断

裁判官全員一致で罷免

2025年4月4日、憲法裁判所は尹錫悦大統領の弾劾を妥当と判断し、罷免を決定しました。8人の裁判官全員一致での判断でした。

韓国の憲政史上、弾劾審判は盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領(2004年、棄却)、朴槿恵大統領(2017年、罷免)に続き3度目。現職大統領が実際に罷免されるのは朴元大統領に続き2人目となりました。

「重大な憲法違反」と認定

憲法裁判所は、尹大統領による戒厳令が「戦時あるいは重大な事変、またはこれに準ずる国家非常事態」でない状況で発令されたと認定。憲法と戒厳法の実質的要件に違反した行為だと判断しました。

また、戒厳下での軍や警察の国会への投入について「国会の権限行使を妨害し、国民主権と民主主義に反した」と厳しく批判しました。

「国民の信任を著しく裏切った」

憲法裁判所は最終的に「憲法守護の責務を放棄し、国民の信任を著しく裏切った」として罷免を決定。大統領としての資格がないと判断しました。

国民の反応

7割が罷免を「正しい」と評価

罷免決定について、韓国国民の69%は「正しい」と判断しています。「誤り」という見方は25%にとどまりました。

戒厳令発令直後から尹大統領への批判は強く、連日のように大規模なデモが行われていました。国民の多くは、罷免という結果を当然のこととして受け止めています。

保守層の動揺

一方、尹大統領を支持してきた保守層には動揺も広がっています。保守系の支持者の中には、戒厳令の発令自体には反対しながらも、罷免は行き過ぎだとする声もあります。

韓国社会の分断は深刻で、罷免後も政治的な対立は続いています。

今後の展望

大統領選挙の実施

罷免により、60日以内に大統領選挙が実施されることになりました。2025年6月3日の実施が有力視されています。

野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が世論調査でリードしており、政権交代の可能性が高まっています。

尹氏への刑事訴追

尹氏は弾劾審判とは別に、内乱を主導した容疑で1月に逮捕されていました。3月に釈放されたものの、起訴は取り下げられておらず、今後刑事裁判が行われる見通しです。

罷免により大統領としての不逮捕特権を失った尹氏に対し、捜査当局がどのような対応を取るかも注目されています。

日韓関係への影響

尹政権は日韓関係の改善を推進してきました。罷免と政権交代により、日韓関係に影響が出る可能性があります。野党は歴史問題などで日本に厳しい姿勢を取る傾向があり、関係の行方が注視されています。

まとめ

韓国の憲法裁判所は2025年4月4日、尹錫悦大統領の弾劾を認め、罷免を決定しました。2024年12月3日の戒厳令宣布から142日、裁判官全員一致で「重大な憲法違反」と認定されました。

韓国国民の約7割が罷免を「正しい」と評価する中、60日以内に大統領選挙が実施されます。野党の李在明氏がリードしており、政権交代の可能性が高まっています。

韓国憲政史上2人目の現職大統領罷免という衝撃的な結末。尹氏への刑事訴追や日韓関係への影響など、今後の展開が注目されます。

参考資料:

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