ニデック創業者・永守重信氏が代表辞任 ガバナンス刷新で株価急伸
ニデック創業者・永守重信氏が代表取締役辞任
精密小型モーター大手のニデック(Nidec、6594)は2025年12月19日、創業者の永守重信氏(81)が代表取締役・取締役会長を辞任し、名誉会長に就任すると発表しました。創業から半世紀、強烈なリーダーシップで世界的企業へと成長させた永守氏の退任は、同社の新しい転換点とされています。
背景:不適切会計とガバナンス問題
不適切会計の疑い
2025年9月、ニデックは中国子会社における不適切会計処理の疑いを受け、第三者委員会を設置しました。現在も調査が進行中ですが、内部統制の不備が指摘されています。
東証の「特別注意銘柄」指定
10月には東京証券取引所がニデックを内部管理体制改善の必要がある企業として特別注意銘柄に指定。上場維持のため、ガバナンス強化が急務となっていました。
代表辞任の狙いと影響
永守氏の辞任は、責任を明確にし、経営再建への道筋をつける狙いがあるとみられます。後任には岸田光哉社長が取締役会長を兼任し、経営の一体運営を進めます。永守氏は筆頭株主として影響力を維持しますが、経営判断には関与しない見通しです。
市場の反応:株価は7%超上昇
発表翌日の東京市場でニデック株は前週末比7%超上昇。不透明感が強まっていた中で、ガバナンス刷新への期待が買いを呼びました。市場では「創業者依存体質からの脱却」と評価する声もあります。
Bloombergによると、同日の終値は前日比6.8%高の8,940円。取引量も通常の約2倍に膨らみました。
永守重信氏の功績と課題
1973年に京都で創業したニデックは、永守氏の下で積極的なM&Aを展開し、世界一の小型モーターメーカーに成長しました。その一方で、急拡大による内部統制の遅れや組織硬直が課題として残されていました。
「スピード経営」の代償として、近年は統治の透明性が問われていたとの指摘もあります。
今後の焦点:信頼回復と体制再建
- 内部統制の再構築 – 監査機能とコンプライアンス体制の強化。
- 海外事業のリスク管理 – 中国・欧州子会社の統制強化。
- 投資家との対話 – ESG・情報開示の改善を通じた信頼回復。
経営刷新が成功すれば、株主価値の回復だけでなく、日本企業のガバナンス改革の象徴的事例になる可能性があります。
まとめ
- 永守氏の辞任は、ガバナンス改革を象徴する経営転換。
- 不適切会計問題を契機に、透明経営への期待が高まる。
- 株価は7%超上昇し、市場は「改革への第一歩」と評価。
ニデックの再出発は、創業者経営から「チーム経営」への進化を示す試金石となりそうです。
関連記事
ニデック創業者・永守重信氏が退任 世界企業に育てた経営者の転機
ニデック創業者・永守重信氏が代表取締役および取締役会議長を退任。世界的モーターメーカーに成長させた功績と今後の新体制の展望を解説します。
KDDIがビッグローブ子会社の不適切取引で調査委設置
KDDIは傘下のビッグローブとジー・プランの広告代理事業で不適切な取引の疑いが判明し、特別調査委員会を設置。売上高過大計上の可能性があり、入金遅延が発端となった経緯や今後の影響を解説します。
日経平均5万4000円突破、衆院解散観測で高市トレード加速
衆議院解散観測を背景に日経平均株価が5万4000円台に乗せ、連日最高値を更新。「選挙は買い」のアノマリーと高市トレードの実態、6万円到達の可能性を解説します。
サナエノミクスと円安是正の課題を専門家が分析
高市早苗政権の経済政策「サナエノミクス」について、アベノミクスとの違いや円安是正の必要性を、経済学者の視点から分析します。積極財政と金融政策のバランスが問われています。
2026年日経平均株価予想:5万3千円から6万円台の見通しとリスク要因
金融機関11社による2026年末日経平均株価予想は5万3千円~6万1千円に集中。4年連続上昇が期待される背景には企業増益予測がありますが、為替や金利の動向が鍵を握ります。
最新ニュース
南鳥島でレアアース試掘開始・中国依存脱却への挑戦
探査船「ちきゅう」が南鳥島沖でレアアース泥の試掘を開始。水深6000メートルからの世界初の採掘試験と、日本の経済安全保障における意義を解説します。
1年4カ月で国政選挙3回、頻繁な選挙が招く政策停滞
高市首相が通常国会冒頭での衆院解散を検討。国政選挙が短期間に3回目となり、社会保障改革など長期的視点の政策が後回しになる懸念が高まっています。
第174回芥川賞・直木賞が決定、3氏が受賞の栄誉
第174回芥川賞に鳥山まこと氏「時の家」と畠山丑雄氏「叫び」、直木賞に嶋津輝氏「カフェーの帰り道」が決定。前回の両賞該当なしから一転、充実の受賞作が揃いました。受賞作の魅力と作家の経歴を詳しく解説します。
日本人創業のアルパカがユニコーンに、米国初の快挙
証券取引APIを提供するフィンテック企業アルパカが企業価値10億ドルを突破。日本人だけで創業した新興企業として米国初のユニコーン達成の背景を解説します。
三六協定の締結率5割どまり、残業規制緩和の是非を問う
三六協定を締結している事業所は5割にとどまり、残業規制緩和の議論が活発化しています。働き方改革の効果と今後の労働政策の方向性について、最新データをもとに解説します。