二階堂蓮が銀メダル 1大会3メダルは船木以来の快挙
はじめに
ミラノ・コルティナ2026冬季五輪のスキージャンプ男子個人ラージヒルで、二階堂蓮選手(日本ビール)が銀メダルを獲得しました。今大会では個人ノーマルヒルと混合団体の銅メダルに続く3つ目のメダルです。
1大会で3個のメダルを獲得したジャンプ日本勢は、1998年長野五輪の船木和喜選手以来、実に28年ぶり2人目の快挙となりました。しかし、競技後の二階堂選手の第一声は「めっちゃ悔しい」。1回目で首位に立ちながら逆転を許した悔しさがにじむ銀メダルでした。
本記事では、ラージヒル決勝の激闘を振り返りながら、二階堂選手の急成長の軌跡と今後の展望を解説します。
ラージヒル決勝の激闘
1回目:完璧なジャンプで首位に
二階堂選手は1回目で140.0メートルの大ジャンプを披露しました。踏み切りからフライト姿勢、着地まで、本人も「完璧に近い」と振り返るほどの出来栄えです。得点は154.0点で堂々の首位に立ちました。
この時点でのライバルとの差はわずかでしたが、二階堂選手が得意とするラージヒルで最高のパフォーマンスを見せた形です。オリンピック初出場ながら物怖じしない姿勢が光りました。
2回目:好敵手プレブツの逆転劇
しかし、2回目で展開が一変します。二階堂選手のジャンプは136.5メートルにとどまり、合計295.0点。一方、スロベニアのドメン・プレブツ選手は2回目に141.5メートルの圧巻のジャンプを見せ、合計301.8点で逆転優勝を果たしました。
プレブツ選手は今シーズンのワールドカップでも上位に位置する実力者であり、勝負どころでの集中力が光りました。3位にはポーランドのカツペル・トマシャク選手が入っています。日本の小林陵侑選手は284.5点で6位、中村直幹選手は16位でした。
「めっちゃ悔しい」に込められた思い
競技後、二階堂選手は「めっちゃ悔しい」と短く語り、涙を見せました。その後、父の二階堂学さんと抱擁を交わす場面は、多くの観客の心を打ちました。学さんは元世界選手権日本代表のジャンパーで、「がんばった、がんばった」と息子を励ましました。
銀メダルは素晴らしい成績ですが、1回目で首位に立ちながら金メダルを逃した悔しさは、勝負に賭けるアスリートとして当然の感情です。二階堂選手は「次のスーパーチームでは絶対金を取ります」と、すでに次の種目に気持ちを切り替えていました。
二階堂蓮の急成長の軌跡
紆余曲折を経たキャリア
二階堂蓮選手は2001年5月24日生まれの24歳で、北海道江別市の出身です。身長167センチ、体重55キロと小柄ながら、類まれな運動能力を持っています。
スキージャンプを始めたのは8歳のとき。父・学さんに連れられたジャンプ少年団の体験会がきっかけでした。その後、順調に成長しましたが、大学進学後にコロナ禍と学業の両立に苦しみ、大学を中退。「1年で所属先が見つからなければ引退する」という覚悟で競技を続けていました。
日本ビールとの運命の出会い
転機となったのは2022年です。ビール輸入会社の日本ビールが新たにスキー部を発足させ、二階堂選手の所属が決まりました。日本ビールは1979年創業の輸入ビール販売会社で、スキー部としては新興勢力です。
小さな会社に支えられた二階堂選手は、ここから急速に力をつけていきます。所属先が見つからず引退を覚悟していた選手が、わずか数年後にオリンピックで3つのメダルを手にする。この劇的なストーリーも、今大会の大きな話題となりました。
「ゾーンに入るジャンプ」
二階堂選手の強みは、大舞台での集中力です。自身が「ゾーンに入る」と表現するジャンプでは、踏み切りのタイミングと空中姿勢が一体となり、驚異的な飛距離を生み出します。特にラージヒルを「大きい台が得意」と公言しており、今回のラージヒルでもその言葉を裏付ける飛躍を見せました。
1大会3メダルの歴史的意義
船木和喜以来28年ぶりの快挙
二階堂選手が今大会で獲得したメダルは、個人ノーマルヒルの銅、混合団体の銅、そして個人ラージヒルの銀の3つです。スキージャンプの日本勢が1大会で3つのメダルを獲得したのは、1998年長野五輪の船木和喜選手以来28年ぶりとなります。
船木選手は長野五輪で個人ラージヒルと団体ラージヒルの金2個、個人ノーマルヒルの銀1個を獲得しました。二階堂選手は金メダルこそ獲得できませんでしたが、初出場の五輪で3種目すべてでメダルを手にした点は、日本ジャンプ界の新たな歴史を刻む成果です。
日本スキージャンプ界の復権
近年の日本スキージャンプ界は、2022年北京五輪で小林陵侑選手がノーマルヒル金メダルを獲得するなど、世界トップレベルの選手を輩出し続けています。今大会での二階堂選手の活躍は、小林選手に続く次世代エースの台頭を示すものです。
混合団体での銅メダル獲得も含め、日本チーム全体の層の厚さが証明された大会となっています。
注意点・展望
今大会はまだ残る種目があります。二階堂選手と小林陵侑選手はスーパーチーム(男子2人1組の団体戦)に出場予定で、二階堂選手は「絶対金を取ります」と宣言しています。
今後の注目点は、二階堂選手がワールドカップの年間総合争いでどこまで上位に食い込めるかです。オリンピックでの経験を糧に、シーズン後半戦での飛躍が期待されます。
また、24歳という年齢を考えると、2030年フランス・アルプス冬季五輪でも中心選手として活躍できる可能性は十分にあります。今大会の「悔しい銀」が、今後のキャリアにおける大きな原動力となるはずです。
まとめ
二階堂蓮選手はミラノ・コルティナ五輪のスキージャンプ男子ラージヒルで銀メダルを獲得し、今大会3つ目のメダルを手にしました。1回目の首位から逆転を許した悔しさは残りますが、1大会3メダルは船木和喜選手以来28年ぶりの歴史的快挙です。
大学中退、所属先なしという苦境を乗り越え、日本ビールのスキー部で復活を遂げた二階堂選手のストーリーは、多くの人に勇気を与えています。残るスーパーチームでの金メダル獲得に期待が高まります。
参考資料:
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