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by nicoxz

日経平均VI急騰、イラン攻撃で関税ショック超えの恐怖

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はじめに

米国とイスラエルによるイラン攻撃を受けて、日本株市場が大きく動揺しています。投資家の不安心理を測る「日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)」は2026年3月4日、2025年4月の米関税ショック時を上回る水準まで急騰しました。

日経平均株価は3月4日の終値で54,245円と、前日比2,033円安(-3.61%)の大幅下落を記録しています。2月下旬に59,000円台の高値をつけたばかりだったこともあり、反動の大きさが目立ちます。高値からの10%調整となる53,000円前後が当面の下値メドとして市場関係者に意識されています。

イラン攻撃と日本株急落の経緯

米国・イスラエルによるイラン攻撃の概要

2026年2月28日、米国はイスラエルとともにイランへの軍事攻撃を開始しました。核開発をめぐる外交交渉の決裂が背景にあり、トランプ大統領は「4日間は攻撃を続ける」と明言しました。攻撃によりイランの最高指導者ハメネイ師が死亡したと報じられ、中東情勢は一気に緊迫化しました。

イラン側も報復を明言しており、紛争の長期化・拡大への懸念が金融市場を直撃しています。原油価格は急騰し、ホルムズ海峡を通じた原油輸送への懸念からエネルギー供給リスクが一気に高まりました。

日経平均の急落推移

3月2日(月)の日経平均は前週末比793円安(-1.35%)の58,057円で、一時1,500円を超える下落を記録しました。日経平均先物は一時前営業日比2.4%(1,400円)安の57,700円まで売られています。

その後も連日の大幅下落が続き、3月4日には終値で54,245円と、2月下旬の高値圏からわずか1週間で約5,000円の急落となりました。取引時間中には一時2,600円超安の場面もあり、半導体関連株や自動車株など景気敏感セクターを中心に売りが広がっています。

日経平均VIが示す市場の恐怖

関税ショックを上回る恐怖指数

日経平均VIは3月2日時点で前日比7.54ポイント上昇(+27.59%)の34.87を記録しました。その後も上昇を続け、3月4日には2025年4月の米国による相互関税発動時(いわゆる「関税ショック」)の水準を超えました。

日経平均VIは、オプション市場が織り込む向こう1カ月間の日経平均の予想変動率を指数化したものです。数値が高いほど市場参加者が大きな価格変動を予想していることを示し、「恐怖指数」とも呼ばれます。一般に20を超えると警戒領域、30を超えるとパニック的な状態とされています。

関税ショック時との違い

2025年4月の関税ショック時は、米トランプ政権による相互関税の発動が主因でした。貿易政策の変更は交渉による修正の余地があり、実際にその後の外交努力で市場は比較的早期に落ち着きを取り戻しました。

一方、今回の軍事衝突は先行きの予測が極めて困難です。イランの報復の有無やその規模、周辺国への波及、原油供給への影響など、複数の不確実性が重なっています。市場参加者がより大きなリスクプレミアムを織り込んでいることが、VIの上昇幅に表れています。

投資家の対応と市場の見方

シティが日本株を格下げ

シティグループのストラテジストは、イラン攻撃を受けて日本株の投資判断を「オーバーウエート」から「戦術的アンダーウエート」に引き下げました。日本株は海外株と比較して上昇に勢いがあっただけに、地政学リスクの顕在化による反動が大きいとの判断です。

原油高による景気減速懸念から、半導体や機械、自動車などの景気敏感株が特に売られやすい環境が続いています。日本はエネルギーの大半を輸入に依存しているため、原油高は企業収益と消費者心理の両面で悪影響を及ぼします。

下値メドの考え方

市場関係者の間では、高値からの10%調整となる53,000円前後が当面の下値メドとして意識されています。テクニカル的には10日移動平均線(57,295円付近)から約5%下方乖離しており、突っ込み警戒感から自律反発が起きやすい水準との見方もあります。

一方で、楽天証券のレポートでは「イラン有事は短期的ショック」との見方も示されています。軍事衝突が短期間で収束し、原油供給への実質的な影響が限定的にとどまれば、日本株の割安感から買い戻しが入る可能性も指摘されています。

注意点・展望

投資家が注意すべきは、VIが高水準にある局面では価格変動が大きくなりやすい点です。流動性が低下し、下落局面では値が飛びやすい危険な状態が続いています。こうした環境では、冷静な判断が特に重要です。

今後の焦点は、イランの報復の有無とその規模、ホルムズ海峡の航行安全性、そして原油価格の推移です。紛争が長期化すればインフレ再燃リスクが意識され、各国中央銀行の金融政策にも影響を及ぼす可能性があります。

過去の地政学リスクイベントでは、初期のパニック的な売りの後に比較的早期に株価が回復するケースが多いことも事実です。ただし、今回は米国自身が攻撃を主導している点で、従来の中東紛争とは性質が異なります。状況の推移を注視しつつ、過度な楽観にも悲観にも偏らない姿勢が求められます。

まとめ

日経平均VIが関税ショック時を超える急騰を見せたことは、市場がイラン攻撃の影響を非常に深刻に受け止めていることを示しています。日経平均は高値圏から約5,000円の急落となり、53,000円前後が当面の下値メドとして意識されています。

個人投資家にとっては、パニック的な状況で感情的な売買を行わないことが最も重要です。ポートフォリオのリスク管理を見直しつつ、中長期的な投資方針に基づいた冷静な対応を心がけましょう。今後の中東情勢と原油価格の動向を注視しながら、段階的な対応が求められます。

参考資料:

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