サイゼリヤが上場来高値更新、中国事業好調で3期連続最高益へ
はじめに
2026年1月15日、サイゼリヤの株価が上場来高値を更新しました。同日発表された2026年8月期第1四半期(9〜11月期)決算が増収増益となり、投資家の期待が高まっています。
サイゼリヤは「1円でも安く」を経営理念に掲げ、低価格イタリアンレストランチェーンとして国内外で成長を続けてきました。特に中国での事業拡大が収益を牽引しており、2026年8月期は3期連続での過去最高益更新が見込まれています。
本記事では、サイゼリヤの最新決算内容と株価動向、好調を支える経営戦略、そして今後の成長展望について詳しく解説します。
最新決算と株価動向
9〜11月期は増収増益
サイゼリヤの2026年8月期第1四半期(2025年9月〜11月)決算は、売上高702億8,500万円(前年同期比14.7%増)、営業利益46億6,000万円(同18.9%増)と増収増益を達成しました。
純利益は前年同期比16%増の30億円となり、同期間としては2年ぶりの最高益です。日本事業の回復が顕著で、既存店の客数・客単価がともに増加しています。低価格戦略の維持が奏功し、若い世代を中心に客数を大きく伸ばしました。
通期業績予想も好調
2026年8月期の連結業績予想は、売上高2,763億円(前期比7.6%増)、営業利益190億円(同22.6%増)、経常利益187億円(同18.3%増)を見込んでいます。3期連続で過去最高益を更新する見通しであり、5期連続増収、3期連続増益となる計画です。
株価は上場来高値を更新
好調な業績を背景に、サイゼリヤの株価は上場来高値を更新しました。投資家の間では、中国事業の成長性と国内事業の回復に対する評価が高まっています。
2025年8月期の1株当たり配当金は30円(前期比5円増)で、2026年8月期も同水準の配当を予定しています。
中国事業が収益の柱に
店舗数・売上高ともに急拡大
サイゼリヤは2003年に上海で海外1号店をオープンして以来、中国での店舗網を急速に拡大してきました。2024年8月末時点で中国本土の店舗数は450店舗以上に達し、上海164店舗、広州186店舗、北京65店舗などの構成となっています。
2024年8月期のアジアセグメント(中国中心)の売上高は前期比30.1%増の581億円を記録しました。地域別では北京が同41.7%増、広州が同34.6%増、上海が同26.3%増と、いずれの地域でも大幅な成長を見せています。
連結利益の6割を中国が稼ぐ
注目すべきは、2024年8月期の連結営業利益148億6,300万円のうち、中国子会社の営業利益が合計83億5,400万円と約6割を占めている点です。もはやサイゼリヤにとって中国は単なる海外展開先ではなく、収益の柱となっています。
野心的な出店計画
サイゼリヤは中国での店舗数を現状の2倍となる1,000店舗規模に拡大する計画を打ち出しています。年間50店以上のペースで新規出店を進める方針です。
さらに長期的には「今後20年で中国本土に7,000〜10,000店」という壮大な目標を掲げています。広州サイゼリヤは今後5年で広東省に400〜500店舗の出店を計画しており、成長への意欲は衰えていません。
内陸部への進出
2025年7月には、中国内陸部への初進出となる武漢市に子会社を設立しました。2026年に武漢市内に1号店をオープンする予定で、武漢周辺で100店の出店を見込んでいます。
今後は重慶や長沙など内陸部の都市への展開も検討されており、沿岸部から内陸部へと成長の地平を広げています。広州市では約44億円を投じた新工場が2026年1月に稼働予定で、生産能力の増強も進んでいます。
低価格戦略を支える経営の仕組み
コストリーダーシップ戦略
サイゼリヤの強みは、徹底した「コストリーダーシップ戦略」にあります。創業者である正垣泰彦会長は「お客様のために1円でも安く」という理念を掲げ、低価格を追求し続けてきました。
東京理科大学出身の正垣会長は、データに基づく「理系経営」を実践しています。すべての業務をマニュアル化し、製造業の科学的手法を取り入れた効率化を徹底することで、人件費を含むコストの削減に成功しています。
垂直統合型サプライチェーン
一般的な飲食店と異なり、サイゼリヤは自社農場を保有し、品種改良から生産、加工、配送まで一貫して行う「製造直販業(SPA)」を目指しています。イタリアから直接食材を仕入れるなど独自の供給網を構築し、中間マージンを削減しています。
この垂直統合型のサプライチェーンにより、新鮮な食材を効率的に各店舗へ届けながら、低価格を維持することが可能になっています。
広告に頼らない経営
サイゼリヤの特徴的な点として、広告をほとんど出さないことが挙げられます。チェーンストアの相場として売上の5〜8%を広告費にかけるのが一般的ですが、サイゼリヤにはこの費用がありません。
「広告に回すお金があったら、少しでもいい食材を使って、お客さまに還元する」という考え方が根底にあります。結果として、年間8回という高い購入頻度が顧客満足度の高さを示しています。
高い生産性
サイゼリヤの労働生産性(従業員1人あたり付加価値額)は612万円で、業種平均の445万円を大きく上回っています。効率化の追求が収益性の高さにつながっています。
今後の展望と投資ポイント
東南アジア・オセアニアへの展開
中国に加え、サイゼリヤは東南アジアやオセアニアへの展開も進めています。2025年5月にはベトナム・ホーチミン市に1号店をオープンしました。シンガポールに次ぐ東南アジア2カ国目の進出です。
2026年にはオーストラリア・メルボルンへのレストラン出店も予定されており、成長市場の開拓を続けています。
国内事業の回復
国内事業も回復基調にあります。若年層を中心とした顧客の増加により、既存店の客数・客単価が伸びています。物価高が続く中、低価格戦略を維持していることが競争優位性となっています。
投資家が注目すべきポイント
サイゼリヤへの投資を検討する際のポイントとしては、中国事業の継続的な成長可能性、国内外での低価格戦略の維持、新市場(東南アジア・オセアニア)への展開状況、為替変動リスク(中国元・米ドルなど)が挙げられます。
海外市場があることで、国内の収益低迷期を支えてきた実績もあり、地理的なリスク分散が効いている点も評価されています。
まとめ
サイゼリヤの株価が上場来高値を更新した背景には、中国事業の急成長と国内事業の回復があります。2026年8月期は3期連続での過去最高益更新が見込まれており、成長ストーリーは継続しています。
「1円でも安く」という創業理念のもと、垂直統合型サプライチェーンと徹底した効率化で低価格を実現する経営モデルは、物価高の時代においても競争力を発揮しています。中国内陸部や東南アジアへの展開も進んでおり、今後の成長余地はまだ大きいといえます。
参考資料:
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