高市内閣支持率69%横ばい、国民会議の論点を読み解く
はじめに
2026年2月15日に公表された日経・テレ東の世論調査で、高市早苗内閣の支持率は69%とほぼ横ばいを維持しました。2月8日の衆院選で自民党が316議席の歴史的大勝を収めた直後の調査としては、「ご祝儀相場」による急上昇こそなかったものの、安定した高水準を保っています。
注目すべきは、消費税減税を議論する「国民会議」に関する設問です。「減税と社会保障の負担増や給付削減をセットで議論すべき」と答えた人が76%に達し、有権者が単純な減税ではなく財政全体のバランスを求めていることが明らかになりました。本記事では、支持率の推移と国民会議の論点を詳しく解説します。
高市内閣の支持率推移と衆院選の影響
発足以来の高水準を維持
高市内閣は2025年10月の発足以来、歴代屈指の高い支持率を維持してきました。発足直後の各社調査では60〜75%台を記録し、12月までの3カ月間は日経・テレ東調査で70%台を維持しました。
2026年1月には67%に低下しましたが、これは1月23日の衆議院解散表明を巡る評価が分かれたためです。NHKの緊急調査では58.8%まで下がる場面もありました。しかし2月の衆院選で自民党が歴史的大勝を収めたことで、支持率は69%に持ち直しています。
衆院選圧勝の意味
2月8日に実施された衆院選では、自民党が戦後最多となる316議席を獲得しました。衆議院の3分の2を超える議席を確保したことで、参議院で否決された法案を再可決できる「再議決」が可能になります。
米メディアは「高市首相がどん底から自民党を救った」と評しました。2024年の衆院選で大幅に議席を減らした自民党が、わずか1年余りで歴史的な回復を果たしたことは、高市首相のリーダーシップが有権者に支持された結果です。
「不支持」26%の意味
今回の調査で「支持しない」と答えた人は26%で前回と同率でした。支持率がほぼ横ばいということは、衆院選の大勝が支持率を大きく押し上げるほどのインパクトを持たなかった一方で、政権への信頼は堅固であることを示しています。
若年層での支持が堅調であることも特徴的です。Bloombergの報道によれば、若い年代で支持率が下がりにくい傾向があり、SNSを通じた情報発信に力を入れる高市首相のコミュニケーション戦略が奏功していると分析されています。
国民会議と消費税減税の行方
国民会議とは何か
「国民会議」は、高市首相が2025年10月の所信表明演説で創設を表明した超党派の政策議論の枠組みです。政府・与野党に加え、有識者や産業界も参加し、社会保障と税制の抜本改革を議論します。
具体的には、総理大臣と関係閣僚による「調整本部」の下に、「幹事会」と「有識者委員会」が設置される構造です。自民党だけでなく、立憲民主党も参加する方針を表明しており、与野党を超えた議論の場として機能することが期待されています。
食料品消費税「2年間ゼロ」の公約
自民党は衆院選の公約として、食料品にかかる消費税率を2年間に限定してゼロにする方針を掲げました。高市首相はこれを「私の悲願」と表現し、実現への意欲を繰り返し示しています。
しかし、この政策には大きな財源問題が伴います。飲食料品の消費税率をゼロにすると、年間約5兆円の税収が失われます。高市首相は「赤字国債の発行に頼らない」と明言し、補助金や租税特別措置の見直し、税外収入などで2年分の財源を確保するとしていますが、具体的な財源の内訳は示されていません。
野村総合研究所の分析によれば、食料品消費税ゼロによる実質GDP押し上げ効果は+0.22%にとどまり、「費用対効果が低い」との指摘もあります。
世論が求める「セット議論」
今回の世論調査で最も注目されるのは、国民会議のテーマに関する質問への回答です。「減税と社会保障の負担増や給付削減をセットで議論すべきだ」が76%に達し、「減税のみを議論すればよい」の17%を大きく上回りました。
この結果は、有権者が消費税減税という「アメ」だけでなく、それに伴う財政への影響を冷静に見ていることを示しています。高市政権が減税の実現を急ぐあまり、社会保障の持続可能性を軽視すれば、逆に支持率低下を招くリスクがあります。
給付付き税額控除の検討
国民会議ではもう一つの重要な議題として、「給付付き税額控除」の制度設計が進められています。これは、所得に応じて税金を減額し、税額を超える分は現金給付として支給する仕組みです。
現在の議論では1人あたり約4万円の給付案が中心となっています。マイナンバーカードと公金受取口座を活用すれば自動給付が可能とされ、制度のインフラ面ではマイナンバーの普及が鍵を握ります。2026年中に具体的な制度設計を完成させることが目標ですが、衆院選による中断を経て、2月18日の特別国会後に議論が本格再開する見通しです。
注意点・展望
政権運営の課題
衆院選で圧勝したとはいえ、高市政権の前途は平坦ではありません。消費税減税の具体的な財源確保は依然として最大の課題です。金融市場からは「市場信認喪失のリスク」を警戒する声も上がっており、財源を明確に示せないまま減税に踏み切れば、国債市場や為替に悪影響を及ぼす可能性があります。
高市首相は夏前に国民会議の中間とりまとめを行う方針ですが、具体的な実施時期は秋の臨時国会での関連法成立を経て、2026年度内か2027年4月が想定されています。
今後の注目ポイント
まず注目すべきは、2月18日の特別国会後に国民会議がどのような形で再始動するかです。与野党の参加体制と議論の進め方が、今後の政策実現のスピードを左右します。
また、参議院選挙を見据えた政治日程も重要です。衆院選で3分の2を確保した高市政権がどこまで大胆な改革に踏み込めるか、その試金石が消費税と社会保障の一体改革になるでしょう。
まとめ
高市内閣の支持率69%という数字は、衆院選大勝後も安定した政権運営への信頼を示しています。しかし、国民が求めているのは単なる減税ではなく、社会保障を含めた財政全体のバランスある議論です。世論調査で76%が「負担増もセットで議論すべき」と回答した事実は、高市政権への明確なメッセージと言えます。
国民会議での議論が本格化する中、食料品消費税ゼロの実現可能性と給付付き税額控除の制度設計が今後の焦点です。有権者としては、減税のメリットだけでなく、財源や社会保障への影響を含めた全体像を注視していくことが重要です。
参考資料:
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