高市トレード再燃、衆院解散で日経平均5万4000円突破の背景
はじめに
2026年1月、日本の株式市場に大きな転機が訪れています。高市早苗首相が衆院解散を正式に表明し、2月8日投開票の総選挙に向けた動きが本格化する中、市場では「高市トレード」と呼ばれる投資戦略が再び活発化しています。
1月14日、日経平均株価は初めて5万4000円台に到達。積極財政を掲げる高市政権の政策継続への期待が、株価を押し上げる原動力となっています。
本記事では、高市トレードの仕組み、選挙シナリオ別の株価見通し、そして注目すべき投資テーマについて詳しく解説します。
高市トレードとは何か
積極財政と株高の連動
「高市トレード」とは、高市首相の経済政策に関連する銘柄を買う投資戦略を指します。高市政権は「責任ある積極財政」を掲げ、財政支出の拡大による経済成長を目指しています。
この政策スタンスが市場で好感される理由は明確です。財政拡張により需要が刺激され、企業収益が改善し、株価上昇につながるという期待があるからです。特に、政府支出の恩恵を直接受ける防衛、インフラ、半導体などのセクターに資金が流入しやすい傾向があります。
「株高・円安・債券安」のトリプル現象
高市トレードの特徴は、株高だけでなく、円安と債券安(金利上昇)が同時に起こる点です。積極財政による財政赤字拡大の懸念から国債が売られ、金融緩和継続への期待から円安が進行するという構図です。
実際に、衆院解散の第一報が伝わった1月9日の米国市場では、日経平均先物が5万3500円超まで急騰し、ドル円は158円台に乗せ、国債先物は直近安値を更新しました。まさに典型的な高市トレードの展開となりました。
衆院解散と市場の反応
5万4000円台への歴史的上昇
衆院解散が正式に表明された後、日本株市場は大幅な上昇を見せました。1月13日、日経平均は前日比868円高で寄り付き、一時は1800円超の上げ幅となりました。翌14日には初めて5万4000円台に乗せ、歴史的な高値を更新しました。
東証株価指数(TOPIX)も1月16日までの1週間で4.1%上昇し、週間上昇率としては2025年7月以来の大きさとなりました。「選挙は買い」という相場格言通りの展開が続いています。
市場が期待する選挙結果
株式市場にとって最も好ましいシナリオは、自民党の大勝です。政権運営の安定性が高まることで、積極財政政策が推進しやすくなるとの期待があります。
一方、自民党が単独過半数を下回る結果となれば、市場はネガティブに反応する可能性があります。連立交渉の難航や政策の不透明感が嫌気されるためです。
2026年の日経平均株価見通し
各社の予想レンジ
主要金融機関は、2026年末の日経平均株価について強気の見通しを示しています。野村證券は5万5000円、三井住友DSアセットマネジメントは5万4500円、大和アセットマネジメントは5万6000円を予想しています。
日本経済新聞の調査では、主要企業の経営者20人全員が日経平均の最高値(5万2411円)更新を予想し、高値予想の平均は5万7350円に達しました。マネックス証券は6万円到達の可能性も示唆しています。
株高を支える要因
強気予想の背景には、複数の好材料があります。まず、2026年度の企業業績は、AI向け半導体やデータセンター需要の増加により、営業利益で14.6%増、純利益で15.0%増と2桁の増益が見込まれています。
また、物価上昇と賃上げの好循環が続き、日本株にとって好ましいマクロ環境が維持される見通しです。高市政権の積極財政政策も、内需関連企業の業績を下支えする要因となります。
リスク要因に注意
一方で、リスク要因も無視できません。トランプ政権による関税政策の影響は2026年から本格化する可能性があります。特に、メキシコに25%の輸入関税が課された場合、現地で生産する日本の自動車メーカーは大きなダメージを受ける恐れがあります。
また、国内では長期金利上昇のペースが速すぎることへの懸念や、円安がさらに進行した場合のインフレ加速リスクも意識されています。
高市トレードで注目される銘柄とセクター
成長17分野が投資の軸
高市首相は「成長17分野」として重点投資領域を明示しています。AI・半導体、造船、航空・宇宙、デジタル・サイバーセキュリティ、防衛産業、フュージョンエネルギー(核融合)などが含まれており、これらの分野に関連する企業が「高市銘柄」として注目を集めています。
防衛関連
防衛費の増額と装備移転ルールの整備を背景に、三菱重工業(7011)や日本製鋼所(5631)などの防衛関連株が注目されています。艦艇、ミサイル、防空システムなどの更新需要が見込まれます。
半導体・AI関連
半導体は経済活動全体の基盤インフラとして、中核的な投資テーマとなっています。AI、データセンター、自動車、産業機器といった複数の需要源が重なり合い、設計から製造まで国内完結を目指す政策の恩恵を受ける企業に注目が集まります。
サイバーセキュリティ・インフラ関連
サイバー攻撃への備えとして、国産セキュリティ製品を提供するFFRIセキュリティ(3692)や、国産監視カメラを販売するキヤノンマーケティングジャパン(8060)が注目されています。また、老朽インフラの更新需要に関連する建設・インフラ補強企業も物色対象です。
エネルギー関連
AI向けデータセンターへの安定電力供給に関連して、電線のフジクラ(5803)、核融合発電でリードする浜松ホトニクス(6965)などが注目されています。
注意点・展望
円安・金利上昇の副作用
高市トレードの裏側には、円安と金利上昇という副作用があります。円安がさらに進めば物価上昇率の高止まりは解消されず、個人消費の逆風となる可能性があります。また、2%を超える10年国債利回りは企業の資金調達コストを引き上げ、景気に悪影響を及ぼしかねません。
選挙結果による相場反転リスク
「選挙は買い」のアノマリーに沿って上昇してきた日本株市場ですが、期待が外れた場合の反動には注意が必要です。自民党が想定以上に議席を減らした場合、積極財政政策への期待が後退し、株価が調整する可能性があります。
中長期の視点で投資判断を
短期的な選挙トレードに過度に傾斜せず、企業のファンダメンタルズを見極めることが重要です。高市銘柄の中でも、実際に業績改善が見込める企業を選別する必要があります。
まとめ
高市首相の衆院解散表明を受け、「高市トレード」が再加速しています。日経平均は史上初の5万4000円台に到達し、市場では積極財政政策の継続への期待が高まっています。
2026年末の日経平均は5万5000円前後との見方が主流ですが、選挙結果や外部環境によっては上振れも下振れもあり得ます。防衛、半導体、インフラなど「成長17分野」に関連する銘柄が注目されていますが、円安や金利上昇の副作用にも目を配りながら、中長期的な視点で投資判断を行うことが重要です。
参考資料:
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