日経平均最高値更新か、衆院選と高市トレードの行方
はじめに
2026年2月8日、衆議院選挙の投開票が行われています。事前の情勢調査では自民党の大幅な議席増が予想されており、株式市場では「高市トレード」と呼ばれる動きが加速しています。2月3日には日経平均株価が終値で5万4720円を記録し、史上最高値を更新しました。
選挙結果次第では週明けにさらなる株高が期待される一方、積極財政に伴う金利上昇や円安リスクも指摘されています。この記事では、衆院選を巡る株式市場の動向と、今後の投資環境について詳しく解説します。
衆院選の情勢と市場への影響
自民党の大勝予想が株高を後押し
NHKや各メディアの情勢調査によると、自民党は単独で過半数の233議席を大きく上回り、300議席に達する可能性が報じられています。立憲民主党と公明党が結成した「中道改革連合」は公示前の167議席から大幅に議席を減らす見通しです。
与党の大勝は政権の安定を意味し、高市早苗首相が掲げる経済政策の実行力が高まるとの見方から、投資家の買い意欲が強まっています。選挙前の2月3日には日経平均が前日比2065円(4%)高と急騰し、TOPIXとともに史上最高値を更新しました。
「高市トレード」とは何か
「高市トレード」とは、高市早苗首相の経済政策への期待を反映した投資行動のことです。具体的には、積極的な財政出動による景気刺激期待から日本株が買われ、財政拡張による金利上昇観測から円が売られるという動きを指します。
この動きは2025年10月の高市政権発足時から見られていましたが、2026年1月の解散風が吹き始めた時点で「第2幕」として再加速しました。1月13日には日経平均が前日比1609円高の5万3549円で最高値を更新し、高市トレードの勢いを示しています。
高市政権の経済政策と市場評価
積極財政の中身
高市首相は「積極財政で国力を強くする」として、20兆円規模を超える補正予算を編成しています。主な施策は以下の通りです。
防衛費の大幅増額、核融合・宇宙分野への成長投資、原子力発電の推進、国内投資の強化などが柱となっています。「為替変動にびくともしない日本をつくる」と掲げ、企業の国内回帰を促す政策も打ち出しています。
株式市場の評価
経営者20人を対象にした日本経済新聞の調査では、全員が2026年中に日経平均が当時の最高値(5万2411円)を超えると回答しました。高値予想の平均は5万7350円で、年後半にかけてさらなる上昇を見込む声が多い状況です。
野村證券のストラテジストは年末の日経平均を5万5000円と予測しており、セクター別では電機、機械、銀行、不動産、商社を選好しています。「高市銘柄」と呼ばれる防衛、核融合、宇宙関連株への注目も高まっています。
金利上昇と円安リスク
長期金利の上昇
積極財政の裏側で、債券市場には懸念も広がっています。20兆円超の補正予算発表を受けて、10年物国債利回りは1.6%台から2%に向けて上昇が加速しています。大和総研のレポートでは「積極財政が成長力を高めるか、財政リスクを高めるか」という論点が指摘されています。
第一生命経済研究所は、高市政権の経済政策について「拡張財政・金融緩和維持をどこまで封印できるか」が課題だと分析しています。財政規律への市場の不安が「悪い金利上昇」につながるリスクを警告する声もあります。
円安の進行
円相場は高市トレードの影響で下落傾向が続いています。積極財政による金利上昇と、日銀への利上げけん制発言が相まって、円安圧力が強まっています。高市首相は「投機的な動きを注視する」としつつも、金利上昇については明確な言及を避けている状況です。
円安は輸出企業のトヨタやソニーなどにとっては追い風ですが、輸入物価の上昇を通じて国内の物価高を助長するリスクもあります。
注意点・展望
選挙後の「セルザファクト」に注意
「選挙は買い」の格言通り、選挙前の期待で株価が上昇するケースは多いですが、選挙後に材料出尽くしで売りが出る「セルザファクト」のリスクも存在します。自民党の圧勝が既に織り込み済みかどうかが注目のポイントです。
企業決算の動向も重要
2026年2月は主要企業の決算発表シーズンでもあります。マクロ環境の追い風が個別企業の業績にどう反映されるか、実態面の確認が株価の方向性を左右します。AI・半導体関連に加え、防衛、レアアース、原子力、ロボットといった高市政策関連セクターの業績動向にも注目が集まっています。
中長期的な財政健全性
積極財政は短期的に景気を押し上げる効果が期待できますが、中長期的には財政赤字の拡大や国債の信認低下というリスクを伴います。市場が「良い金利上昇」と「悪い金利上昇」をどう判断するかが、今後の相場の鍵を握るでしょう。
まとめ
衆院選で自民党の大勝が見込まれる中、日経平均株価の最高値更新期待は高まっています。高市政権の積極財政政策は株式市場にとって追い風となっていますが、金利上昇や円安進行といった副作用にも目配りが必要です。
選挙後の相場は「セルザファクト」のリスクと企業決算の内容次第で方向が決まります。投資家としては、短期的な楽観に流されず、個別企業の業績や政策の実行力を冷静に見極める姿勢が重要です。
参考資料:
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