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by nicoxz

東京23区ホテル新設がコロナ後最多、投資加速の背景

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はじめに

東京23区で大型宿泊施設の新設ラッシュが続いています。不動産調査会社マーキュリーの調査によると、2026年に東京23区で完成予定の新築ホテルは113棟に上り、新型コロナウイルス禍が本格化してから最多となる見通しです。

注目すべきは、棟数だけでなくその規模です。建物全体の総延べ床面積は、前回のピークだった2020年(161棟)の1.4倍に達しており、都心の大型開発におけるホテル誘致が加速していることがわかります。

建築コストが急騰する中でも投資が相次ぐ背景には何があるのか。この記事では、東京のホテル市場の現状と今後の展望を詳しく解説します。

インバウンド需要の爆発的成長が牽引

訪日外国人が4000万人を突破

東京のホテル投資を牽引する最大の要因は、インバウンド需要の爆発的な成長です。2025年の訪日外国人旅行者数は累計4,268万人に達し、初めて4,000万人を突破しました。これは過去最高だった2024年(3,687万人)を15.8%上回る数字です。

国・地域別では韓国が945万人でトップ、次いで中国が909万人、台湾が676万人と続きます。アジア圏からの旅行者が大半を占める一方、米国も330万人を超えるなど、欧米からの訪日需要も着実に拡大しています。

消費額は年間9.5兆円に

訪日外国人の旅行消費額も過去最高を更新し、2025年は年間9兆4,559億円に達しました。前年から約1.3兆円の増加です。円安による「割安感」に加え、高付加価値な体験への需要が高まっていることが、1人当たりの消費単価を押し上げています。

こうしたインバウンド需要の構造的な成長が、ホテル事業者や不動産投資家にとって長期的な収益機会として認識されるようになり、新規開発への投資意欲を高めています。

建築コスト高騰の中でも投資が止まらない理由

坪単価は2年で4割上昇

国土交通省の建築着工統計によると、全国のホテル建築費の坪単価は2022年の138.3万円から2024年には195.0万円へと急騰しました。わずか2年間で41.1%の上昇です。資材価格の高騰と人手不足が主な要因となっています。

この建築コストの上昇は、50〜100室規模の宿泊特化型ホテルの採算を圧迫しています。従来はこうした中規模ホテルが新規開発の主流でしたが、現在では採算が合わなくなるケースが増えています。

大型・高級ホテルへのシフト

建築コスト高騰の影響で、新規開発の中心はADR(平均客室単価)が高いフルサービスホテルやラグジュアリーホテルへとシフトしています。東京の高級ホテルの客室料金は世界最高水準に達しており、高単価を実現できる大型施設であれば投資回収が可能という判断が背景にあります。

実際に、ホテル運営の上場各社の2025年7〜9月期の平均客室単価は1万6,975円(前年同期比8.9%増)で、稼働率も83.9%と高水準を維持しています。東京のビジネスホテルでさえ平均料金が1万5,000円を超えるなど、客室単価の上昇が続いています。

都心の大型再開発がホテル誘致を加速

2026年の新設ホテルの延べ床面積が過去のピークを大幅に上回る背景には、都心の大型再開発プロジェクトの存在があります。再開発ビルにホテルを組み込むことで、商業施設やオフィスとの相乗効果を狙う開発手法が主流となっています。

エリア別では台東区(浅草・上野)が最も多く、中央区、墨田区が続きます。歴史的観光地を有するエリアでのインバウンド需要を取り込む戦略が明確に表れています。

注意点・展望

供給過多リスクへの懸念

ホテルの新規供給が急増する一方で、供給過多による競争激化のリスクも指摘されています。特に特定エリアへの集中は、客室稼働率の低下や料金競争を引き起こす可能性があります。

米不動産サービス大手JLLの分析では、建設費高騰により2025年以降の新規ホテル供給は限定的になるとの見方もあり、中期的には需給バランスが保たれるとの予測もあります。

人手不足という構造的課題

ホテル業界が直面するもう一つの課題は深刻な人手不足です。稼働率80%超の高水準が続く中、サービス品質を維持するための人材確保が経営上の最大の課題となっています。2025年7〜9月期のデータでも稼働率が高水準を維持する一方、人手不足の解消が業界全体の課題として指摘されています。

2026年以降の見通し

業界の見通しは総じて楽観的です。2026年の営業総利益は4%の伸びが見込まれ、ADRについても93%の業界関係者が増加を予測しています。訪日外国人数も2026年にはさらに3〜4%の増加が予想されており、需要の底堅さが投資の支えとなっています。

まとめ

東京23区のホテル新設がコロナ後最多を記録した背景には、訪日外国人4,000万人超という歴史的なインバウンド需要の成長があります。建築コストの急騰にもかかわらず投資が続くのは、高単価・大型施設であれば十分な収益が見込めるという市場環境があるためです。

今後の注目点は、供給過多リスクと人手不足という構造的課題にどう対処するかです。インバウンド需要が継続する限り、東京のホテル市場は成長を続ける可能性が高いですが、経営の質が問われる局面に入りつつあります。

参考資料:

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