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by nicoxz

トランプ政権2年目の行方|支持率低迷と中間選挙の試練

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はじめに

2026年1月20日、第2次トランプ政権は発足から1年を迎えます。「米国を再び偉大に」を掲げて圧勝した大統領ですが、就任1年で支持率は歴代最低水準に沈みました。物価高や関税政策への不満が広がる中、11月の中間選挙では共和党の議会多数派維持が危ぶまれています。

トランプ大統領が取りうる選択肢は大きく2つあります。ベネズエラへの軍事介入に見られる「米国第一主義」をさらに鮮明にする強硬路線と、生活コスト引き下げを軸とした国内経済再建路線です。前者は国際秩序を混乱させるリスクがある一方、後者が成功すれば景気拡大を促す可能性があります。

本記事では、トランプ政権2年目の政策動向と中間選挙に向けた展望を、最新の世論調査や経済データをもとに詳しく解説します。

支持率低迷の実態と背景

歴代最低水準に沈んだ大統領支持率

2026年1月時点で、トランプ大統領の支持率は約40%前後で推移しています。Rasmussen調査(1月5日)では支持45%・不支持54%、Reuters/Ipsos調査(1月4-5日)では支持42%を記録しました。ネット支持率(支持から不支持を引いた数値)は-11〜-12ポイントと低迷が続いています。

特に深刻なのは経済運営への評価です。AP-NORC調査によると、経済政策への支持はわずか37%にとどまり、62%が不支持と回答しました。インフレ対応への支持は36%、医療政策は32%とさらに厳しい数字が並びます。

無党派層の離反が顕著

支持率急落の最大の要因は無党派層の離反です。2025年1月時点ではほぼ拮抗していた無党派層のネット支持率は、12月には-43ポイントまで急落しました。選挙の勝敗を左右する無党派層を失ったことは、中間選挙に向けて深刻な警告シグナルといえます。

2024年大統領選で49.8%の得票率を獲得して圧勝したトランプ氏ですが、就任直後から支持率は下落基調をたどってきました。就任式当日の47%から1年で約10ポイント下落し、過去50年間で就任1年後の支持率としては最低を記録しています。

関税政策と生活コスト上昇

前例のない関税引き上げ

トランプ政権の関税政策は、米国経済に大きな影響を与えています。Yale Budget Labによると、平均関税率は2024年末の約2.4%から2025年末には17%まで上昇しました。一時は28%に達する場面もあり、約1世紀ぶりの高水準を記録しています。

この関税引き上げはGDP比0.47%の増税に相当し、1993年以来最大の税負担増となりました。Yale Budget Labの試算では、平均的な米国世帯で2025年に1,100ドル、2026年には1,500ドルの負担増になると推計されています。

消費者への転嫁が本格化

2025年中は主に米国企業が関税コストを吸収していましたが、2026年には消費者への価格転嫁が本格化すると見られています。Goldman Sachsは消費者負担割合が現在の55%から70%に上昇すると予測しています。

特に深刻な影響を受けているのが子ども用品です。中国製品への追加関税発表後、玩具価格は4カ月で3.7%上昇しました。ベビーカーやチャイルドシート、ベビーモニターなど必需品は20%以上の値上がりを記録しています。

住宅分野でも打撃は深刻です。木材、銅、キャビネット、鉄鋼への関税により、新築住宅1戸あたり約1万7,500ドルのコスト増が見込まれています。今後5年間で45万戸の住宅供給が失われるとの試算もあり、住宅難の悪化が懸念されます。

強硬外交路線:「ドンロー・ドクトリン」の衝撃

ベネズエラへの軍事介入

トランプ政権の外交政策で最も注目を集めたのが、2026年1月3日のベネズエラへの軍事作戦です。米特殊部隊がマドゥロ大統領とその妻をカラカスから拘束・移送する作戦を実行しました。トランプ大統領は「安全で適切な政権移行が行われるまで米国が統治する」と表明しています。

この作戦について、トランプ氏は「ドンロー・ドクトリン」という造語を用いて正当化しました。1823年にモンロー大統領が提唱した「モンロー主義」(西半球への欧州の干渉排除)を、自身の名前をもじって再定義したものです。

拡大する介入の論理

2025年12月に発表された「国家安全保障戦略」では、外交の基本方針として「モンロー主義」が明記されました。「西半球における米国の優位を回復・強化する」「半球外の競争国による軍事力や戦略的資産の配置を拒否する」という方針が示されています。

トランプ氏はさらにコロンビアにも「ベネズエラと同じ運命をたどりうる」と警告し、キューバは「間もなく崩壊する」と発言しました。メキシコの麻薬カルテル対策でも軍事介入を示唆しています。グリーンランドの併合、パナマ運河の支配権回復といった発言も含め、拡張主義的な姿勢が際立っています。

国際社会からの批判

この強硬路線に対し、国際社会からは批判の声が上がっています。バーニー・サンダース上院議員は「国際法の露骨な違反」「プーチンがウクライナ侵攻を正当化したのと同じ論理」と厳しく非難しました。ブルッキングス研究所も「比較的安定していた地域を一夜にして不安定化させた」と分析しています。

中間選挙に向けたポピュリズム路線への転換

経済ポピュリズムへのシフト

支持率低迷を受け、トランプ政権は2026年に入って経済政策で大きな方向転換を見せています。クレジットカード金利の年10%上限設定、大手プライベートエクイティによる住宅購入規制、防衛企業の配当・自社株買い禁止など、従来の共和党路線とは異なる「経済ポピュリズム」的な政策を打ち出しています。

これらの政策は、かつてカマラ・ハリス前副大統領ら民主党進歩派が主張していた内容と重なります。トランプ氏は中間選挙での敗北を避けるため、イデオロギーにとらわれない実利的なアプローチを選択したといえます。

医療・住宅分野での取り組み

特に注力しているのが医療費と住宅費の削減です。オバマケア補助金の直接給付による医療保険料引き下げを提案し、「これを実現すれば民主党は2026年に勝てない」と共和党議員に呼びかけました。

食品関税については11月に撤廃を表明しており、生活必需品への負担軽減をアピールしています。年明けにはイタリア産パスタや家具、キャビネットへの関税発動も延期しており、関税政策の軟化も見られます。

共和党議員の動揺

こうした状況を受け、共和党内にも動揺が広がっています。現在の議会勢力は下院が共和党218対民主党213の僅差、上院は共和党53対民主党47です。特に下院は8議席差と薄氷を踏む状態にあります。

注目すべきは現職議員の不出馬表明です。上下両院合わせて56人(全体の10%超)が再選に出馬しないと発表しており、うち下院だけで44人(共和党25人、民主党19人)に上ります。与党議員の大量不出馬は、選挙での大敗を予感させる兆候とされています。

注意点・展望

中間選挙の見通し

2026年11月3日の中間選挙では、上院は共和党優勢が予想されていますが、下院は接戦となっています。経済政策で「民主党が共和党をリードしている」という世論調査結果(40%対35%)は、共和党にとって危険信号です。無党派層では民主党が11ポイントリード、ヒスパニック系では15ポイントリードしています。

歴史的に見て、中間選挙は現職大統領の与党に不利に働く傾向があります。支持率が低い大統領のもとでは、この傾向がさらに顕著になります。トランプ政権にとって、今後10カ月でいかに支持率を回復させるかが最大の課題です。

2つの路線の帰結

強硬外交路線と経済再建路線、どちらが前面に出るかで政権の行方は大きく変わります。ベネズエラ型の軍事介入を続ければ、国際的孤立と国内世論の反発を招くリスクがあります。一方、経済ポピュリズム路線が成功すれば、中間選挙での議席維持につながる可能性もあります。

Goldman Sachsは2026年の米国GDP成長率を2.1%と予測しており、減税効果もあって経済自体は底堅く推移する見通しです。ただし関税によるインフレ圧力は続き、FRBは利下げを見送る公算が大きいとされています。

まとめ

トランプ政権2年目は、支持率低迷と中間選挙という試練の年になります。関税政策による生活コスト上昇、ベネズエラ介入に象徴される強硬外交、そして経済ポピュリズムへの転換と、政権は複数の課題を同時に抱えています。

今後の注目点は、トランプ大統領が強硬路線と融和路線のどちらに軸足を置くかです。中間選挙まで10カ月を切った今、無党派層の支持回復が最優先課題となります。関税政策の見直しや生活コスト対策がどこまで効果を発揮するか、2026年前半の動向が政権の命運を左右することになるでしょう。

参考資料:

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