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by nicoxz

トランプ政権2期目1年の総括と中間選挙への影響

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はじめに

2025年1月20日に発足した第2次トランプ政権は、2026年1月20日で丸1年を迎えました。この1年間、トランプ大統領は関税政策の矢継ぎ早な発動、ベネズエラへの軍事介入、イラン核施設への攻撃など、強硬な姿勢で公約実現に動いてきました。

しかし、足元の支持率は就任時の47%から38〜39%まで低下しています。物価高対策への不満が広がり、2026年11月の中間選挙では与党共和党の苦戦が予想されています。

本記事では、トランプ政権1年目の主要政策とその影響を検証し、今後の政治情勢を展望します。

トランプ政権1年目の主要政策

相互関税と「トランプ関税」の全容

2025年4月、トランプ政権は大規模な関税措置を発動しました。全世界からの輸入品に対する10%のベースライン関税に加え、中国など特定国への高率関税、鉄鋼・アルミニウム・自動車部品への品目別関税が導入されました。

トランプ大統領は、これらの措置により米国の製造業が再生し雇用が創出されると主張しました。実際、2025年を通じて米国経済はAIブーム関連投資に支えられ、実質GDP成長率は前年比+1.6%と比較的堅調に推移しています。

しかし、三菱総合研究所の分析によると、関税コストの約7割は米国企業が吸収しており、価格転嫁は今後緩やかに進む見通しです。2026年には消費者への負担増が本格化し、特に低中所得層への影響が懸念されています。

「K字型経済」の深刻化

高所得層と低中所得層で明暗が分かれる「K字型経済」が進行しています。株式市場の上昇や AI関連投資の恩恵を受ける高所得層は消費を拡大する一方、関税による物価上昇の影響を直接受ける低中所得層は消費を抑制せざるを得ない状況です。

ジェトロの調査では、73%の米国民がトランプ関税が物価を押し上げたと回答しています。エコノミスト誌とユーガブの調査でも、75%(共和党支持者でも56%)が関税が価格上昇をもたらしていると認識しています。

「力任せ」の外交・軍事政策

ベネズエラへの軍事介入

2026年1月3日、トランプ政権は「オペレーション・アブソリュート・リゾルブ(絶対的決意作戦)」を実行しました。米特殊部隊がベネズエラの首都カラカスに侵入し、マドゥロ大統領夫妻を拘束して米国に移送するという衝撃的な作戦でした。

この作戦では約75人のキューバ人・ベネズエラ人警護官が死亡しました。トランプ政権は、麻薬テロ対策、ベネズエラ石油へのアクセス確保、マドゥロ政権の弱体化という「三重の目標」を達成したと主張しています。

しかし、ロイターの世論調査では、この軍事行動を支持した米国民は33%にとどまり、反対は34%でした。共和党支持者では65%が支持した一方、民主党支持者では支持は11%にすぎませんでした。

イラン核施設への攻撃

2025年6月、トランプ政権はイランの主要核施設3カ所への軍事攻撃を実行しました。トランプ大統領はかねてイランの体制転換を示唆しており、この攻撃はその姿勢を行動で示したものでした。

2026年1月現在、イラン国内では物価高騰と通貨暴落をきっかけに反政府デモが拡大しています。米国を拠点とする人権団体によると、500人以上が政府の弾圧で死亡したとされています。

トランプ大統領は追加軍事行動の可能性を示唆しており、「軍が非常に強力な選択肢を検討している」と述べています。共和党の「非介入主義」路線は完全に転換し、世論調査ではベネズエラ、イラン、キューバ、グリーンランド、メキシコの5カ所全てで過半数の共和党支持者が軍事行動を支持しています。

支持率低下と政権内部の亀裂

38%まで低下した支持率

2025年1月の就任時に47%だったトランプ大統領の支持率は、1年間で大幅に低下しました。マリスト大学の2026年1月12〜13日の調査では、純支持率(支持率から不支持率を引いた値)はマイナス18と、2期目で最低を記録しています。

特に経済運営への評価は厳しく、55%が「トランプ氏の政策が経済状況を悪化させた」と回答しています。64%は物価対策が「不十分」と答え、「政策で暮らしが良くなった」と感じる国民は少数派にとどまっています。

MAGA派からの離反

政権内部にも亀裂が生じています。MAGA(Make America Great Again)派の代表格だったマージョリー・テイラー・グリーン下院議員は、2026年1月5日に辞職しました。

グリーン氏はH1Bビザ(高度専門職向け就労ビザ)への反対、エプスタイン事件関連文書の公開要求などでトランプ氏と対立が表面化。トランプ氏は「裏切り者」「頭のおかしいマージョリー」と公然と非難し、支持を撤回しました。

グリーン氏は辞職前日のCNN出演で「トランプ政権の現状と方向性は憂慮すべきだ」と訴えており、MAGA派内部の分裂が鮮明になっています。

2026年中間選挙への影響

「トリプルレッド」崩壊の危機

現在、大統領職と上下両院の多数派を共和党が占める「トリプルレッド」状態にありますが、中間選挙では与党が苦戦するのが歴史的傾向です。

第一生命経済研究所の分析によると、下院では政権与党が議席を減らす傾向が強く、2025年11月のバージニア州・ニュージャージー州知事選での民主党勝利は、この傾向を裏付けています。

世論調査では、経済運営で民主党を支持する有権者が40%と、共和党の35%を上回っています。下院で民主党が過半数を奪還した場合、ねじれ議会となり政策実現は困難になります。

政権の軌道修正

選挙を意識してか、政権は軌道修正を図っています。食料品を相互関税の対象から除外したほか、全米軍人に1人当たり1776ドル(建国年にちなむ)の現金を給付するなど、有権者へのアピールを強めています。

トランプ大統領自身も「中間選挙はこの国の成否が問われる。争点は物価だ」と述べ、物価問題が最大の焦点になることを認めています。

注意点・今後の展望

2026年後半の経済リスク

三菱総合研究所は、2026年も実質GDP成長率+1.6%を予測していますが、下振れリスクが高まっています。これまで企業が吸収してきた関税コストが消費者に転嫁されれば、物価上昇と消費減速の悪循環に陥る可能性があります。

FRBは2025年中に利下げに転じましたが、関税インフレと景気減速という「スタグフレーション」的状況への対応は困難を極めます。

中間選挙後のシナリオ

民主党が下院を奪還した場合、トランプ政権への議会調査が本格化する可能性があります。ベネズエラ軍事作戦の合法性、イラン攻撃の決定過程など、複数の案件が調査対象になり得ます。

一方、共和党が両院を維持した場合でも、MAGA派の分裂が進めば政権運営は安定しません。グリーン氏の辞職は「氷山の一角」との見方もあります。

まとめ

第2次トランプ政権の1年目は、関税政策と強硬な軍事行動という「力任せ」の姿勢が際立ちました。しかし、物価高対策の失敗と支持率低下、政権内部の亀裂という課題を抱えたまま、中間選挙を迎えることになります。

2026年11月の選挙結果は、残り2年の政権運営だけでなく、2028年大統領選の行方も左右します。トランプ大統領が物価対策で成果を出せるか、民主党が受け皿として機能できるかが、今後の焦点となるでしょう。

参考資料:

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