米軍イラン作戦の全容:サイバー攻撃と大規模空爆
はじめに
2026年2月28日、米国とイスラエルはイランに対する大規模軍事作戦「オペレーション・エピック・フューリー」を開始しました。3月2日にはヘグセス米国防長官とケイン統合参謀本部議長が記者会見を行い、作戦の詳細を公表しています。
今回の作戦は、従来型の空爆に加えてサイバー攻撃や宇宙空間からの電子戦を組み合わせた「マルチドメイン作戦」であり、現代戦の新たな形を示すものとなりました。本記事では、公開された情報を基に作戦の全容と今後の影響を解説します。
作戦「エピック・フューリー」の規模と戦力
投入された軍事アセット
ペンタゴンが公表した情報によると、今回の作戦には前例のない規模の戦力が投入されています。数千人の米軍兵士、数百機の高性能戦闘機、数十機の空中給油機が動員されました。
海軍からは2つの空母打撃群が参加しています。USS ジェラルド・R・フォードはイスラエル沖に展開し、USS エイブラハム・リンカーンはアラビア海に配置されました。合計で150機以上の航空機と数十隻の艦艇がこの作戦を支えています。
作戦開始から最初の24時間で、1,000以上の標的が攻撃されました。陸上基地と空母甲板の双方から100機以上の航空機が「単一の同期された波状攻撃」として発進しています。米海軍のトマホーク巡航ミサイルも大量に使用され、イラン南部沿岸の海軍施設を含む広範な目標を打撃しました。
攻撃目標と戦略目的
ペンタゴンが明らかにした作戦の主要目標は明確です。イランの攻撃型ミサイルシステムの破壊、ミサイル製造施設の解体、海軍戦力の無力化、そしてイランの核兵器取得の永久的な阻止です。
攻撃はテヘランとサナンダジを中心に、軍の指揮統制施設やミサイル基地など戦略的拠点に集中しました。B-2ステルス爆撃機はイラン国内の強化された弾道ミサイル施設を攻撃するために使用されています。
サイバー・宇宙領域の新たな戦い方
防空網を無力化したサイバー攻撃
今回の作戦で最も注目すべき点は、サイバー戦と宇宙領域の作戦が「ファーストムーバー(先行攻撃)」として機能したことです。米サイバー軍(USCYBERCOM)と米宇宙軍(USSPACECOM)が物理的な空爆に先立ってイランの防空システムを妨害しました。
ケイン統合参謀本部議長によると、サイバー・宇宙空間からの攻撃により「イランの通信網とセンサーネットワークを効果的に遮断」し、「敵の視覚・通信・対応能力を奪った」とされています。これにより、イランの防空網が機能不全に陥った状態で航空攻撃が実施され、米軍機の損失を最小限に抑えることができました。
情報戦と心理戦の展開
サイバー攻撃は軍事インフラだけでなく、情報戦の領域にも及びました。イラン国内のニュースサイトがハッキングされたほか、宗教カレンダーアプリにも侵入が行われ、「清算の時が来た」というメッセージが表示されました。アプリには軍関係者に対して武器を放棄し市民に合流するよう呼びかけるメッセージも含まれていたと報じられています。
さらに米国は、イスラム共和国の高官に亡命を促す情報作戦を展開しています。軍事力による圧力と情報戦を組み合わせ、体制内部からの変革を促す戦略が採られています。
ヘグセス国防長官の会見要旨
「無限の戦争ではない」
記者会見でヘグセス長官は、作戦の期限について明言を避けつつも「これは無限の戦争ではない」と強調しました。「これはイラクではない」と述べ、長期にわたる占領型の戦争とは異なると説明しています。
一方で「これはいわゆる体制転換戦争ではないが、体制は確かに変わった。世界はそのおかげでより良くなった」と発言し、2月28日の攻撃後にイラン国営メディアが報じたハメネイ最高指導者の死亡に間接的に言及しました。
地上軍投入の可能性
ヘグセス長官は現時点でイラン国内に米軍の地上部隊は展開していないことを確認しましたが、将来の地上軍投入の可能性については「何をするか、しないかについて詳細には触れない」として排除しませんでした。
ルビオ国務長官も「米軍はまだ最も強力な攻撃を実施していない」「次の段階は現在よりもさらにイランにとって厳しいものになる」と述べ、作戦のさらなる拡大を示唆しています。
イランの報復と地域への影響
湾岸地域への反撃
イランは2月28日の米国・イスラエルによる攻撃に対し、報復攻撃を実施しました。イラン革命防衛隊はバーレーン、カタール、UAEに所在する米軍基地を攻撃したと発表しています。リヤドの米大使館にもドローン攻撃が行われたと報じられました。
これまでに米軍側で4名の戦死者が確認されています。トランプ大統領、ヘグセス長官、ケイン議長はいずれもさらなる米軍の犠牲が生じる可能性を認めています。
国際社会の反応
英国議会の調査報告書によると、今回の米国・イスラエルによるイラン攻撃は国際社会に大きな波紋を広げています。中東地域全体の安全保障環境が根本的に変化する可能性があり、各国は対応を迫られています。
注意点・展望
今回の作戦は「マルチドメイン作戦」の実戦での大規模展開として軍事史に残る出来事です。サイバー・宇宙領域を先行させて敵の防空能力を無力化し、その上で空海からの大規模攻撃を行うという手法は、今後の軍事作戦の標準モデルとなる可能性があります。
一方で懸念すべき点も多くあります。イランの報復攻撃による湾岸地域の不安定化、原油市場への影響、そしてサイバー戦の拡大による民間インフラへの被害リスクです。ヘグセス長官は「無限の戦争ではない」と強調していますが、具体的な出口戦略は示されていません。
今後の焦点は、作戦がどの段階で終結に向かうのか、イラン国内の政治体制がどう変化するのか、そして中東地域の新たな安全保障秩序がどのように形成されるかです。
まとめ
米軍によるイラン軍事作戦「エピック・フューリー」は、サイバー攻撃・宇宙領域の電子戦・従来型の空爆を統合した前例のない規模の作戦です。2つの空母打撃群と数百機の航空機が投入され、最初の24時間で1,000以上の目標が攻撃されました。
サイバー・宇宙軍が防空網を先制的に無力化するという手法は、現代戦の新たなモデルを示しています。しかし、イランの報復攻撃や地域の不安定化など、事態は依然として流動的です。今後の展開を注視する必要があります。
参考資料:
- Pete Hegseth says Iran military mission is “laser-focused” - CBS News
- Cyber, Space Commands were a ‘first mover’ in strikes on Iran - Defense One
- ‘Just Beginning’: Pentagon Officials Provide Latest Update on Iran Mission - Military.com
- ‘Unprecedented scale’ of U.S.-Israel co-ordination - CBC News
- All the US Military assets involved in the massive strike on Iran - The Aviation Geek Club
- US-Israel strikes on Iran - House of Commons Library
- Mapping US and Israeli attacks on Iran - Al Jazeera
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