経営者の8割が成長戦略17分野投資を支持 高市政権に期待

by nicoxz

はじめに

日本経済新聞が2025年12月2日から22日に実施した社長100人アンケートで、高市政権が掲げる経済政策への期待が高まっていることが明らかになりました。政府の財政支出で優先すべきこととして「成長戦略17分野への投資」と答えた企業が8割を超え、財政規律への懸念がある中でも、戦略的な投資の必要性について企業経営者の強い支持が示されました。AI・半導体や防災、サイバーセキュリティなど、日本の競争力強化と経済安全保障に直結する分野への投資が求められています。

社長100人アンケートの概要

調査の実施内容

アンケートは国内の主要企業の社長(会長などを含む)を対象に2025年12月2日から22日に実施され、141社から回答を得ました。高市政権が打ち出す「責任ある積極財政」や成長戦略17分野への投資について、企業経営者がどのように評価しているかを調査しました。

8割超が17分野投資を支持

政府の財政支出で優先すべきこととして「成長戦略17分野への投資」と答えた企業が8割を超えました。財政規律への懸念があるなか、投資の振り分けには競争力などの観点も重要になるとの認識が示されています。企業経営者は、戦略的な投資が日本経済の発展に不可欠であると考えており、高市政権の方針に強い期待を寄せています。

他の調査結果との整合性

帝国データバンクの調査によると、高市政権が掲げる経済政策による日本経済への効果を期待している企業は75.7%と、4社に3社にのぼりました。複数の調査で企業経営者の高い期待が確認されており、日本経済界全体として高市政権の経済政策を支持する傾向が明確になっています。

成長戦略17分野の全体像

戦略分野の選定

高市政権は「日本成長戦略本部」を立ち上げ、17の戦略分野と8つの分野横断的課題を確定しました。これらは、日本の経済供給構造の強化と成長の実現を目指すもので、経済安全保障の観点も重視されています。岸田政権以来の「新しい資本主義実現会議」を廃止し、「日本成長戦略会議」を2025年11月4日に発足させました。

17分野の内訳

17の戦略分野には以下が含まれます:

  • AI・半導体
  • 量子技術
  • 造船
  • 航空・宇宙
  • 核融合
  • サイバーセキュリティ
  • 防災・国土強靭化
  • 資源保障
  • コンテンツ(アニメなど)
  • GX(グリーントランスフォーメーション)
  • 次世代エネルギー
  • 防衛産業
  • フードテック

これらの分野は、日本の競争力強化、経済安全保障、サプライチェーンの要所に位置する重要技術を網羅しています。

AI・半導体分野への集中投資

政府はAI・半導体関連産業で、今後10年間で官民合わせて50兆円超の投資を実現する計画です。このうち、2030年までの7年間で10兆円超の公的支援を行う方針を示しています。この支援は、サプライチェーンのチョークポイント(要所)や経済安全保障上重要な分野を対象としています。

企業経営者が期待する分野

AI・半導体が最多

17の戦略分野のうち、最も期待が寄せられたのは「AI・半導体」で約7割の企業経営者が支持しました。生成AI×半導体の組み合わせは2026年も投資熱が続くと予想されており、アジア市場関係者も注目銘柄として挙げています。AI関連銘柄は半導体やクラウドなど裾野が広く、株価をけん引する存在となっています。

リスク対策分野も上位

「防災」や「サイバーセキュリティ」、「資源保障」などリスク対策分野も上位に並びました。これらは経済安全保障の観点から重要性が増しており、企業経営者も国家として取り組むべき課題と認識しています。自然災害の頻発やサイバー攻撃の高度化、資源価格の変動など、企業活動を脅かすリスクへの対策が急務となっています。

アニメ・コンテンツ分野への期待

日本の強みを活かせる分野として、アニメなどのコンテンツ産業への期待が断トツで高いことも明らかになりました。日本のアニメは世界的に競争力があり、ソフトパワーとしての価値も高く評価されています。クールジャパン戦略の核として、コンテンツ産業の育成・支援が重要視されています。

責任ある積極財政への評価

財政出動の考え方

高市首相は所信表明において「責任ある積極財政」の推進を表明しました。これは、戦略的な財政出動により所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益を上げ、税率を上げずとも税収を増加させることを目指すものです。「財政が経済を成長させる責任」と「財政の持続可能性に対する信認を確保する責任」の2つの責任を掲げています。

財政規律目標の変更

高市政権は、財政規律目標についてプライマリー・バランスの黒字化よりも、対名目GDP債務比率の引き下げを重視する方針です。単年度での黒字化目標を取り下げ、複数年度でバランスを見るとしています。これは、短期的な財政規律よりも中長期的な経済成長を重視する姿勢の表れです。

総合経済対策の規模

政府は2025年11月21日に総合経済対策を閣議決定しました。2025年度補正予算案は17.7兆円、減税分を含めると経済対策の規模は総額21.3兆円に達します。この大規模な財政出動が、成長戦略17分野への投資を後押しすることになります。

投資配分の課題と論点

競争力の観点からの選別

財政規律への懸念がある中、投資の振り分けには競争力などの観点も重要になると指摘されています。17分野すべてに均等に投資するのではなく、日本が真に競争力を持つ分野や、グローバル市場で勝ち残れる可能性の高い分野に重点配分することが求められます。

17分野選定の妥当性

第一生命経済研究所の熊野英生氏は「日本成長戦略を吟味する ~17分野の選定はこれでよいのか?~」というレポートで、分野選定の妥当性について検討しています。経済安全保障と成長戦略の「二兎を追えるか」という課題も提起されており、投資効果を最大化するための精緻な戦略が必要です。

官民連携の重要性

17分野への投資は政府支出だけでなく、民間投資を呼び込むことが前提となっています。AI・半導体分野の50兆円投資計画も、官民合わせた目標です。政府が呼び水となり、民間企業が積極的に投資できる環境を整備することが、成長戦略成功の鍵となります。

量子・次世代技術への期待

量子コンピューターの可能性

量子力学の誕生から100年を経て、量子・半導体・AIの融合が進んでいます。量子コンピューターは創薬、気候予測、金融などの分野で、大規模な並列処理が必要な用途に注目されています。野村證券の株式ストラテジスト・大川智宏氏は、AI関連の次のテーマとして「量子コンピューター」の可能性を探っています。

次世代エネルギーとGX

政府はデジタルインフラのエネルギー効率向上を推進しており、データセンター向けの省エネ型AI半導体などへの支援を行っています。GX(グリーントランスフォーメーション)と次世代エネルギーは、脱炭素社会の実現に不可欠な分野であり、企業経営者も長期的な成長領域として認識しています。

核融合・宇宙開発

核融合エネルギーや航空・宇宙分野も17分野に含まれており、長期的な視点での技術開発が期待されています。これらは即座に経済効果を生む分野ではありませんが、将来の日本の競争力を左右する重要技術です。

今後の展望

2026年以降の投資動向

2026年の有望銘柄として、「AI進化」が追い風となる日本株が注目されています。AI・半導体関連への投資熱は続くと予想され、エヌビディアに続く注目のAI・半導体関連銘柄への関心が高まっています。17分野投資が本格化すれば、関連企業の成長が加速する可能性があります。

労働規制緩和との連動

社長100人アンケートでは、高市政権が検討する労働時間の規制緩和について「賛成」との回答が9割に迫りました。経営トップは柔軟な働き方を意識しており、成長戦略と労働市場改革を一体的に進めることで、日本経済の活性化を期待しています。

失われた30年を終わらせるか

高市政権の「責任ある積極財政」が”失われた30年”を終わらせることができるかが問われています。企業経営者の8割が支持する17分野投資が、実際に日本の競争力強化と経済成長につながるかどうか、今後の政策実行と成果が注目されます。

まとめ

日本経済新聞の社長100人アンケートで、高市政権が掲げる成長戦略17分野への投資に8割以上の企業経営者が支持を表明しました。AI・半導体を筆頭に、量子技術、サイバーセキュリティ、防災、コンテンツなど、日本の競争力強化と経済安全保障に直結する分野への戦略的投資が求められています。

「責任ある積極財政」のもと、政府は総額21.3兆円規模の経済対策を実施し、AI・半導体分野だけで今後10年間に官民合わせて50兆円超の投資を目指します。財政規律への懸念がある中でも、企業経営者は成長のための投資が不可欠と認識しており、高市政権の経済政策に強い期待を寄せています。

投資の振り分けには競争力の観点からの選別が重要であり、官民連携により実効性の高い成長戦略を実現できるかが鍵となります。17分野投資が日本の”失われた30年”を終わらせ、新たな成長軌道に乗せることができるか、今後の政策実行が注目されます。

参考資料:

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