中国の半導体供給網が厚みを増す背景と影響を解説
中国、米制裁を契機に半導体供給網の厚みを増す
ファーウェイ、新型スマホで国産部品比率6割へ — 米制裁が“逆風をチャンスに”変える可能性
中国の半導体産業が、米国による対中輸出規制を機に変化の兆しを見せています。米国の制裁措置を受けて、供給網の国産化・自主化が急速に進展し、企業側の技術力向上につながっている可能性が出てきました。
🇨🇳 米制裁を“契機”に国産化が進む
米国は高度な半導体や製造装置の中国向け輸出を厳しく制限しています。この制裁はCPUやAIチップ、半導体製造設備などに及び、中国の企業が米国依存から脱却する圧力になっています。
そのなか、華為技術(ファーウェイ)は新型スマートフォンにおいて部品構成の約6割を中国製に高めたと報じられています。これは約2020年時点の中国部品比率が20%程度だったとされるのに対し大きな進展です。
スマホ部品の国産化が進んだ背景には、対米制裁を受けたファーウェイがサプライチェーンの見直しと国内企業との連携を強化したことがあるとみられています。
🧠 スマホ技術の進化がAI半導体へ波及
中国勢はこれまでスマホ向け半導体(SoC)や通信機器向けチップ開発で地盤を築いてきました。この経験を活かして、人工知能(AI)用プロセッサーや独自の半導体設計技術にも影響力を高めつつあるとの指摘もあります。
ファーウェイの半導体設計部門である「HiSilicon」も、過去の制裁前と比べて自前チップの開発範囲を拡大しています。
📈 供給網の厚みとは?
ここでいう「供給網の厚み」とは、外部依存が少なく、国内で設計・製造・組み立て・部品調達などの工程をカバーできる体制が強化されたことを指します。
米制裁によって輸入が制限された結果、中国国内での連携・投資が活発化しており、半導体製造装置メーカーや素材関連企業の成長も一部で見られています。例えば中国の半導体装置メーカーの売上規模は世界において順位を上げつつあります(ただし依然として最先端装置では海外企業が強い状況です)。
⚠️ ただし課題は残る
とはいえ、自給自足が完全に達成されたわけではありません。特に最先端プロセスの製造装置(極紫外線露光装置など)は海外企業が圧倒的なシェアを持ち、中国はまだ完全な代替手段を確立できていません。現状では技術ギャップが残るとの分析もあります。
✨ ピンチがチャンスに
米国の規制によって一時は中国の半導体産業が足踏みした印象もありましたが、その“逆風”をきっかけに、中国国内での供給網強化や技術の底上げが進んでいるという見方も出ています。これが今後どのような影響を世界の半導体市場に与えるか、引き続き注目されます。
まとめ
- 米国の対中輸出規制が中国の半導体サプライチェーン改革を促進している。
- ファーウェイのスマホは部品の約6割を中国製に。
- スマホ技術をAI半導体へ活かす動きも見られる。
- 供給網強化は進むものの最先端技術では課題も残る。
米国の制裁が短期的には打撃であっても、長期的には技術的自立を促す結果となっている点は、まさに「ピンチはチャンス」と言えるでしょう。
関連記事
中国が国産要求を強化、レアアース対日規制で外資に岐路
中国政府がIT製品の国産化を推進する中、対日レアアース輸出規制も強化。外資企業は中国ビジネスの根本的な見直しを迫られています。影響と対応策を解説します。
日経平均5万4000円突破、高市政権の解散観測で半導体株が急騰
日経平均株価が史上初めて5万4000円台に到達。高市首相の早期解散観測による「高市トレード」が半導体関連株を押し上げています。背景と今後の展望を解説します。
中国「脱NVIDIA」加速、ファーウェイ・カンブリコンが独自路線
2026年の中国半導体業界ではファーウェイとカンブリコンがNVIDIA対抗を本格化。米規制下で独自のAI半導体供給網構築を進め、日本には装置分野で商機が生まれています。
G7がレアアースの中国依存低減で協調、閣僚級協議開催
G7財務相と資源国の閣僚がワシントンで重要鉱物に関する協議を開催。レアアースの中国依存度引き下げに向けたサプライチェーン整備で一致しました。価格フロア設定や代替供給源の確保が議論されています。
G7がレアアース脱中国で結束、最低価格制度も検討へ
G7と資源国の財務相がワシントンで会合を開き、レアアースなど重要鉱物の中国依存低減で一致しました。中国の対日輸出規制が強化される中、最低価格制度の導入や新市場創設など具体策の検討が進んでいます。
最新ニュース
南鳥島でレアアース試掘開始・中国依存脱却への挑戦
探査船「ちきゅう」が南鳥島沖でレアアース泥の試掘を開始。水深6000メートルからの世界初の採掘試験と、日本の経済安全保障における意義を解説します。
1年4カ月で国政選挙3回、頻繁な選挙が招く政策停滞
高市首相が通常国会冒頭での衆院解散を検討。国政選挙が短期間に3回目となり、社会保障改革など長期的視点の政策が後回しになる懸念が高まっています。
第174回芥川賞・直木賞が決定、3氏が受賞の栄誉
第174回芥川賞に鳥山まこと氏「時の家」と畠山丑雄氏「叫び」、直木賞に嶋津輝氏「カフェーの帰り道」が決定。前回の両賞該当なしから一転、充実の受賞作が揃いました。受賞作の魅力と作家の経歴を詳しく解説します。
日本人創業のアルパカがユニコーンに、米国初の快挙
証券取引APIを提供するフィンテック企業アルパカが企業価値10億ドルを突破。日本人だけで創業した新興企業として米国初のユニコーン達成の背景を解説します。
三六協定の締結率5割どまり、残業規制緩和の是非を問う
三六協定を締結している事業所は5割にとどまり、残業規制緩和の議論が活発化しています。働き方改革の効果と今後の労働政策の方向性について、最新データをもとに解説します。