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by nicoxz

FedExが米政府を提訴、関税返還訴訟が拡大する背景

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はじめに

2026年2月20日、米連邦最高裁判所がトランプ大統領による国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税措置を違憲と判断しました。この歴史的な判決を受けて、物流大手フェデックス(FedEx)は2月23日、米税関・国境取締局(CBP)と連邦政府を相手取り、支払い済みの関税の全額返還を求める訴訟を起こしました。フェデックスの提訴は最高裁判決後初の大手企業による返還請求訴訟として注目を集めています。さらに、豊田通商や住友化学など日本企業9社も同様の訴訟を進めており、総額約1700億ドル(約25兆円)規模の返還闘争が始まろうとしています。

米最高裁のIEEPA関税違憲判決とその衝撃

判決の概要

米連邦最高裁は「Learning Resources, Inc. v. Trump」事件において、6対3の多数意見でIEEPAが大統領に関税賦課の権限を与えていないと判断しました。ロバーツ首席判事が主要意見を執筆し、関税の賦課は合衆国憲法第1条に基づく「課税権」に該当するため、議会の権限であると明確に述べています。この判決により、2025年にトランプ大統領がIEEPAに基づいて発動した相互関税や、メキシコ・カナダ・中国に対するフェンタニル・移民対策関税など、一連の関税措置が無効とされました。

判決が残した課題

重要なのは、最高裁が関税返還の是非や手続きについては明示的に判断しなかった点です。約30万の輸入業者が支払った関税の総額は約1700億ドルに上るとされていますが、その返還プロセスは未確定のままです。案件は米国際貿易裁判所(CIT)に差し戻され、同裁判所が返還の具体的な方法や対象者を決定することになります。専門家の間では、返還手続きの完了までに12カ月から18カ月、あるいはそれ以上かかるとの見方が広がっています。

トランプ大統領の即座の対応

判決当日、トランプ大統領は通商法第122条に基づき、新たに10%の「一時的輸入追加課徴金」を全輸入品に課す大統領令に署名しました。この措置は2月24日から150日間(7月24日まで)有効で、それ以降は議会の承認が必要です。翌21日には15%への引き上げ意向も表明しており、関税政策の軸足をIEEPAから別の法的根拠に移す動きが加速しています。

フェデックス訴訟の詳細と日本企業の動向

フェデックスの訴訟内容

フェデックスは2月23日、米国際貿易裁判所に11ページの訴状を提出しました。被告はCBP、CBP長官のロドニー・スコット氏、および米国連邦政府です。訴状によると、フェデックスはIEEPA関税の対象国から商品を輸入する「輸入者記録」として登録されており、違法な関税によって損害を被ったと主張しています。同社は支払い済みの関税の「全額返還」を求めています。

10億ドルの関税損失

フェデックスにとって、この訴訟は経営上の重大な意味を持ちます。2025年9月の決算発表時に、同社は2026年6月期通期(2025年6月〜2026年5月)の関税関連損失が10億ドル(約1500億円)に達する可能性があると明らかにしました。損失の主な要因は、中国・香港からの小口荷物に適用されていたデミニミス免税の廃止による収益減少です。中国から米国への配送ルートはフェデックスにとって高収益路線であり、関税の影響は同社のトップラインに直接響いています。

日本企業9社による先行訴訟

実は日本企業はフェデックスよりも前から動いていました。2025年12月、豊田通商、住友化学、リコー、ウシオ電機、日本ガイシ、横浜ゴムなど少なくとも9社の米国現地法人が、米国際貿易裁判所に関税返還を求める訴訟を起こしています。これらの企業は最高裁の違憲判決を見越して、返還請求権を確保する目的で予防的に提訴していました。最高裁判決後、豊田通商は「関税の還付に必要な手続きは現時点では示されていないため、今後の状況を注視するとともに粛々と対応する」とコメントしています。

訴訟の規模拡大

現在、1500社以上の企業が米国際貿易裁判所に関税関連の訴訟を提起しています。コストコやレブロン、バンブルビーフーズなど米国の大手企業も名を連ねています。司法省と原告側は、1000件を超える訴訟を効率的に処理するため、CITに運営委員会の設置を要請しました。フェデックスの提訴は最高裁判決後初の大手企業による返還請求として象徴的な意味を持ち、今後さらに訴訟が加速する見通しです。

注意点・展望

関税返還をめぐる闘争は、いくつかの不確定要素を抱えています。まず、最高裁は返還の義務や手続きについて判断を示しておらず、具体的なプロセスはCBPとCITの判断に委ねられています。トランプ大統領自身も「今後5年間は裁判が続くだろう」と発言しており、長期化は避けられない見通しです。

また、返還が実現した場合でも、その恩恵が消費者に還元されるかは不透明です。CNNの報道によると、企業が受け取った関税返還分が価格引き下げにつながる保証はありません。さらに、トランプ大統領が通商法第122条に基づく新たな関税を即座に発動したことで、輸入コストの根本的な改善は限定的となる可能性があります。新関税の税率は当初10%で、最大15%まで引き上げられる見込みですが、150日間の時限措置であり、議会の動向が今後の鍵を握ります。

まとめ

米最高裁によるIEEPA関税の違憲判決は、米国の通商政策における歴史的な転換点となりました。フェデックスの提訴を皮切りに、日本企業を含む世界中の企業が関税返還を求める法的措置を拡大しています。約1700億ドルという巨額の返還闘争は、米国の財政にも大きな影響を及ぼす可能性があります。一方、トランプ大統領は別の法的根拠に基づく新関税で対抗しており、貿易政策をめぐる攻防は新たな段階に入っています。企業や投資家にとっては、CITでの返還手続きの行方と、第122条に基づく新関税の動向を注視することが重要です。

参考資料

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