世界で安い日本のメガネ、インバウンド需要で銀座出店も加速

by nicoxz

はじめに

日本で眼鏡を買う外国人観光客が急増しています。その理由は明確で、日本の眼鏡価格は米国やヨーロッパと比べて2〜3分の1程度という驚きの安さだからです。JINSやZoffといった眼鏡チェーンは、インバウンド需要を取り込むべく、銀座や渋谷など一等地への出店を加速させています。

この記事では、日本の眼鏡がなぜこれほど安いのか、訪日外国人にどのように支持されているのか、そして眼鏡大手の成長戦略と今後の展望について詳しく解説します。2025年に訪日外国人数が4,000万人を突破する中、眼鏡業界の成長機会を理解する手がかりとなるでしょう。

日本の眼鏡はなぜ安いのか

海外との価格差は2〜3倍

日本で眼鏡を購入する最大のメリットは、その圧倒的な低価格です。JINSでは、フレームとレンズのセットが5,000円(約35ドル)から購入可能です。これに対して、米国では同等品質の眼鏡が200〜300ドル以上することも珍しくありません。

ある訪日旅行者は、「日本では毎年新しい眼鏡を買っている。米国の3分の1の価格で済むし、1年以内に度数が変わっても無料で交換してくれる」と語っています。また、オーストラリアからの旅行者は「ニューヨークの4分の1の価格で買えた」と驚きを隠しません。

低価格を実現する3つの要因

日本の眼鏡が安い背景には、いくつかの構造的要因があります。

1. 大量生産とコスト削減

JINSやZoffは、中国の工場で大量生産することでコストを抑えています。フレームの製造原価は10ドル以下、レンズは2ドル程度で生産できるとされています。スケールメリットを活かした効率的な生産体制が、低価格の源泉です。

2. 店舗での一貫対応

日本では、視力検査から眼鏡の作成までを店舗で一貫して行います。視力検査は無料で、早ければ30分で眼鏡が完成します。眼科での処方箋が必須となる国が多い中、この簡便さがコスト削減につながっています。

3. 激しい競争環境

日本の眼鏡市場は競争が激しく、JINS、Zoff、眼鏡市場など複数のチェーンがしのぎを削っています。この競争環境が価格を抑制する効果を生んでいます。一方、米国ではルクソティカ社が多くの眼鏡ブランドと小売チェーンを傘下に収め、事実上の寡占状態にあるため、価格が高止まりしているとの指摘があります。

インバウンド需要で活況を呈する店舗

渋谷店は外国人で賑わう

JINSの渋谷店は、外国人旅行者の間で特に人気のスポットとなっています。渋谷の好立地に加え、モダンな店内には最新のフレームが3,000種類以上揃います。英語や中国語に対応できるスタッフが常駐し、その他の言語にはポケトーク(自動翻訳機)で対応しています。

外国人にとって嬉しいのは、免税対応です。パスポートを提示すれば、10%の消費税が免除されます。分かりやすい価格表示、多様な決済手段、ストレスのない買い物体験が、訪日客の支持を集めています。

訪日外国人4,000万人時代の追い風

2025年の訪日外国人数は、11月時点で累計3,906万人に達し、2024年の年間記録(3,687万人)を上回りました。年間4,000万人突破はほぼ確実で、訪日消費額も10兆円規模に迫る勢いです。

国・地域別では、韓国が867万人でトップ、次いで中国が715万人、台湾が595万人と続きます(2025年10月時点)。アジアからの旅行者を中心に、「日本で安く眼鏡を買う」ことが定番の買い物リストに加わりつつあります。

JINS Holdings の成長戦略

過去最高の業績を達成

JINSホールディングス(HD)は、2025年8月期に過去最高の業績を達成しました。連結売上高は972億円(前年比17.1%増)、営業利益は120億円(同54.3%増)と大幅な増収増益となりました。

特に国内事業が好調で、既存店売上高は年間を通じて16.5%増という高い伸びを示しました。営業利益率も14.8%に改善し、収益性も向上しています。

2026年8月期の見通しと投資計画

2026年8月期は、売上高1,116億円(同14.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益88億円(同5.9%増)を計画しています。利益の伸びが売上高の伸びを下回るのは、成長投資を積極化するためです。

具体的には、東京にグローバルフラッグシップ店を開設するほか、モンゴル、ベトナム、フィリピンなど新規市場への進出を計画しています。デジタル化による顧客体験の向上と経営効率化にも投資を行う方針です。

海外展開の加速

JINSは現在、国内約430店舗に加え、海外で約220店舗を展開しています。2001年の創業以来「最もスタイリッシュな眼鏡を最も低価格で」をコンセプトに成長を続け、海外展開を加速させています。

競合のZoffは海外36店舗にとどまっており、JINSの海外展開は業界でも突出しています。今後は新興国市場での成長が期待されます。

注意点・今後の展望

免税制度の変更に注意

訪日外国人にとって注意すべき変更があります。2026年11月から、免税制度が改定される予定です。現在は店舗で即時に10%の消費税が免除されますが、新制度では空港での還付手続きが必要になります。眼鏡購入のタイミングには留意が必要です。

円安の影響と今後の価格動向

円安は外国人にとって日本の眼鏡をさらに割安にする一方、日本企業にとってはコスト上昇要因となっています。JINSは中国の工場への支払いをドル建てで行っているため、仕入れ値が3割以上上昇したとされています。

これまでJINSは「スリープライス」(3段階の均一価格)を維持してきましたが、今後は値上げに踏み切る可能性もあります。ただし、海外との価格差は依然として大きく、訪日客にとっての魅力は当面維持されるでしょう。

2026年のインバウンド見通し

2026年の訪日外国人数は4,200〜4,400万人で推移する見通しです。政府は2030年に6,000万人を目標としていますが、達成には課題も多いとされています。中国からの訪日客の伸び悩みや、ホテル・航空便のキャパシティ不足が懸念材料です。

とはいえ、眼鏡業界にとってインバウンド需要は重要な成長エンジンであり続けるでしょう。銀座など一等地への出店は、訪日富裕層を取り込む戦略の表れです。

まとめ

日本の眼鏡は、海外の2〜3分の1という低価格が世界から注目を集めています。JINSやZoffは、大量生産によるコスト削減と激しい競争環境を背景に、高品質な眼鏡を手頃な価格で提供しています。視力検査から30分で眼鏡が完成する利便性も、訪日外国人の支持を集める理由です。

JINSホールディングスは2025年8月期に過去最高の業績を達成し、2026年はグローバルフラッグシップ店の開設や新興国市場への進出を計画しています。訪日外国人数が4,000万人を突破する中、日本の眼鏡業界はインバウンド需要を追い風に成長を続ける見込みです。

参考資料:

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