特別国会とは?首相指名選挙の仕組みを解説
はじめに
2026年2月18日、第51回衆議院議員総選挙を受けた第221特別国会が召集されました。特別国会は衆院選のたびに開かれる国会ですが、その具体的な仕組みや手続きについてはあまり知られていません。
本会議場では議長・副議長の選出から首相指名選挙まで、独特の「記名投票」が行われます。議員が投票用紙を手に演壇へ向かう「堂々巡り」と呼ばれる光景は、特別国会ならではの風物詩です。
この記事では、特別国会の基本的な仕組みから投票手続き、そして今回の第221特別国会で何が決まったのかを詳しく解説します。
特別国会の基本的な仕組み
国会の3つの種類と特別国会の位置づけ
日本の国会には「通常国会(常会)」「臨時国会(臨時会)」「特別国会(特別会)」の3種類があります。それぞれ召集の理由や会期が異なります。
通常国会は毎年1月に召集され、主に翌年度の予算審議を行います。会期は150日間と定められています。臨時国会は災害対策や補正予算など緊急の案件がある場合に、内閣の判断で召集されます。
これに対し、特別国会は衆議院の解散・総選挙の後に召集される国会です。憲法第54条の規定により、総選挙の投票日から30日以内に召集しなければなりません。最大の目的は、新たな内閣総理大臣を選出することにあります。
特別国会で行われること
特別国会の召集日には、決まった順序で重要な手続きが進みます。衆議院では解散によって議長・副議長が失職するため、まず事務総長の議事進行のもとで議長選挙が行われます。
続いて副議長の選挙、常任委員長の選任と進み、最後に衆参両院の本会議で内閣総理大臣の指名選挙が実施されます。つまり、1日のうちに少なくとも3回の記名投票が行われることになります。
記名投票と「堂々巡り」の伝統
記名投票の手順
国会の本会議における記名投票は、議員一人ひとりが投票用紙を持って演壇に向かう独特の方式で行われます。各議員の議席には白色と青色の木札が備え付けられており、白が賛成、青が反対を意味します。
議長選挙や首相指名選挙では、投票用紙に候補者の名前を記入し、議員が順番に演壇まで歩いて投票箱に投じます。この一連の動きが「堂々巡り」と呼ばれ、全議員が投票を終えるまでに約15分を要します。
押しボタン方式との違い
参議院では1998年の第142回国会から押しボタン式投票が導入され、法案の採決などではこの方式が標準となっています。ボタンを押すだけで即座に集計できるため、効率面では大幅に改善されました。
一方、首相指名選挙や議長選挙といった人事案件では、依然として記名投票が用いられます。候補者名を記入して投票する必要があるため、押しボタン方式では対応できないからです。この伝統的な方式は、議会制民主主義の象徴的な儀式として受け継がれています。
2026年第221特別国会の全容
衆院選の結果と政治状況
2026年2月8日に投開票された第51回衆院選では、自民党が316議席を獲得し、戦後初めて単独で衆院定数465の3分の2を超える歴史的な圧勝を果たしました。連立を組む日本維新の会(36議席)とあわせると352議席に達します。
一方、立憲民主党と公明党が結成した中道改革連合は、公示前の172議席から49議席へと激減する惨敗を喫しました。小沢一郎氏や岡田克也氏といったベテラン議員も相次いで落選しています。国民民主党は28議席、参政党は15議席、チームみらいは11議席という結果でした。
議長・副議長の選出
2月18日の特別国会召集日、衆議院では自民党の森英介氏が新議長に選出されました。副議長には中道改革連合の石井啓一氏が選ばれています。慣例として、議長は第一党から、副議長は野党第一会派から選ばれるのが通例です。
首相指名選挙と第2次高市内閣の発足
衆議院本会議は午後1時に開会し、首相指名選挙が実施されました。高市早苗自民党総裁が第105代内閣総理大臣に選出されています。参議院では1回目の投票で過半数に届かず決選投票が行われましたが、最終的に高市氏が指名されました。
憲法の規定により、特別国会の召集とともに内閣は総辞職します。高市首相は2025年10月の就任からわずか約4カ月ということもあり、全18閣僚を再任する形で第2次高市内閣を発足させました。連立パートナーの日本維新の会は閣僚を出さない「閣外協力」の形をとっています。
今後の注目点と展望
150日間の長期会期
今回の特別国会は会期を7月17日までの150日間とする案が決まりました。通常、特別国会は数日で閉会し、改めて通常国会を召集するのが一般的です。しかし今回は特別国会を閉会せず、そのまま2026年度予算案の審議に入る方針です。
政府・与党は5月の大型連休前の予算成立を目指しています。自民党が単独で3分の2を超える議席を持つ状況で、国会運営がどのように進むかが注目されます。
野党再編の行方
中道改革連合の惨敗を受け、野党の再編が進む可能性があります。国会における建設的な議論のためにも、与野党間の適切な緊張関係が求められます。特別国会での論戦が今後の政治の方向性を左右することになるでしょう。
まとめ
特別国会は衆院選後に必ず開かれる国会であり、議長選出と首相指名選挙という重要な手続きが行われます。記名投票による「堂々巡り」は、デジタル化が進む現代においても守られている議会の伝統です。
2026年の第221特別国会では、自民党の歴史的大勝を背景に高市早苗首相が第105代首相として再選出されました。150日間の長期会期で予算審議も含めて行われる今国会の動向に、引き続き注目が必要です。
参考資料:
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