京成が成田アクセス線の複々線化を検討開始
はじめに
京成電鉄が、成田空港と東京都心を結ぶ成田スカイアクセス線の一部区間について、複々線化の検討に着手したことを発表しました。対象となるのは新鎌ケ谷駅から印旛日本医大駅までの約20キロの区間です。
成田空港では2029年3月の供用開始を目指してC滑走路(第3滑走路)の新設工事が進行中であり、年間発着回数は現在の最大30万回から50万回へと大幅に拡大する見込みです。空港利用者の急増が予想されるなか、鉄道アクセスの輸送力強化は喫緊の課題となっています。
この記事では、複々線化計画の具体的な内容、期待される効果、そして実現に向けた課題について詳しく解説します。
複々線化計画の全容
対象区間と整備の概要
複々線化が検討されているのは、北総鉄道と共用している新鎌ケ谷駅から印旛日本医大駅までの約20キロの区間です。現在この区間は複線(上下各1本の線路)で運用されており、スカイライナーなどの有料特急と、アクセス特急や北総鉄道の一般列車が同じ線路を共用しています。
計画では、既存の北総線の外側に有料特急専用の線路を新設する形で複々線化を行います。これが実現すれば、私鉄としては最長クラスの複々線区間が誕生することになります。
スピードアップの効果
複々線化による最大のメリットは、有料特急の速度向上です。現在、新鎌ケ谷―印旛日本医大間では北総鉄道の線路を共用しているため、最高速度が時速130キロに制限されています。専用線路が整備されれば、この区間でも印旛日本医大以東と同じ時速160キロでの運転が可能になります。
これにより、現行スカイライナーは日暮里―空港第2ビル間の所要時間が最速36分から30分台前半へと短縮される見込みです。さらに、2028年度に運行開始予定の新型有料特急では、押上―空港第2ビル間が最速20分台後半になると期待されています。
輸送力の大幅拡大
複々線化のもうひとつの重要な効果は、運行本数の増加です。現在スカイライナーは日中毎時3本の運行ですが、有料特急と一般列車がそれぞれ専用の線路を走ることで、双方の増発が可能になります。
一般列車側も、スカイライナーのダイヤに制約されることなく運行できるため、北総鉄道の沿線住民にとってもメリットがあります。
成田空港拡張との連動
C滑走路新設で利用者急増へ
成田空港では、B滑走路の南側に3,500メートルのC滑走路を新設する工事が進められています。2029年3月31日の供用開始を予定しており、これに合わせてB滑走路も現在の2,500メートルから3,500メートルへ延伸されます。
敷地面積は現在の約1,198ヘクタールから約2,297ヘクタールへとほぼ倍増し、年間発着回数は最大50万回に拡大します。空港拡張に伴い、利用旅客数も大幅な増加が見込まれています。
インバウンド需要の拡大
訪日外国人旅行者数の増加も、鉄道アクセス強化の重要な背景です。成田空港は日本の国際線の主要玄関口であり、空港拡張後はさらに多くの国際線が就航する見込みです。スカイライナーはインバウンド観光客にとっても主要な都心アクセス手段であり、輸送力の拡大は不可欠です。
新型有料特急の投入
京成電鉄は2028年度から、押上線経由で成田空港に向かう新型有料特急の運行を開始する予定です。車両デザインの一部がすでに公開されており、スカイライナーの青とは異なるマゼンタピンクのカラーリングが特徴です。
新型有料特急は押上駅を起点とし、都営浅草線や京急線との接続により、東京駅や品川方面からの空港アクセスが大幅に向上します。押上―空港第2ビル間は現行のアクセス特急の50分台から最速30分台前半へ短縮され、複々線化が実現すればさらに20分台後半まで短くなる見通しです。
注意点・展望
実現までの課題
京成電鉄は、この複々線化計画には大規模な投資が必要であり、投資回収には長期間を要すると説明しています。実現に向けては、国、千葉県、成田国際空港株式会社(NAA)などの関係者との間で、整備手法や費用分担について協議・調整を進めていく必要があります。
鉄道の大規模インフラ整備は、用地取得や環境アセスメントなどに時間がかかるため、具体的な着工時期や完成時期はまだ明らかになっていません。
北総線の運賃問題との関係
複々線化の対象区間は北総鉄道と共用する区間です。北総線は建設費の借入金返済が運賃に反映され、「日本一運賃が高い鉄道」として知られてきました。近年は累積損失の解消に伴い値下げが実現しましたが、複々線化に伴う新たな費用負担が沿線の運賃にどう影響するかは注目点です。
競合交通機関との比較
成田空港へのアクセス手段としては、JR東日本の成田エクスプレスやリムジンバスとの競争があります。所要時間が20分台後半にまで短縮されれば、スカイライナーの優位性はさらに高まることになります。
まとめ
京成電鉄による成田スカイアクセス線の複々線化検討は、2029年の成田空港C滑走路供用開始を見据えた、中長期的な輸送力強化策です。有料特急の時速160キロ運転による所要時間短縮と、運行本数の増加が大きな柱となっています。
大規模な投資と関係者間の調整が必要なプロジェクトではありますが、インバウンド需要の拡大や空港機能の強化と連動した重要な計画です。今後の具体的なスケジュールや費用分担の協議の行方に注目が集まります。
参考資料:
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