前橋市長選で小川晶氏が再選|ホテル問題から出直し選挙で勝利
はじめに
2026年1月12日、群馬県前橋市長選挙が投開票され、無所属前職の小川晶氏(43歳)が再選を果たしました。小川氏は2025年9月に発覚した市職員とのホテル面会問題で11月に辞職し、この出直し選挙に臨んでいました。
自民党系国会議員や山本一太群馬県知事の支援を受けた弁護士・丸山彬氏(40歳)ら4人の新人候補を相手に、小川氏は約1万票の差をつけて勝利しました。投票率は47.32%と、前回選挙を約8ポイント上回りました。
本記事では、小川氏の再選に至る経緯、選挙戦の構図、そして今後の前橋市政の展望について解説します。
ホテル面会問題の経緯
問題の発覚
2025年9月24日、NEWSポストセブン(電子版)が小川市長に関するスクープを報じました。記事によると、小川氏は既婚の男性部下と複数回にわたりラブホテルを訪れていたとされています。
同日の記者会見で小川氏は、ホテルに行ったこと自体は認めた上で「場所が極めて不適切だった」と謝罪しました。一方で「男女の関係はありません」とし、当該職員には「公私にわたる相談に乗ってもらっていました」と釈明しました。
小川氏によると、2025年2月頃から10回以上、この男性職員と相談のためにホテルで面会していたとのことです。
続投表明から辞職へ
問題発覚後、小川氏は当初、市長職の続投を表明していました。市議全員に説明する場を2回設け、市民との対話集会も2回開催し、続投への理解を求めました。
しかし、辞職を求める声は収まりませんでした。市議会の8割に当たる7会派は11月13日、辞職しない場合は不信任決議案を提出すると申し入れました。不信任案が可決されれば、市長失職か議会解散を選ぶことになります。
不信任案可決の可能性が高まる中、小川氏は11月25日に富田公隆議長に辞職の意向を伝えました。11月27日付で正式に市長を辞職し、1期目の任期を2年以上残して退きました。
関係職員への処分
小川氏とホテルで面会した男性職員に対しては、停職6か月の懲戒処分が下されました。市は、この問題で市の業務を妨害し、市民の信頼を損なったとして処分を決定。当該職員は2025年12月末に依願退職しました。
前橋市長選挙の構図
候補者の顔ぶれ
今回の前橋市長選には5人が立候補しました。
小川晶氏は無所属の前職として、「市政の継続」と「改革の継続」を訴えました。立憲民主党と国民民主党の市議らから支援を受け、草の根選挙を展開しました。
最大の対抗馬となった丸山彬氏は、弁護士で無所属新人。「前橋の信頼回復」を掲げ、自民党系の市議会2会派や山本一太群馬県知事らの支援を受けました。子育て支援や経済政策などを訴え、保守層の結集を図りました。
このほか、店橋世津子氏、高橋聡哉氏、海老根篤氏が新人として立候補しました。
選挙戦のポイント
選挙戦の最大の争点は、小川氏のホテル問題に対する市民の評価でした。丸山陣営は「信頼回復」を前面に打ち出し、小川氏の問題を追及する姿勢を見せました。
一方、小川氏は選挙戦初日の第一声で問題について謝罪し、「お騒がせしました」と陳謝。その上で、給食無償化などの実績をアピールし、市政継続を訴えました。支援者からは大きな拍手が送られ、選挙戦の序盤から好感触を得ていました。
選挙結果と分析
開票結果
開票の結果、小川氏が62,893票を獲得し、52,706票の丸山氏に約1万票の差をつけて再選を果たしました。
- 小川晶:62,893票(当選)
- 丸山彬:52,706票
- 店橋世津子:8,150票
- 高橋聡哉:2,100票
- 海老根篤:495票
投票率は47.32%で、2024年2月の前回選(39.39%)を7.93ポイント上回りました。ホテル問題への関心の高さを反映し、多くの市民が投票所に足を運びました。
勝因の分析
小川氏の勝因としては、まず市長在任1年9か月の実績が評価されたことが挙げられます。特に、公約に掲げていた小中学校の給食無償化を実現したことは、子育て世代を中心に支持を集めました。
また、小川氏は保守層の一部も取り込むことに成功しました。2024年の初当選時は自公推薦の現職を破る「保守王国・群馬」での番狂わせでしたが、今回は立憲民主・国民民主系に加え、無党派層や保守層の一部からも支持を得ました。
丸山陣営からは「知名度不足が響いた」との声が上がりました。丸山氏自身も落選後、「熱量が足りなかった」とコメントしています。
小川晶氏のプロフィール
経歴
小川晶氏は1982年12月21日、千葉県匝瑳市に生まれました。中央大学法学部に進学し、在学中の2005年に司法試験に合格。2006年に卒業後、24歳で司法修習生として前橋市に移住しました。
2007年に弁護士登録を行い、前橋市内の法律事務所で弁護士として活動を始めました。弁護士としての経験を活かし、2011年に28歳で群馬県議会議員選挙に初当選。その後4期にわたり県議を務めました。
2024年2月の前橋市長選に無所属で出馬し、自公推薦の現職・山本龍氏を破って初当選。1892年の市制施行以来初の女性市長となり、41歳での当選は戦後最年少でした。
主な政策
小川氏が掲げてきた主な政策には以下があります。
子育て支援では、学校給食の無料化と地産地消の推進、こども基本条例の制定、保育料の負担軽減などを進めてきました。教育分野では教員の多忙化解消に取り組んでいます。
経済・雇用政策では、若者・障害者の雇用促進、市内企業への優先発注の徹底、農業・林業への支援強化を掲げています。
今後の展望と注意点
信頼回復への課題
再選を果たした小川氏ですが、市民の信頼を完全に回復したとは言い切れません。今回の選挙で小川氏に投票しなかった市民も多く、市政運営にあたっては丁寧な説明と透明性の確保が求められます。
また、市議会との関係も課題です。不信任決議案を提出しようとした7会派との関係をどう修復していくかが、今後の市政運営の鍵となります。
任期と課題
小川氏の任期は、1期目の残りに当たる2028年2月27日までとなります。約2年間の任期で、給食無償化の継続や子育て支援策のさらなる充実、中心市街地の再開発など、山積する課題に取り組む必要があります。
まとめ
前橋市長選で小川晶氏が再選を果たしました。ホテル面会問題で辞職するという逆風の中、約1万票差で保守系候補を退けたことは、市長在任中の実績が一定の評価を受けた結果といえます。
ただし、市民や市議会との信頼関係の修復は道半ばです。残り約2年の任期で、政策実現と信頼回復の両方に取り組むことが求められます。今後の前橋市政の行方に注目が集まります。
参考資料:
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