三菱重工株が大幅反発、対米投融資で防衛・エネルギーに注目
はじめに
2026年2月18日の東京株式市場で、日経平均株価が5営業日ぶりに反発しました。終値は前日比577円35銭(1.02%)高の5万7143円84銭です。特に注目を集めたのが三菱重工業の株価で、前日比165円(3.42%)高の4,985円と大幅に反発しました。
この上昇の背景には、日本の対米投融資「第1弾」の発表と、第2次高市早苗内閣の発足による積極財政への期待があります。この記事では、市場を動かした複数の要因と、三菱重工が特に買われた理由を詳しく解説します。
対米投融資「第1弾」が市場に与えたインパクト
5.5兆円規模の3プロジェクト始動
トランプ大統領は2月17日(米国時間)、日本が約束した5500億ドル(約84兆円)規模の対米投融資の「第1弾」として3つのプロジェクトを発表しました。事業規模は計360億ドル(約5兆5000億円)に達します。
具体的には、オハイオ州での9.2ギガワット規模のガス火力発電プロジェクト(約5.1兆円)、テキサス州の原油積み出し港(約3200億円)、ジョージア州の人工ダイヤモンド製造事業(約920億円)の3つです。トランプ大統領は「日米にとって歴史的な瞬間だ」とコメントしています。
三菱重工にとっての追い風
特にガス火力発電プロジェクトは、三菱重工にとって大きな追い風です。三菱重工は世界有数の大型ガスタービンメーカーであり、米国や中東市場を中心に大型ガスタービン計25台を受注するなど、エナジー部門は好調を続けています。
AI向けデータセンターの急増に伴い、電力需要が世界的に拡大しています。ガス火力発電はその受け皿として有力な選択肢であり、三菱重工のガスタービン事業への期待が株価を押し上げました。ソフトバンクグループや日立、東芝など16社以上が参画に関心を示しており、今後のプロジェクト具体化に伴う受注拡大への期待も高まっています。
第2次高市内閣の発足と市場の反応
積極財政路線が鮮明に
2月18日に召集された特別国会で、高市早苗氏が第105代首相に選出され、第2次高市内閣が発足しました。高市首相は記者会見で「重要な政策転換の本丸は責任ある積極財政だ」と強調し、官民協調で投資を大胆に促す方針を示しました。
2026年度予算案は過去最大の122.3兆円規模となり、前年度比6.2%増の積極的な財政出動が計画されています。財務大臣に片山さつき氏、成長戦略担当に城内実氏を起用するなど、積極財政路線を推進する布陣が敷かれました。
「政策に売りなし」の相場格言
市場では「政策に売りなし」の相場格言通り、積極的な財政出動と日米関係強化に期待した買いが広がりました。防衛予算の増額方針も三菱重工やIHI、川崎重工業といった防衛関連銘柄への買いを後押ししています。
三菱重工の好業績が裏付ける成長期待
ガスタービンと防衛で過去最高益更新へ
三菱重工の2026年3月期の連結事業利益は、前年比9.6%増の4,200億円と過去最高益を更新する見通しです。売上収益は5兆4,000億円を予想しており、エナジー部門と防衛・宇宙部門がけん引役です。
エナジー部門は前期比1.9%増の1兆8,500億円、航空・防衛・宇宙部門は前期比31.0%増の1兆3,500億円と大幅な成長が見込まれています。ガスタービンの受注高は過去最高を更新し、1兆4,744億円に達しました。
AI・防衛銘柄への変貌
三菱重工は従来の重工メーカーのイメージから、AI関連の電力需要と防衛需要の両方を取り込む成長銘柄へと変貌を遂げています。時価総額は初めて10兆円を突破し、投資家からの注目度は格段に高まっています。
注意点・展望
対米投融資の行方に注意
第1弾は5.5兆円規模ですが、約束した総額は84兆円に及びます。今後のプロジェクト具体化の進捗によっては、関連銘柄の株価に大きな影響を与える可能性があります。一方で、プロジェクトの遅延や規模縮小のリスクにも注意が必要です。
積極財政による金利上昇リスクも市場は警戒しています。財政出動が景気を刺激する一方、国債増発による長期金利の上昇が企業の調達コストを押し上げる可能性があります。過去最大規模の予算案が財政規律との両立をどう実現するかは、今後の市場の焦点となります。
まとめ
2月18日の株式市場の反発は、対米投融資第1弾の発表と第2次高市内閣の発足という2つの大きなカタリストが重なった結果です。三菱重工はガスタービン事業と防衛事業の成長性が改めて評価され、大幅高となりました。
投資家にとっては、対米投融資の具体化の進捗、積極財政路線の持続性、そして金利動向の3点が今後の注目ポイントです。好業績の裏付けがある銘柄を中心に、日本株市場は引き続き堅調な展開が期待されます。
参考資料:
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