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by nicoxz

野村証券がM&A助言首位に返り咲き、2025年の大型再編を総覧

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はじめに

2025年の日本M&A市場は、件数・金額ともに過去最高を更新する記録的な1年となりました。英LSEGが集計するM&A助言ランキング(リーグテーブル)では、野村証券が2年ぶりに首位へ返り咲いています。豊田自動織機の株式非公開化やソニーフィナンシャルグループ(FG)のパーシャル・スピンオフなど、1兆円を超える大型グループ再編案件を複数獲得したことが大きな要因です。

本記事では、2025年のリーグテーブルの全体像と野村証券が首位に立った背景、さらに日本のM&A市場を動かした主要案件の中身を詳しく解説します。

2025年リーグテーブルの全体像と野村証券の躍進

野村証券が23兆円超で首位奪還

LSEGのデータに基づく2025年通年のM&A助言ランキングでは、野村証券が助言した取引の合計額が23兆円を超え、史上最高額を記録しました。前年は三菱UFJモルガン・スタンレー証券に首位を明け渡していましたが、2年ぶりのトップ返り咲きとなっています。

2025年上半期(1〜6月)の時点で、野村証券は約13兆1,796億円、シェア49%という圧倒的な数字を叩き出しており、年間を通じてその優位を維持しました。5,000億円を超える大型案件だけで5件に関与しており、案件の「質」と「量」の両面で他社を凌駕した格好です。

2位以下の顔ぶれと勢力図の変化

2位には米ゴールドマン・サックスが入りました。前年は7位でしたが、大型案件への関与で大幅にランクを上げています。上半期の時点では2位が三菱UFJモルガン・スタンレー証券、3位がSMBC日興証券という構成で、日系3社がトップ3を独占する珍しい年となりました。

リーグテーブルは、助言を務めたM&Aの取引額の合計で順位を決定します。1件の超大型案件が順位を大きく左右するため、年によって顔ぶれが変動しやすい特徴があります。2025年は日系証券が国内の大型グループ再編を多数獲得したことで、外資系を押さえる結果となりました。

過去最高を更新した日本M&A市場

2025年の日本関連M&A取引は件数ベースで5,116件、金額ベースで約59兆4,900億円に達し、1998年の集計開始以来の過去最高を記録しました。国内に限っても取引件数は1,344件と5年連続で過去最多を更新し、取引総額は前年比約94%増の20兆円超と、武田薬品によるシャイアー買収があった2018年以来7年ぶりの最高額です。

こうした市場全体の活況が、リーグテーブル各社の取扱高を押し上げる追い風となっています。

首位を支えた大型案件の全貌

豊田自動織機の非公開化(約4.7兆円)

2025年のM&A市場で最大のインパクトを与えたのが、トヨタグループによる豊田自動織機の株式非公開化です。2025年6月に発表された買収総額は約4兆7,000億円に上り、日本のM&A史上でも屈指の規模となりました。

スキームの中核を担うのは特別目的会社(SPC)で、議決権の99.5%をトヨタ不動産が保有します。トヨタ自動車は議決権のない優先株で約7,000億円を出資し、豊田章男会長も個人で10億円を拠出しました。資金の約2兆800億円は銀行借り入れで賄われています。

TOB価格は当初1株1万6,300円でしたが、市場株価の上昇を受けて1万8,800円に引き上げられました。豊田自動織機はフォークリフトなど物流機器の自動運転技術や環境性能に優れたパワートレインの開発を加速するため、短期的な株式市場の評価にとらわれない経営を目指すとしています。TOB期間は2026年3月2日まで延長されています。

ソニーFGのパーシャル・スピンオフ

もう一つの注目案件が、ソニーグループによるソニーフィナンシャルグループ(FG)の分離です。2025年10月1日を効力発生日として、子会社であるソニーFGの株式の一部を現物配当により株主に分配する「パーシャル・スピンオフ」が実施されました。

これは日本国内で初めての事例です。ソニーグループの株主は、1株につきソニーFG株式1株を受け取り、ソニーFGは2025年9月29日にダイレクトリスティング方式で東京証券取引所に上場しました。パーシャル・スピンオフは完全に資本関係を断つのではなく、親会社が一部の株式を保持し続ける点が特徴です。

NTTデータグループの完全子会社化(約2.3兆円)

NTTによるNTTデータグループの完全子会社化も、野村証券が関与した大型案件の一つです。2025年5月に発表された投資額は約2兆3,700億円で、少数株主が保有する約42%の株式をTOBで取得しました。TOB価格は1株4,000円で、前日終値に対して約34%のプレミアムが付けられています。

NTTデータグループは2025年9月26日に東京証券取引所を上退場し、同月30日に完全子会社化が完了しました。国内最大のITサービス企業として、AWSやMicrosoftなど海外大手との競争力を高めることが狙いです。

ベインキャピタルによる田辺三菱製薬の買収(約5,100億円)

米ベインキャピタルによる田辺三菱製薬の買収も、5,000億円超の大型案件として注目を集めました。2025年2月に合意が発表され、三菱ケミカルグループから全株式が約5,100億円で譲渡されています。2025年7月に取引が完了し、同年12月1日には商号を「田辺ファーマ株式会社」に変更しました。

ベインキャピタルは、田辺三菱が持つ難病領域やワクチンでの実績を評価しつつ、グローバル展開の余地が大きい点に成長の可能性を見出しています。

注意点・今後の展望

非公開化・MBOトレンドの持続性

2025年のMBO発表件数は11月末時点で過去最高の28件に達しました。東京証券取引所による資本効率改善の要請や、アクティビスト投資家の圧力が背景にあります。ただし、非公開化はTOB価格の妥当性や少数株主の保護といった論点を伴います。豊田自動織機のケースでもアジアの投資家団体がTOB価格の透明性確保を求める声明を出しており、今後の案件でも同様の議論が続く可能性があります。

2026年のリーグテーブル争い

2025年は日系証券がトップ3を独占する異例の年でしたが、これは国内大型案件が集中した特殊要因が大きいです。クロスボーダー案件が増加すれば、外資系投資銀行が再び上位に返り咲くことも十分に考えられます。ゴールドマン・サックスが前年の7位から2位へ急浮上したように、1件の超大型案件がランキングを大きく動かす構造は変わりません。

まとめ

2025年のM&A助言リーグテーブルでは、野村証券が23兆円超という史上最高額で2年ぶりに首位を奪還しました。豊田自動織機の非公開化(約4.7兆円)、ソニーFGのパーシャル・スピンオフ、NTTデータグループの完全子会社化(約2.3兆円)といった1兆円超の大型グループ再編案件が首位の原動力です。

日本のM&A市場全体も件数・金額ともに過去最高を更新し、非公開化やMBOの加速、投資ファンドの存在感拡大といった構造的な変化が進んでいます。2026年以降もこのトレンドが続くかどうか、リーグテーブルの動向から目が離せません。

参考資料:

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