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by nicoxz

NOT A HOTELが世界的建築家と築く新たな宿泊体験

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はじめに

「シェア別荘」という新しい概念で注目を集めるNOT A HOTELが、世界的に著名な建築家たちとのプロジェクトを次々と展開しています。藤本壮介、ビャルケ・インゲルス(BIG)、ジャン・ヌーヴェル、ザハ・ハディド・アーキテクツ、スノヘッタなど、建築界のトップランナーが名を連ねるラインナップは圧巻です。

これらの独創的なプロジェクトを陰で支えているのが、社内の設計・開発チーム「NOT A HOTEL ARCHITECTS」です。用地探しから設計、施設の運用までを一貫して担い、ブランドの世界観を守り続けています。本記事では、NOT A HOTELが建築家と築く世界観と、それを支えるインハウスチームの実態に迫ります。

NOT A HOTELとは何か

従来のホテルでも別荘でもないモデル

NOT A HOTELは、2020年にZOZOグループ出身の濱渦伸次氏が創業した企業です。「ホテルではない」という社名が示す通り、従来のホテルとも別荘とも異なる新しい宿泊・居住体験を提供しています。

ビジネスモデルの核心は「所有権のシェア」にあります。1つの物件の年間利用権を12分割し、12人のオーナーがそれぞれ月単位で利用できる仕組みです。オーナーが使わない期間はホテルとして一般客に提供され、その収益がオーナーに還元されます。物件は建設前に完成予想図をもとに販売され、コストが回収できた段階で建設を開始するため、事業リスクが抑えられています。

急成長するプラットフォーム

2025年までに累計売上は約3億7200万ドル(約570億円)に達し、アクティブオーナーは1000人を超えました。短期賃貸のAirbnbモデルが規制強化や品質のばらつきで課題を抱える中、NOT A HOTELは「建築の品質」と「管理された体験」で差別化を図っています。

国際的な建築メディアDomusは、NOT A HOTELを「建築をインフラとして活用し、テクノロジーをOSとし、社会変革を土壌とするハイブリッドシステム」と評しています。所有の概念をサービスへと転換し、住まいをモバイルな資源として捉えるアプローチは、不動産業界に新しい可能性を示しています。

世界的建築家たちとのコラボレーション

藤本壮介 × NOT A HOTEL ISHIGAKI

藤本壮介氏が手がけるNOT A HOTEL ISHIGAKIは、石垣空港近くの約3000坪の敷地に建設される、NOT A HOTEL史上最大のプロジェクトです。藤本氏は2025年の大阪・関西万博の「大屋根リング」を設計したことでも知られ、自然と建築の境界を曖昧にする作風が特徴です。

石垣島の亜熱帯の自然環境と融合する建築は、NOT A HOTELが目指す「風景を残す建築」の思想を体現するものとなっています。

BIG(ビャルケ・インゲルス)× NOT A HOTEL SETOUCHI

デンマークの建築家ビャルケ・インゲルスが率いるBIGは、瀬戸内海の小島にNOT A HOTEL SETOUCHIを設計しています。BIGはニューヨークの超高層ビルやコペンハーゲンの廃棄物処理施設の屋上にスキー場を設置するなど、大胆な発想で知られる建築事務所です。

瀬戸内海の穏やかな景観と、BIG特有のダイナミックなデザインの融合は、世界の建築ファンからも注目を集めています。

ジャン・ヌーヴェル × NOT A HOTEL 屋久島

フランスの建築家ジャン・ヌーヴェルは、世界自然遺産・屋久島でのプロジェクトを手がけています。ヌーヴェルはアラブ世界研究所やルーヴル・アブダビなどの代表作で知られるプリツカー賞受賞者です。屋久島の神秘的な自然環境に呼応する建築が期待されています。

ザハ・ハディド・アーキテクツ × NOT A HOTEL 沖縄

2025年末に発表されたNOT A HOTELの新ブランドライン「vertex」の第1号プロジェクトとして、ザハ・ハディド・アーキテクツが沖縄でのリゾート設計を担当しています。階段状の海岸沿いリトリートは、故ザハ・ハディド氏のDNAを受け継ぐ流動的なデザインが特徴です。

NOT A HOTEL ARCHITECTSの役割

インハウスチームの5つの機能

作家性も手法も異なる世界的建築家たちのプロジェクトを束ねるのが、社内設計チーム「NOT A HOTEL ARCHITECTS」です。このチームは大きく5つの機能を持っています。

第一に「デザイン品質管理」です。機能性、性能、宿泊体験に関わるデザイン品質を全拠点にわたって統括します。設計テイストが異なる建築家のプロジェクトであっても、NOT A HOTELの世界観と価値基準は一貫して守られなければなりません。

第二に「3Dビジュアライゼーション」です。設計段階から建築家と密接に連携し、3Dモデリングとレンダリングで空間のイメージを検証します。販売前の完成予想図の品質は、ビジネスモデルの根幹に関わる重要な要素です。

用地探しから運用まで一気通貫

第三の機能は「建築設計・体験創造」です。ゼロベースのデザイン創出から、世界的建築家とのコラボレーション、さらにはモビリティや都市計画にまで関わるプロジェクトまで、幅広い領域をカバーしています。

第四に「エンジニアリングマネジメント」があります。複数プロジェクトの設計事務所や施工会社を横断的に調整し、設備設計・構造設計の監修を担います。品質と技術の両面から建物を支える役割です。

第五に「ファシリティ管理」です。完成した施設の美しさと快適さを維持するため、日常のメンテナンスからトラブルシューティングまでを担当します。建築の価値を長期的に保つための重要な機能です。

注意点・展望

建築家ブランドに依存するリスク

NOT A HOTELのビジネスモデルは、著名建築家の名前がブランド価値の重要な構成要素となっています。これは強みであると同時に、建築家個人への依存というリスクも孕んでいます。プロジェクトの増加に伴い、各建築家のコミットメントの度合いや、インハウスチームとの連携の質を維持することが課題になり得ます。

また、建築の品質が高いほど建設コストも増大するため、オーナーへの投資リターンとのバランスも注視が必要です。

「建築×テクノロジー」の拡大

NOT A HOTELは今後、「HERITAGE」と「vertex」という2つの新ブランドラインを展開する計画です。HERITAGEは歴史的建造物の再生、vertexは先鋭的な建築デザインに特化したラインで、建築を軸にした事業の幅を広げています。

スノヘッタやザハ・ハディド・アーキテクツといった新たな建築家との協業も進んでおり、日本発の建築ホスピタリティプラットフォームとして国際的な注目度はさらに高まっています。

まとめ

NOT A HOTELは、世界的建築家のデザイン力とインハウスチームの実行力を組み合わせることで、従来のホテルや別荘にはない宿泊体験を創出しています。藤本壮介、BIG、ジャン・ヌーヴェル、ザハ・ハディド・アーキテクツなど、錚々たる建築家の参画は、NOT A HOTELの目指す世界観の高さを象徴しています。

その実現を支えるNOT A HOTEL ARCHITECTSは、デザイン品質管理からファシリティ管理まで一気通貫で担う、建築ホスピタリティの新しいチーム像です。建築を「消費される空間」ではなく「価値を生み続ける資産」として捉えるこのモデルが、今後の不動産・宿泊業界にどのような影響を与えるか、注目が集まります。

参考資料:

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