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by nicoxz

NTT西日本が第2のコミックシーモアを模索、本業危機感が原動力

by nicoxz
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はじめに

NTT西日本が、電子コミック配信サービス「コミックシーモア」に続く高収益の新規事業を本格的に模索しています。200人近い新規事業担当者を擁し、これまで10社程度の子会社を生み出してきた同社の取り組みの背景にあるのは、1999年のNTT東西分離以来共有されてきた「本業はもうからない」という危機感です。

固定通信事業の縮小が避けられない中、通信インフラの巨人がいかにして新たな収益の柱を打ち立てようとしているのか。その戦略と成果を検証します。

コミックシーモアという成功モデル

売上高812億円、国内電子書籍1位

NTT西日本グループの新規事業における最大の成功事例が、NTTソルマーレが運営する電子コミック配信サービス「コミックシーモア」です。2024年3月期の売上高は812億円に達し、国内電子書籍事業者として1位の座を確立しました。11期連続の増益という安定した成長も特筆に値します。

140万冊以上の作品を配信し、月間利用者数は4,000万人を超えます。国内の電子コミック市場規模5,647億円に対して約14%のシェアを持ち、韓国のカカオ傘下「ピッコマ」と並ぶ業界の巨頭です。

通信会社がなぜコミック事業に

コミックシーモアの起源は、NTT西日本グループが通信事業以外の収益源を模索する中で生まれました。2004年にサービスを開始した当時は、ガラケー(フィーチャーフォン)向けの電子コミック配信が主力でした。

携帯電話ユーザーの「待ち時間に漫画を読みたい」というニーズを的確に捉え、スマートフォンの普及とともに事業を急拡大させました。販売データを活用した「刺さる漫画制作」にも取り組み、コンテンツの差別化を図っています。近年はオリジナルコミックのショートドラマ化にも乗り出し、原作コミックの売上が過去最高の2.3倍を記録するなど、新たな展開を見せています。

NTT西日本の新規事業戦略

「本業はもうからない」という危機感

NTT西日本の新規事業への取り組みは、1999年のNTT東西分離に端を発します。固定電話事業を主力とする地域会社として分離されたNTT西日本では、「いずれ減収することが分かっている」という共通認識が早くから形成されていました。

固定電話の加入者数は、携帯電話やスマートフォンの普及に伴い年々減少を続けています。NTT西日本は2035年をめどにメタル回線(銅線)ベースの固定電話サービスを光回線やモバイル回線へ移行する方針を示しており、従来型の通信事業だけでは将来の成長が見込めないことは明白です。

この危機感が、「フレッツ光の次のコアビジネスをつくらなければ」という新規事業創出の原動力となっています。

200人体制で10社の子会社を創出

NTT西日本では200人近い社員が新規事業の開発に携わっています。これまでに10社程度の子会社を生み出しており、コミックシーモアを運営するNTTソルマーレはその代表格です。

新規事業の分野は多岐にわたります。ICTやIoT関連のサービスに加え、農業、健康、エネルギーといった地域産業の活性化にも注力しています。NTT東日本とNTT西日本は、2025年度をめどに新領域のビジネスの売上高比率を5割程度まで高めていく目標を掲げています。

クイントブリッジによるオープンイノベーション

NTT西日本が新規事業創出の拠点として2022年に開設したのが、大阪京橋のオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)」です。2025年3月に開業3周年を迎え、累計115件の共創事例を生み出しています。

個人会員は約2万5,000人、法人会員は1,895組織にまで拡大しました。企業、スタートアップ、自治体、大学などが集う共創空間として、事業共創と人材育成の両面を支援しています。

特にスタートアップとの連携に力を入れており、NTT西日本グループのアセット(通信インフラ、顧客基盤、ブランド力など)とスタートアップのプロダクトを掛け合わせる「出資確約型事業共創プログラム」を展開。最大500万円の出資を通じて、共創の加速を図っています。

「第2のコミックシーモア」への課題

成功の再現性

コミックシーモアの成功は、通信会社がコンテンツビジネスで大きな成果を上げられることを証明しました。しかし、その成功を別の分野で再現できるかどうかは未知数です。

電子コミック市場はスマートフォンの普及という巨大なトレンドに乗ることができましたが、次の「波」を見つけ出すには先見性と投資判断の的確さが求められます。10社の子会社のうち、コミックシーモアに匹敵する規模に成長した事業はまだありません。

大企業のイノベーションジレンマ

NTT西日本のような大企業が新規事業を育てる際に直面するのが、「イノベーションのジレンマ」です。既存事業の収益性やプロセスに最適化された組織は、不確実性の高い新規事業に対して保守的になりがちです。

200人の専任体制やクイントブリッジの設立は、この課題に対する組織的な回答といえます。既存事業から一定の距離を置いた環境で、スタートアップ的なスピード感を持って事業を育てる仕組みづくりが進んでいます。

通信事業者としての強みの活かし方

NTT西日本が持つ最大のアセットは、西日本エリアをカバーする通信インフラと、企業や自治体との深い関係性です。この強みを新規事業にどう活かすかが、成否を分ける鍵となります。

地域の中小企業や自治体のDX支援は、NTT西日本ならではの新規事業領域です。通信インフラとICTサービスを組み合わせたソリューション提供は、他のスタートアップには真似しにくい差別化要因になりえます。

まとめ

NTT西日本の新規事業戦略は、「本業はもうからない」という危機感から生まれた取り組みです。コミックシーモアという812億円規模の成功事例を持ちながらも、次の柱となる事業の確立はこれからの課題です。

200人体制の新規事業チーム、クイントブリッジを核としたオープンイノベーション、スタートアップへの出資プログラムなど、仕組みづくりは着実に進んでいます。通信事業の縮小が進む中、固定電話の時代から培ってきた顧客基盤とインフラをいかに次世代のビジネスに転換できるか。NTT西日本の挑戦は、日本の通信事業者全体の将来を占う試金石でもあります。

参考資料:

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