ピーチが嵐ツアーに深夜臨時便を運航へ
はじめに
格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションが、アイドルグループ「嵐」のラストツアー札幌公演に合わせた深夜臨時便の運航を発表しました。2026年3月13日から16日にかけて、関西国際空港と新千歳空港を結ぶ特別便を設定します。
嵐のラストツアーは2025年11月に日程が発表されて以降、開催地の宿泊施設の価格高騰が社会問題化しています。特に札幌公演は北海道大学の後期入試日程と重なることから、受験生への影響も懸念されてきました。こうした状況を受けて、航空会社が異例の対応に踏み切った形です。
この記事では、ピーチの臨時便運航の詳細と、その背景にある宿泊難民問題、さらにJR北海道の対応策についても解説します。
深夜臨時便の運航スケジュール
往路便(関空発)
ピーチは3月13日、14日、15日の3日間、関西国際空港発・新千歳空港行きの臨時便「MM6119便」を運航します。出発時刻は午後8時35分で、新千歳空港には午後10時30分に到着する予定です。
この時間設定は、仕事を終えてから空港に向かうことを想定したものとみられます。通常のピーチ便よりも遅い時間帯の出発となっており、コンサート前夜に札幌入りするファンの需要に応えます。
復路便(新千歳発)
帰りの便「MM6102便」は、3月14日、15日、16日の深夜2時に新千歳空港を出発し、午前4時25分に関西国際空港に到着します。コンサート終了後、その日のうちに関西圏に戻ることが可能な時間帯です。
深夜発の便を利用すれば、札幌市内のホテルに宿泊せずにライブに参加できます。往復6便で合計約1,100席を用意しており、チケットは1月27日午前11時3分に発売されました。この「11時3分」という時刻は、嵐のデビュー日である11月3日にちなんだものです。
札幌のホテル価格高騰の実態
通常価格の数倍に跳ね上がる宿泊費
嵐のラストツアー日程が発表されて以降、札幌市内のホテル価格は急騰しています。札幌市西区にあるホテルでは、3月10日から11日のシングルルームが7,800円であるのに対し、13日からは5万2,000円と約6.7倍に上昇しています。
市中心部のホテルでは、通常2万円台の部屋が11万円台にまで高騰しているケースも報告されています。宿泊予約サイトで3月14日チェックイン、15日チェックアウトの日程を検索すると、予約可能な最安の部屋でも2万5,000円で、キャンセル不可の条件が付いている状態です。
宿泊難民問題の背景
札幌市によると、市内の宿泊施設の定員総数は約7万8,000人です。一方、札幌ドーム(大和ハウスプレミストドーム)の最大収容人数は約5万3,000人で、3日間の公演で延べ15万人前後が訪れる計算になります。
単純計算では宿泊可能に見えますが、観光客や出張客など通常の宿泊需要もあることから、コンサート来場者全員を収容することは困難です。このため「宿泊難民」が発生する事態が懸念されていました。
北海道大学入試への影響と対策
入試日程との重複
嵐のラストツアー札幌公演(3月13日〜15日)の前日である3月12日には、北海道大学の後期日程入試が実施されます。受験生が宿泊先を確保できないリスクが指摘され、松本洋平文部科学相が「落ち着いて受験の準備を進めてほしい」と呼びかける事態にまで発展しました。
実際に宿泊予約サイトでは、入試日程と重なる期間のホテルが軒並み高額化しており、受験生や保護者から不安の声が上がっていました。
救済措置の動き
こうした状況に対し、民間からの救済策も出てきています。有限会社恒志堂は、北海道大学および北海道教育大学札幌校の後期試験を受験する学生限定で、札幌市内にある13室を「合格応援価格」5,900円(税込)で提供することを決定しました。
また、北海道大学生協では、前年度の受験終了直後から取引先のホテルに次年度の受験生向けの部屋を確保しており、3月10日〜12日宿泊分についても一定数の部屋が押さえられているとのことです。
JR北海道も臨時特急を運行
コンサート後の帰宅手段を確保
航空会社だけでなく、JR北海道も嵐のコンサートに合わせた特別対応を実施します。2026年3月13日、14日、15日の3日間、札幌駅から旭川駅まで臨時特急列車「カムイ95号」と「ライラック97号」を運行します。
これらの臨時特急は、コンサート終了後の深夜時間帯に運行されるため、旭川方面に帰宅するファンや、旭川市内のホテルを利用するファンにとって貴重な交通手段となります。札幌市内のホテルが取れない場合の代替宿泊地として、旭川を選ぶ人も増えると予想されます。
交通インフラの連携
今回の事例は、大規模イベント開催時における交通インフラの柔軟な対応として注目されます。航空会社とJRがそれぞれ独自に臨時便・臨時列車を設定することで、ファンの移動手段の選択肢を広げています。
嵐ラストツアーの概要
「We are ARASHI」全国5大ドームツアー
嵐のラストツアー「ARASHI LIVE TOUR 2026『We are ARASHI』」は、2026年3月13日の札幌公演を皮切りに、全国5大ドームで全15公演が開催されます。会場は札幌ドーム、みずほPayPayドーム福岡、東京ドーム、バンテリンドームナゴヤ、京セラドーム大阪の5会場です。
ファイナル公演は2026年5月31日の東京ドームで行われ、グループとしての活動に幕を下ろします。無期限活動休止から約6年ぶりのライブとなることから、チケットの倍率は10倍から20倍以上になると予想されています。
チケットと入場システム
チケット料金は全席指定12,000円(税込)で、申込手数料900円が別途必要です。申込条件は「2025年6月2日以前にファンクラブに入会した有効会員」に限定されており、転売防止のため顔認証システムも導入されています。
また、ツアーに先立ち新曲『Five』が3月4日に配信リリースされることも発表されています。
今後の展望と注意点
他の公演地でも同様の問題が発生する可能性
札幌公演で顕在化した宿泊難民問題は、他の開催地でも起こりうる課題です。特に地方都市での公演では、宿泊施設のキャパシティがもともと限られているため、早めの予約確保が重要になります。
ファンとしては、航空会社やJRの臨時便情報を随時チェックし、宿泊せずに日帰りする選択肢も含めて柔軟に対応することが求められます。
航空会社の対応は今後の先例に
LCCがコンサートに合わせて深夜臨時便を運航するのは異例のことです。今回の対応が成功すれば、他の大規模イベントでも同様のサービスが提供される可能性があります。イベント主催者と交通事業者の連携が、今後のエンターテインメント業界における課題解決のモデルケースとなるかもしれません。
まとめ
ピーチ・アビエーションによる嵐ラストツアー札幌公演向けの深夜臨時便運航は、宿泊難民問題への具体的な解決策として注目されます。関西国際空港と新千歳空港を結ぶ往復6便で約1,100席を提供し、ホテルに泊まらずにライブに参加できる選択肢を生み出しました。
また、JR北海道の臨時特急運行と合わせて、交通インフラ全体でイベント需要に対応する姿勢が見られます。大規模イベント開催時の宿泊・交通問題は今後も発生しうる課題であり、今回の各社の取り組みは今後の参考事例となるでしょう。
参考資料:
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