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by nicoxz

中国の土地売却収入がピーク比半減、地方財政に深刻な打撃

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はじめに

中国の地方政府にとって重要な収入源である土地売却収入が、4年連続で減少しています。中国財政省が発表した2025年の財政収支によると、土地使用権の売却収入は前年比14.7%減の4兆1518億元(約92兆円)となりました。

これはピークを記録した2021年から52.3%の減少であり、不動産不況が地方財政に深刻な打撃を与え続けていることを示しています。かつて「土地財政」と呼ばれ、地方政府の成長エンジンとなってきた仕組みが崩壊しつつある中、中国経済は構造的な転換を迫られています。

本記事では、土地売却収入の減少がもたらす影響と、中国政府の対策、そして今後の見通しについて解説します。

土地売却収入の急減と「土地財政」の終焉

4年連続の減少が示す構造変化

中国では土地は国有制であり、地方政府が土地使用権を不動産開発企業に売却することで財源を確保してきました。この「土地財政」と呼ばれる仕組みは、2021年まで地方政府の主要な収入源として機能していました。

しかし、2022年以降の不動産市場の減速により、状況は一変しました。土地売却収入は2022年から減少に転じ、2023年、2024年、そして2025年と4年連続で前年を下回っています。2024年の減少率は16.0%、2025年は14.7%と、減少ペースはやや緩やかになったものの、回復の兆しは見えていません。

不動産市場の深刻な低迷

土地売却収入の減少は、不動産市場全体の落ち込みを反映しています。2025年の主要な不動産統計を見ると、全国不動産開発投資は前年比17.2%減、不動産開発企業の家屋施工面積は10.0%減、新規工事開始面積は20.4%減と、いずれも大幅な減少を記録しています。

不動産販売面積はピークだった2021年の半分まで縮小しました。波及効果も含めればGDPの25%を占めるとされた不動産セクターの大規模な調整は、中国の内需低調の最大要因となっています。

地方政府の「隠れ債務」問題

LGFVが抱える巨額債務

土地売却収入の減少は、地方政府の財政を直撃するだけでなく、「隠れ債務」問題を深刻化させています。地方政府融資平台(LGFV)と呼ばれる投資会社は、全国に1万社以上存在し、「暗黙の政府保証」を背景に債務を膨らませてきました。

国際通貨基金(IMF)の推計によれば、LGFVが抱える債務は過去5年でほぼ倍増し、2023年時点で約66兆元(約1,320兆円)に達しています。これは公表されている中央および地方政府債務(約69兆元)に迫る水準であり、実質的な政府債務は公式統計の約2倍に上る可能性があります。

償還ラッシュと金融リスク

LGFVが発行する債券は償還ラッシュを迎えており、2025年から2029年の5年間で累計約10兆元分の償還期限が到来する見込みです。土地売却収入が減少する中、返済原資の確保が困難になれば、デフォルト(債務不履行)のリスクが高まります。

特にLGFVを含む地方政府の負債率が高い地域として、浙江省、天津市、江蘇省、貴州省、重慶市が挙げられており、これらの地域では隠れ債務のリスクが相対的に高い状況にあります。

中央政府の対策と限界

10兆元規模の債務処理策

中央政府は地方政府の債務リスクに対処するため、大規模な支援策を打ち出しています。2024年11月に開催された全国人民代表大会常務委員会では、地方政府が抱える「隠れ債務」処理のため、今後5年間で10兆元を投じることが承認されました。

具体的には、LGFVの隠れ債務を地方政府の専項債券(特定目的債)に置き換えるため、2024年から2026年まで6兆元の地方政府債券発行枠が設置されています。これにより、高金利のLGFV債務を低金利の地方債に借り換え、当面の資金繰りを改善する狙いです。

根本的解決には程遠い現状

しかし、これらの措置は債務のデフォルトリスクを防止する効果はあるものの、債務そのものを削減するわけではありません。2023年末時点で公式に認定された「隠れ債務」は14.3兆元ですが、IMFの推計によるLGFV債務残高60兆元との差分である約47兆元は、依然としてLGFVの債務として残存しています。

地方債務問題は短期的に解消する性質のものではなく、置換債を活用した施策やLGFVの合併・再編は、あくまで当面の危機回避を主眼とした資金繰り対策に過ぎません。

不動産市場の回復見通し

2025年に底入れの兆し

不動産市場には一部で回復の兆しも見られます。2024年12月の住宅販売面積は前年比4.4%増となり、2か月連続で前年同月の水準を上回りました。北京や上海など大都市(一線都市)では、2024年の政府の政策を受けて住宅価格が底打ち上昇に転じています。

2025年前半には落ち込みに歯止めがかかり、習近平政権による大規模な支援策の実施により、不動産企業の経営不安は次第に後退すると見込まれています。

本格回復には長い道のり

ただし、回復のペースは緩やかにとどまる見通しです。二線都市では下げ止まりの兆しはみられるものの上昇には転じておらず、三線都市では依然として下落が続いています。

住宅価格の割高感と予約販売済み未完成物件の引き渡し問題が徐々に解消されることで、不動産販売は2026年以降に持ち直すと予想されていますが、在庫調整が完了し不動産投資が上向くまでには3年以上かかる公算が大きいとされています。政府が従来のような散発的な需要喚起策を続ける場合、住宅価格が上昇に転じるのは2028年になるとの分析もあります。

まとめ

中国の土地売却収入がピーク比で半減したことは、「土地財政」に依存してきた地方政府の成長モデルが転換点を迎えていることを示しています。LGFVの隠れ債務問題は依然として中国経済の重大なリスク要因であり、中央政府の10兆元規模の対策も根本的な解決策とはなっていません。

不動産市場は2025年に底入れの兆しを見せていますが、本格的な回復には数年を要する見通しです。中国経済が新たな成長エンジンを見出し、持続可能な財政構造を構築できるかどうかが、今後の注目点となります。日本を含む周辺国にとっても、中国経済の動向は引き続き注視が必要です。

参考資料:

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