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by nicoxz

ビットコイン7万ドル台急落、テック株売りが暗号資産に波及

by nicoxz
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はじめに

ビットコインが2026年2月3日、一時7万2000ドル台まで急落しました。これは2024年11月初旬以来、約1年3カ月ぶりの安値水準です。2025年10月に記録した12万6000ドル超の史上最高値からは、実に40%以上の下落となります。

この急落の背景には、米国のソフトウェア関連株を中心としたハイテク株の大幅な売りがあります。投資家のリスク回避姿勢が強まる中、暗号資産市場にも売りが波及しました。本記事では、ビットコイン急落の要因と、大量保有で知られるMicroStrategy(Strategy)社への影響を解説します。

ビットコイン急落の背景

テック株売りからの連鎖

2月3日の暗号資産市場の売りは、AI関連銘柄やソフトウェア株、プライベートエクイティ関連株の急落と歩調を合わせて進行しました。iShares Expanded Tech-Software Sector ETFは同日5%下落し、HubSpot、ServiceNow、Atlassian、Salesforce、Workdayなど主要ソフトウェア企業が軒並み52週安値を更新しました。

テック株とビットコインの相関性が高まっている背景には、両者が「リスク資産」として同じカテゴリーで認識されるようになったことがあります。機関投資家がリスクオフに動くと、株式と暗号資産が同時に売られる構図が定着しつつあります。

4カ月連続の下落という異例の展開

ビットコインは1月に約11%下落し、4カ月連続のマイナスを記録しました。これは2017年のICOバブル崩壊後の2018年以来、最長の連続下落です。1月の値動きを見ると、14日の高値9万7838ドルから月末の安値7万5993ドルまで、月内で22.3%もの下落幅となりました。

急落のきっかけとなったのは、米国とイランの地政学的緊張の高まりです。グローバル市場でリスクオフの動きが広がり、暗号資産市場でもレバレッジポジションの強制決済が連鎖しました。24時間で約1110億ドルの時価総額と、16億ドル相当のレバレッジポジションが消失したとされています。

ETFからの資金流出が示す機関投資家の撤退

記録的な資金流出

米国上場のビットコインETFは、2025年11月から12月にかけて過去最大規模となる45.7億ドルの純流出を記録しました。この期間、ビットコイン価格は20%下落しており、機関投資家の関心低下が顕著に表れています。

2026年1月30日には、ビットコインとイーサリアムのETFから1日で約10億ドルが流出。SoSoValueのデータによると、1月全体ではビットコインETFから16.1億ドルの純流出となりました。ビットコインとイーサリアムのETF両方から同時に資金が引き揚げられたことは、機関投資家が暗号資産全体へのエクスポージャーを縮小していることを示唆しています。

BlackRockのIBITからも大規模流出

機関投資家の動向で注目すべきは、BlackRockのiShares Bitcoin Trust(IBIT)からの資金流出です。1月には1日で8億1787万ドルもの流出を記録する場面がありました。世界最大の資産運用会社が運用するETFからの大規模流出は、市場心理の悪化を象徴しています。

MicroStrategyの含み損問題

平均取得単価を割り込む

大量のビットコインを保有することで知られるMicroStrategy(現Strategy)の状況も注目を集めています。同社は71万2647BTCを保有し、平均取得単価は約7万6037ドル。ビットコイン価格が7万5000ドルを割り込んだことで、同社の保有分は初めて含み損に転じ、その額は9億ドル以上に達しました。

同社の財務状況を見ると、82億ドル以上の転換社債と75億ドル以上の優先株を抱えています。年間の利息・配当支払いは7億7900万ドルに上り、財務負担は小さくありません。

強制売却リスクは限定的

ただし、同社に即座の強制売却リスクはないとの見方が有力です。保有する71万2647BTCは担保に入っておらず、転換社債の返済にも柔軟性があります。さらに、2025年12月に22.5億ドルの現金準備を確保しており、ビットコインを1枚も売却せずに21〜30カ月は利払いを継続できる「滑走路」を持っています。

マイケル・セイラー会長はビットコイン売却を否定しており、むしろ1月下旬にも2932BTCを追加購入しています。同社株(MSTR)は年初来で約4%下落、過去1年では56%下落していますが、これはビットコインのボラティリティが株価にレバレッジとして効いているためです。

注意点と今後の展望

さらなる下落シナリオ

弱気派の間では、3万ドル以下への下落を警告する声もあります。暗号資産アナリストのベン・コーエン氏は、株式市場との相関が強まれば、2026年夏にかけて1万〜2万ドルの安値を試す可能性にも言及しています。

オンチェーン分析プラットフォームGlassnodeは、8万ドル付近に12.5億ドル規模の「ショートガンマポケット」が存在すると指摘。この水準を明確に下抜けた場合、7万ドル台への下落リスクが高まると警告しています。

「クリプトウインター」入りの見方も

BitwiseのマットHougan氏は「これは調整ではなく、本格的なクリプトウインターだ」と発言。市場メーカーWincentのポール・ハワード氏も「2026年中にビットコインが史上最高値を更新することはないだろう」との見方を示しています。

一方で、機関投資家向け調査では、71%がビットコインを8万5000〜9万5000ドルの水準で「割安」と評価。さらなる下落があれば買い増す意向を示しています。連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに転じれば、ビットコインの価値再評価につながる可能性もあります。

まとめ

ビットコインの7万2000ドル台への急落は、テック株売りとの連鎖、地政学リスク、FRBの金融引き締め、ETFからの資金流出という複合要因によるものです。MicroStrategyの含み損も市場の不安材料となっていますが、同社の強制売却リスクは限定的とみられています。

短期的にはボラティリティの高い展開が続く可能性がありますが、機関投資家の多くは現在の水準を「割安」と見ています。投資判断にあたっては、FRBの金融政策や地政学リスクの動向を注視しつつ、自身のリスク許容度に応じた対応が求められます。

参考資料:

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