「ほぼインター」急増、英語で学ぶ私立校が人気の理由
はじめに
インターナショナルスクールではないのに、授業が英語で行われる私立学校が注目を集めています。「ほぼインター」と呼ばれるこれらの学校は、日本の学習指導要領に準拠した「一条校」でありながら、英語イマージョン教育を実施しています。
首都圏だけでも過去10年で10校以上が誕生し、受験者が殺到している状況です。費用はインターナショナルスクールの約4分の1。英語が話せない生徒にも門戸が開かれ、海外大学への進学実績も急増しています。本記事では、「ほぼインター」が人気を集める理由と、その教育の中身を解説します。
「ほぼインター」とは何か
一条校でありながら英語で授業
「ほぼインター」とは、学校教育法第1条に定められた正規の学校(一条校)でありながら、多くの授業を英語で行う私立学校のことです。一条校の認定を受けているため、卒業すれば日本の高校・大学への進学資格が得られます。
従来のインターナショナルスクールの多くは一条校ではないため、卒業しても日本の義務教育を修了したことにならず、公立校への編入が認められないケースがあります。「ほぼインター」はこの制度上の課題を解消しつつ、英語による質の高い教育を提供する新しい選択肢です。
インターの4分の1の費用
「ほぼインター」の最大の魅力の一つが費用面です。一般的なインターナショナルスクールの年間学費は200万〜400万円、中には年間600万円を超える学校もあります。中高6年間の総額では1,200万〜1,500万円に達します。
一方、「ほぼインター」の年間費用は約150万円程度で、一般的な私立中高一貫校と同水準です。中高6年間でも約600万円と、インターナショナルスクールの半分以下に抑えられます。国や自治体からの補助金を受けられる一条校であることが、費用を抑えられる理由です。
代表的な「ほぼインター」校
広尾学園:海外大学合格者数で全国トップ
広尾学園中学校・高等学校は「ほぼインター」の先駆けとも言える存在です。インターナショナルコースを含む3つのコースを設置し、英語教育に力を入れています。
特筆すべきは海外大学への進学実績です。2025年度の海外大学合格者数は361名で全国高校トップを記録しました。AP(Advanced Placement)プログラムで全13科目を開講し、中学課程を2年で修了、高校1年で高校課程の3年間分を完了することで、高校2年・3年をAP対策に集中できるカリキュラムを組んでいます。
三田国際学園:英語レベル別のきめ細かい指導
三田国際学園中学校・高等学校のインターナショナルクラスは約70人で構成され、英語レベルに応じてStandard、Intermediate、Advancedの3クラスに分かれています。英語が得意でない生徒もStandardクラスから段階的に力をつけていくことができます。
広尾学園の改革を手掛けた人物が校長を務めており、設立から約8年を経てカリキュラムが安定してきたと評価されています。
開智日本橋学園:IBとのハイブリッド教育
開智日本橋学園中学校は、国際バカロレア(IB)のMYP認定校として、英語によるイマージョン教育を行っています。大きな特徴は、数学と理科は日本語で教えるというハイブリッド方式です。日本の教育プログラムの強みを活かしながら、国際的な学習フレームワークを取り入れるバランスの取れたアプローチが支持されています。
なぜ「ほぼインター」が選ばれるのか
「東大よりハーバード」という価値観
「ほぼインター」の台頭の背景には、教育に対する価値観の変化があります。日本の名門大学よりも、海外の大学に進学させたいと考える保護者が増えています。グローバル化が進む社会で、英語力と国際的な視野を持つことへのニーズが高まっています。
広尾学園の海外大学合格者数が361名という実績は、「ほぼインター」が単なる英語教育の場ではなく、実際に海外大学への道を切り開く教育機関として機能していることを証明しています。
英語未経験でも入れる門戸の広さ
インターナショナルスクールの多くは、入学時に一定の英語力を求めます。しかし「ほぼインター」の中には、英語が話せない生徒にも門戸を開いている学校があります。
例えば、2026年に開校したサレジアン国際学園小学校のインターナショナルクラスでは、受験生の約8割がプリスクール生や帰国生ですが、英語未経験でも合格した例があります。意欲と能力のある子どもに機会を与える姿勢が、より幅広い家庭からの支持を集めています。
制度上の安心感
一条校であることの安心感も大きな選択理由です。万が一、海外大学への進学を断念した場合でも、日本の大学への進学ルートが確保されています。教育の柔軟性と制度上の安定性を両立できることが、教育熱心な保護者のニーズにマッチしています。
注意点・展望
「ほぼインター」を検討する際には、いくつかの注意点があります。
まず、英語での授業についていけるかどうかは、入学後の努力次第です。英語未経験から入学した場合、最初の1〜2年はかなりのハードワークが求められます。学校によっては日本語でのサポート体制が十分でないケースもあります。
次に、日本語力の維持も重要な課題です。英語での授業時間が長くなるほど、国語力の発達に影響が出る可能性があります。家庭での日本語環境の確保や、読書習慣の維持を意識する必要があります。
今後も「ほぼインター」の数は増加する見込みです。プリスクールや「おうち英語」で育った子どもが小学校の国際コースを目指すケースが増えており、需要は拡大傾向にあります。英語+日本型教育のハイブリッドモデルが、日本の教育の新たな選択肢として定着しつつあります。
まとめ
「ほぼインター」と呼ばれる英語イマージョン型の私立学校が、首都圏を中心に急増しています。一条校としての制度的な安定性を保ちながら、インターナショナルスクールの約4分の1の費用で英語教育を受けられることが人気の理由です。広尾学園の海外大学合格者数361名に象徴されるように、実績も着実に積み上がっています。子どもの進路を検討する際は、従来の選択肢にとらわれず、こうした新しい教育モデルも視野に入れてみてはいかがでしょうか。
参考資料:
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